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お帰りなさい #136 アルムナイ

企業が、その目的を果たすためには、経営資源が欠かせません、
一般的には、経営資源とは、ヒト、モノ、カネ、知識、情報などといわれています。
なかでも、筆頭のヒト、つまり人事の重要性が高まっています。
従来型の人事とは、労務・法務などの制度やマニュアルなどのオペレーション業務ばかりに固執した保守的、定型的な前例主義がほとんどでした。

対して、現代では、労働力不足が深刻化していることや、それを補う意味での機械化の技術革新によって、人材には、よりクリエイティブ性のある能力と発揮が求められるようになっています。
反面、従来の経営戦略では、戦略的に人事を捉える意識が低かったといえます。
故に、今後は、人材と組織の側面から変革をリードしていく戦略的な人的資源管理(以下、HRM: Human Resource Management)が重要視されています。

そして、HRMの一環として人材経営の在り方を評価、育成、採用の切り口での見直しに取り組んでおります。

例えば、日本では一般的にはまだまだ聞きなれない言葉ですが、人事領域では良く耳にするようになったのが「アルムナイ」です。
「アルムナイ(alumni)」とは、本来は卒業生、同窓生、校友という意味で使われます。

日本の雇用形態は、「メンバーシップ型雇用」といって、新卒一括採用から人材を育成しつつ終身雇用するものでした。
つまり、転職や退職される方の存在を前提とした雇用制度ではなかったということです。
対して、欧米諸国の「ジョブ型雇用」とは、職務に合致したスキルを持った人材を採用するものです。

終身雇用制度のない欧米の企業では、「アルムナイ」と呼ばれる離職者・退職した人たちである元社員と企業が継続的に接点を持ち、元社員を再雇用する「アルムナイ制度」が一般的に運用されています。
ある菓子メーカーさんは、「ハッピーリターン制度」として、取り組み自体を明るく捉える姿勢が注目を浴びています。

そして、ここに来て、終身雇用制が崩壊しつつある国内でも、企業をキャリアアップのために退職させる際に、SNSで「卒業します!」と宣言される方々も見受けられます。

そもそも、離職や退職には、大きく二つの理由があろうかと思います。

まず、待遇、人間関係、仕事内容などの労働条件に対する不満が理由である場合です。
一方で、労働条件に不満はないものの自己都合である場合もあります。

隣の芝生は青く見えるではありませんが、転職して前職の良さを実感する場合もあります。
また、自己都合であった理由が解消される場合もあります。
どちらにしても、離職や退職時のお互いの関係が円満であれば、「アルムナイ制度」の対象者になろうかと思います。

復職した社員(右)上司(左)も嬉しそう

企業側も、労働者不足や採用・育成の経費を掛ける余裕のない時代だけに、経験者の雇用は即戦力として有益です。

そのため「アルムナイ制度」は、グローバル人材やシニア人材の労働力を活かすことなどと共に、今後の企業のHRMの一策となってくると考えられます。

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