羊羹の古今ものがたり
皆様に馴染みがある羊羹。
どのような歴史を辿ってきたのでしょうか?
羊羹の発祥は中国です。
羊羹の「羹」は(あつもの)といい、とろみのついた汁物であったようです。
「羊」がついているので羊の肉を使ったものでした。
鎌倉時代〜室町時代にかけて禅僧によりいろんな羹、饅頭が「点心」として伝えられます。
点心とは、当時1日2食であったため、食事の間のおやつ的な食べ物をさします。
禅僧は獣肉や魚肉を食べるのを禁止されていた為、小麦粉や小豆、葛などを使って羹に見たてたものを作り出します。
これが蒸し羊羹の原型となります。
室町時代後期には、製法や形に変化が見られ、魚の形をしたものや亀甲型を模したものが出てきます。
また、点心とともに「喫茶」の風習も伝えられ、のちに「侘び茶」として大成される茶の湯文化では茶会に羊羹が出されていた様です。
現在のように「甘い」食べ物ではなかったようですが、その地位を確立していきます。
戦国時代に入れば、主君が臣下の屋敷に招かれておもてなしをうける「御成」(おなり)という献立に羊羹が出てきます。
名の知れた武将のおもてなしの記述が残っており
重要な接待の場に出てくるぐらいメジャーな存在になっていることが伺えます。
江戸時代に入ると「寒天」が作られるようになり、蒸し羊羹から寒天を使った練り羊羹に移ってきます。
砂糖も手に入りやすくなり、しっかりと火を通し練り上げる羊羹は日持ちもするようになります。
幕府の行事や海外からの親善使節のおもてなしにも使われるようになります。
また庶民の間でも多く流通するようになり、地方では特産をつかった羊羹なども出てきます。
梅羊羹、栗羊羹、柿羊羹、黒糖羊羹と多種多様に作られました。
近代では、日本帝国海軍の補給艦の1種である「給糧艦間宮」(きゅうりょうかんまみあ)で作られる羊羹が軍人の間で評判になり「間宮羊羹」として有名になりました。
1度航海に出ると何ヶ月も帰らないので日持ちする羊羹は重宝されたのですね。
現在では2010年に銀座三越で「YOUKAN COLLECTION」というイベントが開催され全国の羊羹が展示、販売され大変好評でその後、札幌、大阪、福岡などでも開催されました。
また経済産業省の『JAPANブランド育成支援事業』として採択され、パリでの展示、試食ができる見本市なども行われました。
Wagashi asobiさんのラム酒を使ったドライフルーツの羊羹でスライスしてバケットにのせてお酒のお供にもできる新しいコンセプトの提案で
大変人気です。
また京都の亀屋良長さんのスライスチーズの様にスライスしてある羊羹で食パンにのせてチンすると程よく溶けて美味しい羊羹の商品も人気があります。
このようにどんどん進化をしている羊羹。
今後どの様な羊羹が出てくるのか楽しみですね。
最後までお読み頂きありがとうございます。
参考、引用文献
*「ようかん」
虎屋文庫
*「和菓子」第20号
虎屋文庫
*「城下町ひろしまのお菓子」
広島県生菓子工業会
Wagashi asobi
https://wagashi-asobi.com/index.html
亀屋良長
https://kameya-yoshinaga.com/