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ワーママむけ「〇〇コーチ」「〇〇コンサルタント」だらけの世界
ここ数年、SNSで目にする「〇〇コーチ」「〇〇コンサルタント」が増えてきた。
「稼げる集客コーチ」「愛されマインドコンサルタント」「自分軸を叶えるコーチ」「好きを引き寄せるキャリアコーチ」「ライフスタイルコーチ」…もう何でもアリである。
「そんなのあるんだ!」と感心するものから、「いや、それ誰が認定してんの?」とツッコミたくなるものまで、よりどりみどり状態である。「名乗ったもん勝ち」の風潮が強すぎないだろうか?
特にワーママ向けが急増していると思う(男性向けの、札束と高級車をバックにキメるギラギラ系ビジネスは昔からお馴染みである)。
「子育ても自分も仕事も私らしく輝くマインド」「お金からもファンからも愛される思考術」
そんなキャッチーな言葉を並べて、SNSでバンバン宣伝してくる。フォローしてなくても勝手に表示されてくるから厄介だ。
中には本当に実績があり、誠実に発信している人もいるが、一方で実態がよく分からない人も多い。
私も、キャリアコンサルタントの資格を持っている。きっかけは、社員から相談されることが増え、「自分の経験だけじゃ限界だな」と感じて、ちゃんとキャリア理論を学びたくなったから。
しかし、学んでみて気づいたのは、キャリアコンサルティングはそんな簡単にできるものではないということ。活かすことはあるが、「これで稼ごう!」とは全くならなかった。
一方で、資格も経験もなく「〇〇コーチ」と名乗る人たちがどんどん増えている。
SNSでは「私も昔は悩んでいた。でも〇〇で変わった!」とお決まりの成功ストーリーを連投。「無料相談」→「特別講座ご案内♡」→「高額講座への沼」という黄金ルートが確立しているようだ(あくまで私の見る限りですが)。
かくいう私も、一度はその甘い誘いに乗ったクチである(詳細はこちら参照)。
SNSで輝いている女性起業家たちの投稿を眺めているうちに、「会社員という雇われ人の自分だけではダメだ!」とまんまと洗脳された。彼女たちの「自由に生きる」「子供を急かさない毎日」といった整ったライフスタイルに憧れが募り、自己実現系セミナーに吸い寄せられて参加を決意した。今となっては、「なんだったんだろう…」という感じである。もちろん、人生を変えるような大きな発見はなかった。
自己実現系セミナーで強く印象に残った言葉がある。それは、「肩書きを作ろう」という提案。参加者同士で一生懸命話し合った。講師からは「その専門家じゃないとか、自信がないとか考えなくていい」と背中を押されたが、今思えば、「いや、そこ大事じゃない?」ツッコミたくなる。
自己実現系セミナーが終わった後に待っていたのは、次の「ステージ」へ進むためのコミュニティの勧誘であった。
この「次のステージ」、実はただの課金ステージだったと気づくのに時間はかからなかった。もちろん先には進まなかったが、「ここでやめるなんてもったいない!」と言わんばかりに、新しい講座やコミュニティが登場。しかしその先に待っているのは、やっぱり支払いなのだ。
誰かに相談すること自体はとても大事だと思っている。日本では、アメリカのようにコーチング文化がまだ根付いていないため、多くの人が悩みを一人で抱えがち。相談することで、メンタルがやられる前に立ち直ることができることもある。
私は時々、社内の大ベテランのキャリアコンサルタントに相談する。その方は、何十年と専門知識と技能を磨くために多くの時間を費やし実績もある。相談の度に「おお、納得!」となるのは、単なるアドバイスではなく、現実的かつ私の視界を広げてくれる深い洞察に触れることができるからだ。
当たり前だが、誰に相談するかは見極めなければならない。うっかり「なんちゃってアドバイザー」を選べば、貴重な時間と人生を、振り回される羽目になってしまう。
コンサルタントやコーチングで稼ぐということは、相談者の人生を大きく左右する可能性があるということ。SNSで見かける人々は、本当にその覚悟を持っているのだろうか? と思うことがある。
ちやほやされることや、自由に稼ぐことに酔いしれるために、その肩書きを使ってはいない!と自信を持って言えるのだろうか…。
結局のところ、悩めるワーママをターゲットにしたビジネスが増えている中、冷静に見極める力を養うことが大切なのだ。
お金を払う前に問うてみる。「それ、具体的にどうやって実現するの?」「相談する対価と価値は本当に見合っている?」「その人の周囲は、宗教っぽくないか?」。
感情に流されず慎重に考えることが、ワーママにとっての自己防衛であり、苦労して貯めたお金と超・貴重な時間を守る術なのだ。