【ego.1】長男長女は誰よりも尊い
「利己的な倫理観」という言葉を見て、さぞ自分勝手な倫理観だろうと考える人は少なくないだろう。
実際、大部分は合っているし、今流行りの自己啓発本風にいうなら、「自分軸を持つ」とか「自己承認欲求を自分で満たす」とか、そういった言葉に置き換えられるのかもしれない。
でも、正直私が持ってる「利己的な倫理観」は、自分軸とか承認欲求とか、人々が識別しやすく、抵抗感のない言葉のような生ぬるい概念ではない。
もっと自由に、もっと自分を一番に考え、周りより飛び抜けた自己の才能に自信を持つこと。
そしてそれを、大事に大事に自分で持っておく、そういうイメージだ。
なぜ、自分で持っておくのかというと、利己的な倫理観を持った者同士が、お互いに干渉しあわなくても、世界が周るような仕組みにするためだ。
それぞれがとても大きく、素敵な惑星として、この宇宙の太陽系を作り出しているように。
ただ、その利己的な倫理観を全面に押し出しても、唯一嫌がられない、むしろ可愛がられる”肩書き”がある。
それが「末っ子」だ。
何を隠そう、私には1人姉がいて、私は次女の末っ子だ。
韓国語では末っ子を「マンネ」と言い、K-POPアイドルグループでも最年少はマンネと呼ばれ、ファンからもメンバーからも最も愛でられる存在である。
振る舞いがシュールでも、ダンスがちょっと下手でも、可愛い。
なんか生意気でも、年上を馬鹿にしてても、可愛い。
正直、私が悪い意味で利己的に育ったのは、末っ子による影響ではないかと、他責にしたい気持ちでいっぱいだ。
末っ子がいれば、長女や長男がいるのは当然だ。
しかし長男長女と比べ、末っ子は親から可愛がられて育ち、長男長女の後を追うことで、人生を先回りした振る舞いができるし、要領も良くなる。
末っ子は何かと人生において、長男長女より優位に立ってる場合が多い。
私がいた軽音サークルでも、楽器の技術力や発言力が高かったり、カリスマ性がある人間は、総じてみんな末っ子だった。
ここまで末っ子が如何に優秀かを自信満々に綴ってきたが、私は「末っ子が勝ち組」なんて言うつもりは毛頭ない。
私が何故今でも利己的に生きれるか、その背景の大部分は、長女の存在があったからだ。
私の姉は、親からも周りからも"不思議ちゃん"と呼ばれていた。
とにかく口数は少ないし、周りとはちょっと違うことをする。
女の子なのに男の子っぽくて木登りが好きで、小学生の頃は校庭でかけっこしたら転けて膝を何針か縫う大怪我をしたりしていた。
先生からも不思議がられてたし、突拍子もないことをして、親も何度も頭を悩ませたりしていた。
でも私は、そんな姉を全く変な人だと思わなかった。
私から見た姉はすごかった。
当時誰から教えてもらったわけでもないのに自ら選んだゲームを買う。
親や叔母にも間違ってないと思ったら絶対に謝らない。
サークルの部室に、新入生で1人いきなり突撃する。
勉強は塾に行かずとも出来て、教え方も上手い。
まさに開拓者だった。
中学の部活でも姉が部長になったから、私も部長になれた。
でもなぜか自慢気にしないのだ。更には人にも押し付けない。
変な人だと思われてることも、姉は知っている。
それでも生きるスタンスを変えない姉が、私にはひどくカッコよく感じるのだ。
凄いことをやってる自覚もないのかもしれないが、私にとってはそれが凄いことだし、絶対に姉は越えられない存在だと、今でも思っている。
母親から聞いたことだが、私は幼い頃からずっと姉に対して「お姉ちゃんすごい!」と手を叩いて喜んでいたらしい。
私は昔から、姉のことが大好きだった。
そしてそれは私だけではない。
私の友人も、姉や兄が嫌いと言っている人を見たことがないくらい、世の末っ子、次女次男たちは、総じてみんな、長男長女が大好きなのだ。
私の夫も長男だ。そして同じように不思議な思考回路の持ち主だ。
私の姉と同じように、要領が悪く、突拍子もないことをして、周りに理解されず苦しむことも多いだろう。
でも、私はここで声を大にして言いたい。
長男長女は誰よりも尊いと。
そして「要領が悪く、突拍子もないことをして、周りに理解されない」ことが、次女次男や末っ子だけが知る、長男長女の大きな魅力だということを。
その背中を見て、私は今でも利己的に生きれるのだ。
母親は長女だった。だから家族から長女として扱われることに抵抗を感じていて、私の姉にも「お姉ちゃんなんだから」というセリフは使わないようにしていた。
でも私にはこう言うのだ。「お姉ちゃんらしくないよね」「本当変なやつだよね」、「あなたの方がしっかりしてる」「常識を持ってる」と。
私は、長男長女をそんな風には絶対に呼ばない。次女や次男と比べて、蔑むようなこともしない。
それは、まだ小さく、幼い息子に対しても。
全ての長男長女に幸あれ。
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