和菓子の命と言っても過言ではない「小豆」のお話。第1回目
小豆は紀元前1世紀の中国最古の農業書である「氾勝之書」(はんしょうししょ)に既に栽培方法が記載ており、日本では「古事記」、「日本書紀」に五穀の1つとして登場する程、昔から栽培、食用とされ馴染みの深い食材です。
国産の小豆の殆どが北海道で栽培されています。
収穫された小豆の約60%が「餡」の材料として利用されています。
小豆には「普通小豆」、「大納言」そして白餡に使われる「白小豆」があります。
普通小豆では、「エリモショウズ」、「きたのおとめ」、「しゅまり」、「サホロショウズ」などの品種があります。
また大納言では「アカネダイナゴン」、「とよみ大納言」、「はまれ大納言」があります。
北海道以外の地域では、兵庫県、京都府、岡山県などが有名です。また全国各地で作付け面積は小さいですが栽培が行われています。
皆様も「丹波大納言」、「備中大納言」とお聞きになった事があると思います。
兵庫県、京都府では「丹波」、岡山県は「備中」が有名です。
大納言とは、普通小豆に比べ粒は大きく、皮は煮ても破れにくく高級小豆として粒あんや甘納豆に使用されます。その中でも「丹波」、「備中」は
粒が大きく、ブランド化され価格も北海道の大納言より高いです。(作付け面積が狭いうえ、需要もあるので高くなってしまいます。)
少しマニアックな話になりますが、「丹波大納言」では、兵庫県の丹波ひかみ農協の「春日大納言」、丹波篠山農協の「丹波篠山大納言」、古くから伝わる在来種の黒さやを栽培しいている黒さや会の「黒さや大納言」、京都府では「京都大納言」があります。
丹波市春日町では、「丹波大納言発祥の地」であり、他の丹波大納言との差別化をするため「春日大納言」のブランド化に力を入れているようです。
国産小豆は近年、異常気象などで価格が高騰しています。今後も下がる要因が無いため、小豆をよく使う和菓子屋さんには厳しい状況が続いています。
滑らかな舌触りの「こし餡」、小豆の風味豊かな「粒あん」は良質の小豆と和菓子職人の腕によって作り上げられます。
多少の値上げはご了承頂き、季節ごとに作られる和菓子を楽しんで頂ければ幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございます。
参考、引用文献
*「小豆でぐんぐん健康になる本」 加藤淳
*「小豆産地におけるブランド管理戦略の現状と課題」
相良百合子、石塚哉史
*黒さや会 あずき工房
http://azukikoubou.jp/?page_id=121