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<5冊目>考えさせられる小説 / 向日葵の咲かない夏
『向日葵の咲かない夏』を読んだ。
連日ビジネス書を読むのは骨が折れる。
5冊目は小説に決めた。
神様ゲームがかなり良かったので、似た感じの本を探すことに。
いくつか候補はあったが、「向日葵の咲かない夏」を読むことにした。
かなり不思議な作品だった。
解釈の余地がありすぎて、人によって大きく感想が変わるだろう。
わっちなりに感想をまとめてみたのでどうぞ。
<感想(ネタバレ無)>
まずはあらすじから
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。
この物語の主人公は小学生である。
子供視点の物語は総じて読みやすいのでおすすめ。
開始早々、変死体とご対面するので一気に引き込まれる。
同級生の死の真相を探ることが大筋なのだが、それだけではない。
立て続けに起こる犬猫殺害事件や先生の秘密など、複数のストーリーが複雑に絡み合っている。
事件解明へと向かう主人公の行動にドキドキさせられっぱなしだった。
子供がもつ「純粋さ」と「残酷さ」がリアルに描かれた名作。
特に、オチは様々な解釈ができて興味深い。
命って何だろうってなりました。
どんでん返しや考察が好きな人には読んでほしい一冊。
<感想(ネタバレ有)>
※まだ読んでない人は作品を読んでから!!!!
さて、どこから書いたらいいものか。
とりあえず読んでいて感じた違和感について。
「ミカが何か変」ということに多くの読者は序盤で気づくだろう。
母親の僕とミカへの接し方の違い。
三歳にしては賢すぎる。
プロローグで明かされる妹の死。
家族かS以外とミカが会話している描写がない。(序盤)
等々。疑問点はたくさんある。
当初わっちは「ミカ」=「イマジナリー妹」だと思っていた。
何かしらの事件で妹が死に、家族が空想上のミカを創り出しているのだろうと。
ところが読み進めている内に、自分の予想が間違っていることに気づく。
トコ婆さんは普通にミカのこと認識してるし。。。やっぱりミカは存在してるのかな。。
タネを明かせば簡単。
主人公が見ているミカはトカゲで、母にとってのミカは人形だった。そしてミカは僕の空想上の人物としか会話していない。別々のものを同じイマジナリー人物として扱うという作者の発想にまんまと騙された。
ただ一つ言わせてくれ。
駅で先生に見つかり行き先を尋ねられたとき、ミカが「M大前で降りる」って言ったじゃねえかよおおおおお!!!!
そんでもってトコ婆さんは猫なんかい!!
※ごめんなさい。ちゃんと読み返したら言ってませんでした。ミカの発言を主人公が先生に伝えただけでした。
空想上の人物と実際の人物の発言がごっちゃになるので、混乱しそうになったよ。
あと終盤の主人公急に頭よくなりすぎないか?
色々書いたけどディスってる訳じゃありません。後半にかけてのどんでん返しや伏線回収が面白過ぎました。
<最後に>
いくつものトリックが隠されていて本当に面白かった。
道尾先生は天才です。(主人公の名前がミチオの理由に今更気づいた。わっちはアホかもしれん。)
余韻があるというか読者に考える余地を残す作品っていいよね。
最後まで読んでくれてありがとう。
それでは、また。