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映画日記#10 『土を喰らう十二ヵ月』

本日は映画館で日本映画『土を喰らう十二ヵ月』を鑑賞した。
沢田研二主演で、松たか子が恋人役という、渋くて安心感のあるキャスティング。
スペインのサン・セバスティアン国際映画祭の食をテーマにした部門に正式出品された作品ということもあり、食事シーンがメインの作品だ。

平日朝イチの上映回だったが、高齢者の夫婦の方々がたくさんいらっしゃっていて、やはり沢田研二人気は健在なのだと実感した。

<あらすじ>
長野の人里離れた山荘で1人で暮らす作家のツトム(沢田研二)。山で採れた実やキノコ、畑で育てた野菜などを料理して、四季の移り変わりを実感しながら執筆する日々を過ごしている。そんな彼のもとには時折、担当編集者である歳の離れた恋人・真知子(松たか子)が東京から訪ねてくる。2人にとって、旬の食材を料理して一緒に食べるのは格別な時間だ。悠々自適な暮らしを送るツトムだったが、13年前に他界した妻の遺骨を墓に納めることができずにいた。
映画.comより引用


白馬を舞台に、失われつつある日本の美しい四季を自然体のまま描いていて、とても穏やかな気持ちにさせられた。
沢田研二の存在感が物語を引き締めていて、一つ一つの仕草に、色気と、品と、重厚さが漂っていた。改めて、沢田研二はスターであると、画面越しに感じさせられた。
年を重ねた姿を画面越しにさらけだすことは、スターであるほど受け入れがたいものであると思うが、沢田研二はありのままの姿をカメラに取られることを自然に受け入れていて、ものすごくカッコいいと思った。
だからこそ、自ら食べ物を育て、収穫し、料理を作り、食事をするという今回の役は、沢田研二によく似合っていると感じた。

丁寧に、毎日生きることの積み重ねが、人生であり、食であり、命であると思わせられた。

そして、松たか子の食事のリアクションがとても良い。観ているだけで食欲を掻き立てられるような、ものすごく素直なリアクション。これも、松たか子という人柄に合った役だと感じた。

ただ、西田尚美と尾美としのりが演じた、沢田研二の姪夫婦役が気持ち悪かった。キャラクターの深掘りがされておらず、とってつけたような意地悪夫婦役で、ここまで嫌な立ち回りにしなくてもよかったのではないかと思った。ただただ不快な役で、物語のノイズになっているように感じた。

この映画を観た後、野菜メインの和食が物凄く食べたくなった。一人暮らしの自炊をあまりしない大学生にとって、手作りの温かい食事は涙が出るほどうらやましい。橋本愛主演の『リトル・フォレスト』のように、季節の節目にまた観たい映画だ。

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