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詩集 幻人録

322
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2023年3月の記事一覧

古い太陽の詩

古い太陽の詩

新しい太陽は月の死と共に産まれた
沸々と燃えたぎり出したばかりなもんで
まだ少し暗い地球
月の亡骸は優しく最後に
想いの丈を朝露に残した
古い太陽の詩がまだ耳に残っている今は
私はまだ昨日の人間なのだろう

砂漠のもぐらは眩しそうに
私に語りかけてきた
月の想い残しはどこかね
あいにくここには朝露はなく
もぐらは肩を落とした

私は新しい太陽の声に耳を傾けては
静かに今を通り越した
まだ詩なんかな

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氷の花弁

手繰り寄せた手
冷たい手
苦労をした手
がさがさで

氷の様な指先
明るい岬で
ゆっくりおやすみなさいませ

あなたの身体に植えた種
綺麗な花が咲くまで
氷の花弁の一枚が
ここにいると光っている

あなたはいない
もういない
手繰り寄せた腕
氷の腕先

岬に春が来る頃に
共に溶けいる
花弁の兆し

朝

私はこの朝に

幾つの期待をしたでしょう

振りかえって

考える

特になにも出てこないでしょ

つまらない朝ですね

明日の朝までには

同じ様な

ことにならぬ様

考えておきます