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映画日記#12 『羅生門』


今日はNetflixで日本映画『羅生門』を鑑賞した。
世界映画史に多大な影響を残した黒澤明の代表作で、説明不要の傑作だ。
1950年のヴェネチア国際映画祭でグランプリを獲得したことで、日本映画が世界に知れ渡ったきっかけとなった一本。

平安時代、都にほど近い山中で貴族女性(京マチ子)が山賊(三船敏郎)に襲われ、供回りの侍が殺された。やがて盗賊は捕われ裁判となるが、山賊と貴族女性の言い分は真っ向から対立する。検非違使は巫女の口寄せによって侍の霊を呼び出し証言を得ようとする、それもまた二人の言い分とは異なっていた……。
映画.comより引用

人間の不条理さを抉り出した、前人未到の大傑作だ。
同じ場面を見ているはずなのに、語り手によって、全く違う話になっていた。
自分を正当化してしまう人間の性と、事実というものの不確かさを浮き彫りにすることで、いかに、人間という存在が愚かであるか、痛烈に訴えかけていた。
だからこそ、普遍性を持ち、今なお世界に影響を及ぼし続けているのだろう。
事実が歪曲して解釈され、それを聞いた見知らぬ誰かから叩かれる現代だからこそ、この作品のメッセージ性が響く気がする。
また、山の中の殺陣のシーンが壮絶だった。
殺陣なのに、泥臭くて、滑稽で、哀れに映った。
人間の醜さが詰まったような、胸に強く残るシーンだった。

羅生門のセットの壮大さも圧巻だった。モノクロの画面で強烈な存在感を残し続けていて、言葉を失うほどの迫力だった。
今なお、目に焼き付いている。

これほど強烈な映画は観たことがない。
黒澤明の作品は初見だったが、世界的名匠たる所以を垣間見た気がした。

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