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詩集 幻人録

322
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2022年6月の記事一覧

無垢の宮殿

無垢の宮殿

産まれたての無明
天外戻れぬ無垢の先
明日葉の希望
心安らぐ純の声

道すがりの哀しみは
異様な擬態の人馴染
それなりの歩行に
道なりの風は行く

高貴な宮殿に
勿忘草の面影
あゝ
愛しき我が理性

雨、黄昏

雨、黄昏

早めの梅雨入りで
毛のない心は驚いていた

雨粒を避ける様に
私たちは踊って逃げた

低い空は今
怒った様にこっちを睨んで
虫たちは隠れ
子猫は眠り
私も踊り疲れ

せっかく遠くへ
行こうと思ったのに
こんなに雨降りじゃ
何もかもが憂鬱で

頭が痛いな
あなたはいないな

少しは笑えるかな
部屋で一人ふけっているの

晩の幸福

晩の幸福

御告げを待つのは得意じゃない
神風吹くのはいつにやら
小言をぶつぶつ言うんじゃない
おみ足進めてうんとこしょ

前だけ見てたら転ぶじゃない
心配ごとなら任せなさい
心にじんわり響くじゃない
手枷 足枷 外せばいいわ

この世は幻 現者
堕ちれば快楽 戻れば地獄
出る杭打つ奴 へのへのもへじ
やっとこ やっとこ歩いた足腰

この世は幻 現者
鏡の世界へお生きなさい
対面お顔は笑ってる?
鏡の中から笑

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創休暇

創休暇

眠そうな秒針
泳ぐ珈琲
浮かんだ私は部屋の中

歩く音楽
寝そべる豆球
浮かんだ私は星の外

この休暇は宇宙の外で
パスタを巻いて
くるくる踊る

働き者の布団
沈む白月
溺れる愛は瞳の中へ

めり込む太陽
うずくまる運命
溺れる愛は地球の中へ

この休暇は宇宙のヘソで
砂糖を入れた紅茶を覗き
くるくる踊る
くるくる踊る

静かな森

静かな森

夢をみていた
静かな森で
騒めく木々から溢れる慈愛

暗くはなくて
明るくもない
溢れ日が絶え間なく
涙を乾かす

不思議な木の実
甘酸っぱくて
心の悲哀晴れていく

夢を見ていた
静かな森で
佇む私は
根を張った少年の様
風を纏った少年の様