見出し画像

「灯台へ」ヴァージニア・ウルフの文庫版新訳が発売される!

 わざわざ記事にしなくても知っている人は知ってるのですが、わたし自身の経緯も含めてさらっと書きます。

 まず本題ですが、ウルフの名作「灯台へ」の新訳(鴻巣友季子)が九月三〇日に新潮文庫から発売されます。

「灯台へ」は岩波文庫から御輿哲也さん、新潮文庫で中村佐喜子さんの訳がありますが、わたしは昔に中村さんの訳で読みました。岩波文庫版だとどうなるのか読もうかと思ったところ、池澤夏樹さんの世界文学全集で新訳が出て買ってしまいました(汗)。


池澤夏樹編 世界文学全集

 鴻巣友季子さんの新訳です。ただ、分厚いので読みにくい。。また一度読んでいるものよりも、読んでいないものを読もうと思って、ダロウェイ夫人を読んでいるわけです。そんなときに、この嬉しいニュース。
 ここに収録されている鴻巣友季子さんの新訳が文庫化されたわけです。しかも以前の岩波文庫よりも安い!
 翻訳は新しいものが良いとは限りませんが、何せわたしが読んだものは半世紀前の翻訳ですので、どうせ読むなら最新版を読みたいですよね。
 ウルフの小説は、ドラマチックな展開は皆無で、ひたすら美しい描写が続くため、翻訳は極めて重要です。花を見たらそこから延々と夢想が始まり、車を見たらそこから別の夢想が始まり、「意識の流れ」で誰の心理なのか、どこにいるのかさえわからなくなるので、下手な翻訳だと追い切れません。しかも、わたしの知る限りウルフはドラマ性こそないですが、描写に関しては右に出る文豪はいないのではないかと思うほど美しく繊細で画期的な表現をします。まさに翻訳家の手腕が問われるわけです。
 というわけで、今回の新訳文庫化。楽しみにしております。単行本持っているのにもったいないのですが、文庫のほうがやはり読みやすいですからね。サルガッソだけいつか読ませて貰うことにして(笑)。

 以上、「灯台へ」文庫化のおはなしでした!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?