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公立学校での日本語の授業について

こんにちは!ご覧くださって、ありがとうございます。
*産業カウンセラーと日本語教師をしています。ワカです。

*産業カウンセラーとは:一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する心理職の資格です。精神的な悩みを抱える方のカウンセリングや、企業のメンタルヘルス対策の支援などを行っています。

公立学校の日本語の授業について

中学・高校で日本語学習が必要な生徒に行われる日本語の授業には主に2種類あります。「日本語支援」と「日本語(国語の取り出し)」です。
(*東京都の平成6年度現在の情報です。内容・条件などは地域によって異なる場合があるので、詳しくはお住まいの教育委員会のHPをご覧ください)

1)放課後の日本語支援
放課後に日本語学習が必要な生徒を集めて行われる日本語の授業です。
決まったカリキュラムはないところが多いです。
学校で配られるプリントの内容を確認したり、宿題の手伝いをしたり、学校で使う語彙を確認したり、その場で必要なことを臨機応変にやっていく感じです。基本的に単位がないし、強制でもないので、生徒のモチベーションが低いという悩みもあるようです。

2)TAとしての日本語支援
教科担当の先生から「日本語を補助してくれる人がほしい」という要請があった場合、TA(ティーチャー・アシスタント)として授業に入ります。
該当する生徒の隣に座って一緒に授業を受け、授業内容をやさしい日本語で説明したり、生徒の母語が話せる場合は通訳したりして、サポートします。該当する生徒が休むとやることがなくなる、授業中に生徒が寝たり態度が良くなかったりしたら注意した方がいいのかなど、言葉のサポートだけではない難しさがあるようです。

3)国語の取り出しの日本語授業
「国語」の授業をしている時に、日本語学習が必要な生徒は別の教室で「日本語」の授業を受けます。これは国語の単位になり、成績もつきます。
この授業を担当するには国語の教員免許が必要です。しかし国語の教員免許を持っている日本語教師は稀なので、普段は国語を教えている先生が兼任しているケースが多いです。そうすると、どうなるかというと…古典担当の先生は旧仮名遣いを教えたり、現代文担当の先生は「吾輩は猫である」の原文をそのまま教えたりしているわけです。国語の先生にとっても、やったことがない日本語を担当しないといけないのは大変だと思いますし、もちろん生徒も大変です。

待遇

1)日本語支援
日本語支援の場合、教員免許は不要です。日本語教師の経験も資格も不要です。東京都だとTEPROという財団法人が先生の派遣を行っています。

その他、教職員の知り合い、大学で日本語教育を専攻している学生さんなど、いろいろな人が入っています。雇用は「外部委託講師」となります。
時給は1,200円〜2,600円ぐらいです(ボランティアでの募集も多いようです。交通費は出ないようです)。
中・高校は学期ごとの休みに加え、短縮授業や遠足、体育祭、文化祭、合唱祭などのさまざまな行事、テスト期間などがあって、その度に授業開始時間が変更になったり休みになったりするので、勤務日程も収入も不安定です。

2)国語の取り出しの日本語
こちらは国語の教員免許が必要です。日本語教師の経験や資格は不要です。国語の単位として認められるので、出欠席の入力や、テストの作成・実施・素点入力、学期ごとの成績入力などもあります。
雇用は「時間講師」になります。時給は、東京都の場合だと1,880円~3,000円ぐらいです(経験年数によって変わります)。もちろん交通費も出ます。
東京都の場合、給与は年棒制です。例えば週一回の授業があったとしたら、週一回×12ヶ月分の給与(年棒)を、月で割って(月給として)もらえます。祝日や行事で授業ができなくても、「教材研究」や「テスト作成」などの理由で振替えて、学校に来てその時間分勤務すればよいのです。毎月決まった額の給与がもらえるので収入は安定しています。それ以外にボーナスも有給もあります。

「日本語支援」にしろ「取り出しの日本語」にしろ、日本語の授業を担当するのだから、日本語教師の経験や資格が一番必要な条件だと思いますが、それを一切問わないあたりが…なんというか…やっぱりというか…「日本人(日本語母語話者)なら日本語が教えられる」と思っている人が決めているんだなと考えずにはいられません。日本語教師が国家資格になることで、この考え方が変わればいいと願っています。


オンラインでメンタルヘルスのカウンセリングをしています。ご都合がいい時に予約して受けることができます。
*相談状況によっては、医師や社労士など専門家を紹介することがあります。



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