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ニーズをつかむ #184 顧客感度

事業の動向に影響を与える様々な要因を環境と称します。
高度経済成長期には、モノ不足からもたされる「作れば売れる」時代が続きました。

そして、国際的にも日本の製造業の高い技術力が評価され「良いモノを作れば売れる」時代に遷りました。
しかしながら、現代では技術力だけに頼ったビジネスモデルでは、既に限界を迎えていることは明らかです。

現代の環境を、1990年頃から使われた軍事用語を流用してVUCA(ブーカ)環境と表現される場合があります。
VUCA環境とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字からの造語です。

それ故に、マーケティングの重要性が高まっています。
しかしながら、未だに日本では、マーケティングのことを複雑に考えられたり、市場調査のことだとか、営業だけのことだとか誤って捉えられている方々が少なくありません。

マーケティングですが、「顧客のニーズ(needs:必要性)を掴んで、そのウォンツ(wants:欲求)満たすこと」などと表現されたりします。
ウォンツですが、ニーズが顕在的なものであれば、顧客自身も気づいていない潜在的なニーズであるとも捉えられます。
その潜在的なニーズをを満たすためには、まはず、如何にして顧客の顕在的なニーズを掴むかが重要であると考えます。

また、この顧客ですが、必ずしも、お客様である必要はありません。
例えば、社内で自分の考えを通したい場合であれば、承認者が顧客的な位置づけになります。
それを考えた場合、ビジネスにおいて、マーケティング的な考え方は絶対に欠かせないと考えております。

その意味でも、企業は、より顧客感度を高める必要があります。
顧客感度を高めるためには、その接する密度、頻度、速度を高める必要があります。

ネット通販の躍進は周知の事実であり、今後も普及して行くものと思います。
しかしながら、顧客感度の高さは、パーソナルアプローチ、つまり、人的営業であると考えます。

良く量よりも質を優先すべきと論じられる場合があります。
しかし、まずは、パーソナルアプローチによる量がベースとなると捉えています。
量を優先させるのは不効率と捉えるかもしれません。
しかし、量とは、ある意味、有益な情報を受信するアンテナを張り巡らせるような行為です。
逆に有益な情報だけに限って受信するのは、不効率であることが分かります。
初めから質を追求せずに、まずは、量を積み重ねれば、大数の法則からも、結果に結びつく質が後から手に入ると考えます。
量あっての質です。

しかしながら、顧客感度を高めるために量を増やしたにも関わらず、そこから発想が湧く人と、何も出せない人、あるいは出さない人がいるのも事実です。

部下の営業スタッフと同行して顧客廻りをしていると、様々なヒントをいただいているにも関わらず、全く、それに気づいてない者もいます。
極端な話ですが、過去に新人の営業スタッフが、隣で居眠りしていたことすらありました。

これは、その営業スタッフが得るべき情報に焦点が当たっていないからです。
新人に至っては、会話の中身すら理解できないので、結果、居眠りに至ってしまったのだと思います。

1953年に心理学者のチェリーが提唱した「カクテルパーティー効果」があります。
「カクテルパーティーに参加しているときに周囲が騒がしくても、自分の名前や知人の声を聞き分けられる」というものです。
これを心理学の中では、脳の「焦点化の原則」と表現したりもしています。

「焦点化の原則」は、「無意識のうちに、ある情報が頭に入ってきてしまう状態」のことです。
つまり、顧客のニーズを掴むという目的に焦点が当たっていれば、それに関する情報を捉えることができるようになるはずなのです。

但し、脳は、一度にたくさんの物事に焦点を当てることができません。
つまり、ニーズを掴みたいのであれば、そこに焦点を当て易いように「期限とノルマ」を具体的に設定をすることが大切になってきます。

また、目的である顧客のニーズ(需要)に焦点が当てることで、潜在的ニーズも見えてきます。

それも具体的にです。

すると脳は、無意識のうちに、その顧客の潜在的なニーズを埋めたいという心理的な欲求が働き、能動的に行動するようになります。
この様に焦点が当たることで、顕在化した課題を空白と呼び、それを埋めようとすることを脳の「空白の原則」と言います。

顧客感度のいい会社とは、アンテナを張り巡らせるような大量行動から得た大量の情報の中から、ニーズに焦点を当て、潜在的ニーズを掴み、応えられる会社なのかと思います。
そして、そのような顧客感度のいい会社を目指したいと思います。

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