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【実食レポ】 「鍵善良房」(京都市東山区) くずきり

くずきりって美味しかったんだ…と知った、鍵善さんのくずきりレポートです。

百味展に伺った帰り道、せっかくなので京都の喫茶に寄って帰ろうと思い選んだ鍵善さん。

四条本店は、祇園商店街に軒を並べています。
ウィンドウには、お菓子が上品にディスプレイ。

創業時期は特定できていませんが、享保11(1726)年と記された漆塗り螺鈿模様の菓子外箱が残っており、少なくとも享保年間には菓子屋を営んでいたようです。創業して300年近く、現当主で15代は続いていることになります。

鍵善良房HPより


平成10年に建物が新しくなっていますが、まるで昔からここにあったかのよう


軒行燈


ちょっぴり建築話

店内に入ると、古い菓子型や井籠が飾られた光を抑えた店舗コーナーがあり、奥は喫茶になっていて、進んでいくと奥に蔵を望む庭園があり光にあふれています。

この光の効果で、奥に長い京町家の効果がより強調されています。
また、喫茶に入ったときに、光だけでなく、天井の高さの効果でより広がりが感じられます。

喫茶店内は段差などもうまく利用して視線が調節されていて、どこの席でも庭を望むことができるようになっていて、ほかのお客さんとの距離感も良い感じ。

使われているテーブルやチェアも、デザインは普通ですが落ち着きのある上質なもので統一されています。

飾られているアートも、ミュージアム「ZENBI」も営む鍵善さんらしいシンプルで素敵なものばかりです。


蔵がある庭を望む店内


くずきり


お茶と、江戸時代から作られている和三盆の「菊寿糖」を出してくださいます

くずきりをお願いして、「菊寿糖」をいただきながらのんびり待ちます。

くずきりは、注文が入ってから作り始めるので少し時間がかかるのですが、なんだかそれも良い時間。


くずきりは、漆塗りの独特な入れ物に入ってやってきます。
1400円(2024年10月現在)


蓋をあけると、黒蜜の器があり、それを横に置くと氷が入ったくずきりが現れます

蜜は、黒蜜か白蜜を選ぶことができますが、最初なので基本の黒蜜にしました。
黒蜜はとろっとしていて濃くてとても美味しくて、くずきりによく絡みます。
主役のくずきりは、ツルッとして想像よりも弾力がしっかりありました。
黒蜜と絡んだくずきりは、こんなに美味しいものだったの?と衝撃を受ける味でした。

「くずきり」はシンプルの極みと言えましょう。つるんとした喉ごし、絶妙なコシの強さが身上です。材料は葛と黒糖蜜、そして水のみ。葛を水で溶き、湯煎して冷水にとり、細く切るだけなのですが、まことに奥の深い甘味です。昭和に入ったころ、界隈のお茶屋や南座などに出前していたのが始まりで、昭和30年代に口づてに評判となり、喫茶室でお出しするようになりました。当時の器は螺鈿細工の特製漆器。葛と蜜だけの潔さを引き立てるものでした。

〜〜〜

「くずきり」の葛は、奈良吉野・大宇陀町の「森野吉野葛本舗」のものをずっと使ってきています。喉ごしのよさ、程よいコシの強さは最上質の葛ならでは。

製法はこちらも昔ながらの手作業です。「吉野晒し」といって、寒さの一番厳しい時期に、葛の根を細かく砕き、地下水に何度もさらして精製した後、自然乾燥させます。それだけ手をかけてとれる葛粉は、根の重量のわずか1割。食用の他に漢方薬の原料に使われたりと、効能も豊富です。

また、黒糖は沖縄の小さな島の物。すっきりとしたこくの、葛に良く合う風味を選びました。

〜〜〜

厨房の道具も、ずっと長く同じものを使っていることが多いです。「くずきり」をつくる打ち出し銅の鍋もそのひとつ。平たい円型の打ち出し銅に取っ手がついています。お客さまの注文があってからつくり始めるスタイルも最初から変わりません。

鍵善良房HPより


喉越しスッキリ冷たいくずきり

朝、家を出て百味展にお邪魔して、お昼を食べていなかったのですが、意外と量も多くてお腹がふくれました。
周りと見ると、9割くらいの人がくずきりを注文しているようでした。


販売店で気になったもの


歴史が感じられるお菓子をお届けするときに使った箱(井籠(せいろう))


お店には生菓子や「菊寿糖」などの干菓子が並んでいます。
ガラスケースのサンプルを見ながら、注文するスタイルです。


↑ とても気になった「黒板」

生姜が効いた黒砂糖のお菓子という「黒板」がとっても気になりました。
次回は購入してみたいです。


百味展での鍵善さん


鍵善良房さんの百味展の展示


「園の賑い」美しいですね


百味展のお茶席のお菓子、今回は鍵善さんが担当されたそうです
紅をさした薯蕷饅頭(上用饅頭)はおめでたい感じがしますね
しっとりしていて美味しくいただきました


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