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組織を持続的に機能させる #179 ボトムアップ

人は、一人で成し遂げることができることには限界があります。
そのため、同じ目的を持った人たちと共に組織を形成します。

仮に1人が発揮する能力を1人力とします。
対して、10人の組織の発揮能力が10人力では組織の意義がありません。
11、12…15…20…30…50人力と機能を高めてこそ、組織である意義が高まります。

チームビルディングのプロセスを体系化させたタックマンモデルでは、組織が形成されてから機能するまでに4つのステージをたどるとされています。

ステージ1:形成期
組織の結成初期の組織を構成する個々のコミュニケーションが取れていない不安定な状態

ステージ2:混乱期
組織としてあるコミュニケーションが取れ始めるものの、価値観に食い違いが生じ衝突する状態

ステージ3:統一期
共通の規範が形成され、価値観と共に統一されることで、互いを理解し合えたコミュケーションがとれた状態

ステージ4:機能期
持続的で安定したコミュニケーションを基盤として、より高い成果を求められる高いパフォーマンスが発揮できる状態。

如何にして機能期に導き、それを持続させるかが組織づくりにおいて重要となります。

2014年にフレデリック・ラルー氏が組織の意思決定スタイルと組織形態を色別に示した考え方があります。

意思決定スタイルには、両極論としてトップダウンとボトムアップがあります。
この場合、トップダウンをアンバー組織、ボトムアップをティール組織としています。

それぞれにメリットとデメリットがありますので、一概にどちらの意思決定スタイルのほうが優れていると言うものではありません。

トップダウン(オレンジ)
経営トップが意思決定の権限を持ち、それを現場のスタッフに指示として落とし込むスタイルです。
経営トップの意思や方針が組織全体に伝達されるため、一貫性のある意思決定および実行スピードが迅速となります。
反面、スタッフは、経営トップからの指示待ちとなるため主体性や責任感が生まれにくく、組織としての発揮能力の拡大はあまり期待できません。

ボトムアップ(ティール)
現場のスタッフに意思決定の権限が委譲されスタッフの裁量によって意思決定ができるスタイルです。
反面、現場最適の考えが乱立することで、組織としての一貫性あるいは統一性が損なわれる可能性があります。

さすがに、軍隊のようなアンバー組織は時代錯誤です。
しかし、従来の日本企業の多くは、ヒエラルキーのオレンジ組織的が一般的でした。

対して、ティール組織は、フラットな組織です。
現実的には、これから創業する企業や歴史の浅い企業ならともかく、大きな組織だったり、歴史の長い企業が、このティール組織を導入するには柵が多く難しいと思います。

そこで、考えられるのが、ヒエラルキーとフラットの中間的なグリーン組織となろうかと思います。

その場合、まず、組織理念や方針などを一貫させるのはトップダウンです。
しかし、トップダウンをやり過ぎると従来のオレンジ組織と変わりません。
そこから、マネジャーやスタッフたちに権限を委譲することで、ボトムアップによる統一基盤をつくります。
その上で、要所要所で行過ぎないトップダウンを効かせて機能の活性化を促す。
このトップダウンとボトムアップのバランスが大切になると考えます。

また、ボトムアップのマネジメントでは、常に変化する先行きの見えない環境と対峙して成果を上げる必要があります。
そのための基本ともいえるフレームワークが、PDCAサイクルです。
PDCAとは、[Plan(計画)]、[Do(実行)]、[Check(検証)]、[Act(改善)]の頭文字とったものです。

そもそもの計画(P)には、先行きの見えない状況で立案するため仮説要素が含まれています。
その意味でも実行(D)によって、計画(P)と実態を検証(C)する必要があります。
これによって、計画(P)段階の仮説要素が確証と変わり、質の高い改善(A)の実行に結び付けることが可能となります。

このPDCAサイクルを何度も回すことで、成果に結び付き易くなるといえます。
極端ですが、組織が成果を上げるには、成果があがるまで、このPDCAサイクルを回し続けることであるともいわれるくらいです。

PDCAサイクルですが、組織に、1つではありません。
経営トップであれば、大きく限られた数しかありませんが、現場スタッフに落とし込まれる過程で、複数に分解されます。
翻せば、現場の複数のPDCAサイクルを結合させて行くと、経営トップのPDCAサイクルになることを意味します。

組織におけるトップダウンとは、このPDCAサイクルを分解して、現場に落とすことといえると思います。
また、ボトムアップとは、現場で回したPDCAの状況を経営トップに上げることと言えます。

特に、やるべきことである計画(P)を、実行(D)することによって、分かったことを検証(C)した結果を元に、次に何をすべきかは、現場から改善(A)提案として経営トップにボトムアップしなければなりません。
また、経営トップも、それを正しく受け入れることで、組織が機能することを認識しなければなりません。

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