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#11-1 企業の利益の最大化と従業員の働きやすさ両立の最適解、TOCとは?ー建岩 琢磨さん

こんにちは。「ワーク・ライフチャレンジ〜未来をひらく私たちの働き方〜」11話目前編は、システム会社から独立し、TOC理論に基づく業務改善、管理会計制度の導入、経営分析、人事制度の構築など、デジタルとアナログ両方の側面から企業支援を行っている T-Factory 代表の建岩琢磨さんをお迎えし、岩手県よりお送りいたします。

>>後編記事 ボトルネックに集中し短期間で成果を上げる。TOCの真髄は「ボトルネックの活用と働く人達のコラボレーション」 

🔽プロフィール
建岩 琢磨(たていわ たくま)さん
T-Factory  代表
活動拠点:岩手県を中心に東北、東日本で主に活動

システム会社で地方自治体向けのシステムや販売管理システムを開発からテスト、導入、保守までサービスを提供し業務の改善を経験。2018年より独立。システムの開発だけでなく、既存のITツールの組み合わせ、TOC理論に基づく業務改善、管理会計制度の導入、経営分析、人事制度の構築などデジタルとアナログ両方の側面から企業のご支援を行っている。TOCの活用や販売管理システムの改善により、残業代の抑制や社内での案件処理量の劇的な増加を実現し、恒常的に年間2億円の利益改善に貢献。

保有資格
・IT業務改善コンサルタント
TOCジュニアインストラクター
ワークライフバランス認定上級コンサルタント
・SE(システムエンジニア)
・プログラマー


自己紹介

──本日お話しいただく建岩琢磨さんのプロフィールをご紹介します。

前川  岩手県盛岡市のIT企業で地方自治体向けのシステム開発を担当し、2018年3月に独立。 IT業務改善コンサルタント、ワーク・ライフバランス認定コンサルタント、TOCインストラクターとして活動を開始。

システムの開発だけではなく、既存のITツールの組み合わせ、TOC理論に基づく業務改善、 管理会計制度の導入、経営分析、人事制度の構築など、デジタルとアナログ両方の側面から企業支援をされています。

TOCの活用や販売管理システムの改善により、残業代の抑制や社内での案件処理量の劇的な増加を実現し、恒常的に年間2億円の利益改善に貢献されています。

ワーク・ライフバランスとの出会い

「業務改善」の学びの中で出会ったワーク・ライフバランス

──具体的な建岩さんの活動内容、お伺いできますでしょうか。

建岩さん 私は、岩手県を中心に東北、東日本で主に活動をしております。システム会社で、地方自治体向けのシステムや 販売管理システムを開発からテスト導入、保守までサービスを提供し、業務の改善を行ってまいりました。

システム開発の仕事に携わりながら業務改善にも興味を持ち始め、2016年頃に東京でITや物流技術などの展示会、勉強会などに参加する機会を得まして、技術の進歩を感じたことと、中小企業でITに詳しい人が少ないことに気づき、独立を決意しました。

ITだけでは業務改善は難しいと感じており、昔から経営学や組織論など経営コンサルに必要な勉強をしているところ、株式会社ワーク・ライフバランスの存在を知り、そちらに関しても書籍などで勉強させていただいておりました。その2年後の2018年に独立し、すぐにワーク・ライフランスコンサルタント養成講座を受講し、資格を取得しました。


ワーク・ライフバランスの取り組み


── 独立をされて、IT、TOC、ワーク・ライフバランスの3つの視点から企業の業務改善を支援されていると理解していますが、特に重要視されている事業はありますでしょうか。

建岩さん そうですね。TOCは正式名称でTheory of Constraintsと言いますが、それを活用した業務改善をメインに事業を行っております。


前川 
ありがとうございます。

日本で17年間、出版が禁じられていた「TOC理論」とは?

── TOCは非常に興味深いなと思っておりまして、TOC理論について、実際にどのような取り組みをされているのか、ぜひお伺いできたらなと思います。

建岩さん TOCは、エリヤフ・ゴールドラット博士の「ザ・ゴール」のTOC、日本語で「制約の理論」と言います。このボトルネックに着目して改善を引き起こす理論を基に構成されております。

エリヤフ・ゴールドラット博士の「ザ・ゴール」

会社の生産性は、最も制約となる1つのボトルネックによって決定されていると、物理学で証明されています。ボトルネック以外の要素は生産性に直接影響を与えず、ボトルネックの改善が全体の生産性向上につながるという理論となっております。

あと、お金の理論です。お金の視点というのが抜けていると、業務改善の変更は難しくなります。特に、お金を意識しなければいけないのは、営利企業である、株式会社、有限会社で、実はNPOもお金を稼がなければいけませんが、営利企業やNPOというのは、お金の観点を考慮しないと行き詰まるということがあります。


前川
 なるほどですね。このボトルネックというのは、その組織にとって1つだけということですね。


建岩さん
 はい、その通りです。組織の中で1つしかないというものになっています。 このTOCという理論は、1984年に書籍「ザ・ゴール」が発表されて以来、その有効性が世界的に認められています。日本のビジネス界に本格的に導入されたのは、2001年になってからなんです。

実は、著者の意向で、17年もの間、翻訳出版されることを禁じられておりました。1984年は日本企業が世界経済を席巻しておりまして、これ以上の独占が起きると世界経済が崩壊するとエリヤフ・ゴールドラット博士は考えておりました。裏を返すと、それだけ書籍で紹介されている内容が強力であるということです。


前川
 そんなに強力な理論なのですね。


ボトルネックの図


生産性を阻害する3つのボトルネック

建岩さん 組織の生産性を阻害するボトルネックを大きく3つに分類しています。

■1つ目 物理制約
設備、人員、教育など、物理的なリソース不足が原因となる制約

■2つ目 市場制約
需要の不足や、外部環境の変化(人口減少など)による制約

■3つ目 方針制約
会社のルールや慣習、固定観念などが原因となる制約

物理制約は、先ほど申し上げた通り、設備や従業員が足りないとか、教育が足りないとか、1番わかりやすいものとなっております。これは皆さん、すぐに取り組むことは多いことです。しかし、これだけでは解決しないことがあります。

市場制約は、例えば、供給能力はあるのに、市場の需要が少ない場合、逆に需要はあるのに供給が追いつかない場合などがあげられます。コロナの時のようにマスクやアルコールが不足した状況というのがわかりやすい例です。

方針制約は、1つの例として、企業の方針制約というのも市場制約と合わせて影響を受けることがあります。自社の製品が市場のニーズに合わなくなっている場合や、人口構成の変化によって需要が減少する場合などです。

人口ピラミッドの変化は、例えば住宅市場の需要の変動に大きく影響を与える典型的な例と言えると思います。このようにですね。頭の中にもボトルネックが存在する場合があります。


これらの制約の中で、最も組織の生産性を阻害しているボトルネックを特定し、改善することで、組織全体の効率化を図ることができます。ボトルネック以外の部分に改善を加えても、会社や組織の生産性向上には繋がりません。

逆に言うとですね、このボトルックだけに向かって集中して業務改善ができるし、それが1番早いということなのですね。


改善の手順



前川
 まず、その物理、市場、方針制約、この3つの種類のボトルネックがあるということを、 全然私も知らなかったので、すごく勉強になりました。「ボトルネックだけに向かっていく」というところで、それ以外は改善しても意味がないというか、なんかそこのお話がすごいことだなと思いました。


ボトルネックに100%選択と集中


建岩さん
 ありがとうございます。TOCでは、組織の生産を左右するボトルネックに集中して改善を行うことが重要となっております。ボトルネックとなる工程は、組織全体の生産能力を決定するため、100%稼働させる必要があります。

しかし、他の工程は100%稼働させる必要はありません。むしろ、ボトルネックに合わせた適切な生産量を調整することで、組織全体の効率を最大化することができます。

ボトルネック以外の工程で残業したり、無駄な作業を行ったりすることは、組織全体の利益にはつながりません。ボトルネックの改善には、部署間の連携が不可欠です。ボトルネックとなる工程の作業を他の部署が手伝ったり、ボトルネック解消のための新たな仕組みを導入したりすることで、組織全体の生産性を向上させることができます。

また、TOCは、単に効率性を追求するだけではなく顧客、従業員、そして会社全体の利益を、バランスよく実現することを目指しております。お客に満足のいく製品やサービスを提供し、従業員が働きやすい環境を整備することで、長期的な企業の発展につなげることが重要です。


前川
 ありがとうございます。お伺いしまして、TOC理論が当時、日本に紹介されなかった理由が本当によく理解できます。この理論が広く知られると、日本の生産性がより高まって、その当時の世界経済が大きく変わってしまうほどのインパクトがあったのだなっていう風に感じました。

ボトルネックの改善に必要な手法

──先ほどボトルネックの改善に、部署間の連携が不可欠だと伺いましたが、この理論を社内に定着させるためにはどのような取り組みがあるのでしょうか。

建岩さん 本来、企業はボトルネックを解消して利益を最大化するために存在しております。そのためには、会社全体を良くするための部署間の壁を越えて、お互いの仕事を理解して協力することが不可欠です。

ボトルネック解消という共通の目標に向かって部署を超えた連携を強化するためには、 チームメンバーが自由に意見交換できるような環境が不可欠となっております。

そのため、自社に業務改善するための人手が足りない場合や、その知識や経験が少ない場合、外部の専門家を招いて様々な手法を検討する必要があります。


前川
 ありがとうございます。部署間を超えた連携を強化するための手法というところなのですけれども、これはもう是非次回にお伺いできたらと思います。本日はありがとうございました。


建岩さん
 ありがとうございました。では、次週もよろしくお願いいたします。


前川
 よろしくお願いいたします。

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経営戦略としてのワーク・ライフバランス福利厚生の一環ではなく、企業業績向上のために。 現代の社会構造に適応し人材が結果を出し続ける環境を構築する「サスティナブルな働き方改革」のプロフェッショナル集団です。

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大家 三佳
東京在住、京都造形芸術大学卒。子育てをしながら、水彩画、ドローイングを中心に人、食べ物、動物を描くイラストレーター。パッケージやポスター、グッズなど幅広い分野で活躍中。透明感のある優しいタッチで、日常の風景や人物を描く。ペーターズギャラリーコンペ2014 宮古美智代さん賞受賞など。


編集、プロデュース、インタビュー:前川美紀(ワーク・ライフチャレンジ プロジェクト代表/ブランディングディレクター)
note編集:松本美奈子(次世代こども教育コンサルタント/認定ワーク・ライフバランスコンサルタント)


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