高校3年生
あわよくば、これさいわい
ぼんちゃんとの出会いから約1年、高校3年生になった私は、おおよそ誰もがいつかはぶつかる「進路」という名の分岐点に立ちました。
高校入学と同時に右肩下がりとなっていった成績は、ほぼ地面に着地したと豪語しても良いくらい酷いものとなっており、それでも先生や周りの友人達の手を借りて、何とか進級だけはしてきました。
3年生になり、乗り込んでいた「高校」という電車の終着地がいざ近づくと、私は選択の自由に対する危機感と恐怖を覚え、ようやく勉強しようという気になりました。
母が長いこと介護の仕事をしていたからか、中学生の頃から将来の夢が介護士だった私は、介護福祉士の資格取得を目指す専門学校への進学を希望しましたが、「どうせなら社会福祉士を」という母の友人からの助言により、大学受験を決めます。
猛勉強と胸を張って言えるほどではなかったかもしれませんが、それなりに勉強へとベクトルを向け、もともと好きだった現代文では98点、全国模試12位の成績をおさめました。100点満点が11人いたんですね。英語もなかなかの好成績、250名ほどの学内試験で常に10位あたりをうろつくように。
そして私は調子に乗り、本命も滑り止めも落ちました。
結構落ち込んだと思います。
女手ひとつ、産まれた頃から1人で育ててくれた母に謝罪し、まったく視野に入れていなかった都内の某大学を一般入試ギリギリで受けさせてもらい、なんとか合格通知が届きました。
泣きながら「おめでとう、おめでとう」と喜ぶ母の横で、嬉し涙なのか悔し涙なのか分からないものが、私の頬と心につたいました。
こうして無事に、乗り継ぐ電車が決まり、私は高校を卒業することができました。
卒業式当日は、ぼんちゃんが、霞草の花束を持って会いに来てくれました。
友人に感謝し、恋人に感謝し、母に感謝し。
書き起こしてみるとあっという間に過ぎ去ってしまいますが、とても充実した、ご縁に恵まれた、幸せな3年間でした。