#9-1 フラットに話し合える学びの場。オンラインサロン「一人から始めるワーク・ライフバランス」ーせっきーさん
こんにちは。「ワーク・ライフチャレンジ〜未来をひらく私たちの働き方〜」9話目前編は、IT関係の会社で勤務しながら、オンラインサロン「一人から始めるワーク・ライフバランス」の取り組みを、立ち上げ期から活動しているせっきーさんをお迎えし、大阪よりお送りいたします。
>>後編記事 #9-2 定時退社につながる習慣。日常から未来をつくるワーク・ライフバランスーせっきーさん
自己紹介
──本日お話しいただくせっきーさんのプロフィールをご紹介します。
前川 では、オンラインサロン「一人から始めるワーク・ライフバランス」についてご紹介します。「一人から始めるワーク・ライフバランス」は、組織内で働き方改革を実践していると、時には心が折れそうになる時もある。
そんな時に、社外のワーク・ライフバランスを推進する仲間との交流を通じて、社外の事例を聞いたり、本来やりたかったことを言語化したり、思考を整理したりすることによって、継続的な実践につながる場を目指す共有と実践の場として運営されています。
職種も経歴も異なるメンバーが集まることによって、組織内だけでは気づくことができない多様な知識、経験を共有し、それぞれの取り組みに活かせる場を目指し活動されています。
ワーク・ライフバランスとの出会い
多様な組織の仲間と励まし合いながら活動するコミュニティ
──具体的なせっきーさんの活動内容をお伺いできますでしょうか。
せっきーさん はい、ありがとうございます。大阪を拠点に、IT関連の会社で約15年勤務しています。10年前にワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座を受講し、現在は認定コンサルタントとして社内での働き方改革を推進しているところです。
認定コンサルタントになった当初、自社の組織内でワーク・ライフバランスを推進したいという思いを持ちながらも、うまく進められず、孤立感を抱いている方々がおりました。
そんな中、同じく養成講座卒業生の飯島さんの提案をきっかけに、当時ワーク・ライフバランス関西(以下、WLBC関西)の代表をされていた瀧井さんからお声がけいただきました。
そして、 WLBC関西のメンバーを中心に情報交換や相互支援を行うコミュニティが誕生しました。コミュニティでは、 ワーク・ライフバランスに関する悩みを共有したり、社内での新事例を学び合ったりすることで、お互いを励まし合いながら活動してきました。
前川 ありがとうございます。「一人から始めるワーク・ライフバランス」のお話を伺いまして、そのような心強いコミュニティがあるということに、大変感動しました。社内で働き方改革を推進する中で、日々の取り組みが停滞してしまうということが、たくさんあると思います。そういうお声もよく聞きます。そんな時に、情報交換や相談ができるコミュニティの存在というのは、本当に大きな心の支えになると思います。
── 現在どのように運営されているのか、お伺いできればと思います。
せっきーさん スタートした当初は、情報交換の場としてスタートしました。次第にコンサルティングのスキルアップに焦点が移っていき、コミュニティの方向性がちょっと変わってしまったため、一部のメンバーが離れていく時期がありました。
その後、飯島さんがコミュニティを離れて、残ったメンバーで情報交換を続けていましたが、人数が少なくなっていき、一時期は私一人だけになってしまった時期もありました。
前川 そうだったのですね。
せっきーさん その後、現在の運営メンバーの一人であるべっちさんが復帰されたことによって、再びオンラインサロンを立ち上げるなど、新たなコミュニティとして生まれ変わったことによって、今までより柔軟な活動が可能になりました。
前川 ありがとうございます。情報交換や相談を中心にしていたコミュニティが、スキルアップを目的とする方向に変わっていったために、1度活動見直されて新たにスタートされたということですね。
ワーク・ライフバランスの取り組み
互いの意見を尊重しフラットに話し合える場
──現在どのようなメンバーでコミュニティを運営されているのでしょうか。
せっきーさん はい、次のような条件があります。株式会社ワーク・ライフバランスの認定コンサルタントである方。もちろん認定上級コンサルタントの方も入っていらっしゃいます。
そして、独立系のコンサルタントの専門家の立場ではなく、組織で働く一員として、ワーク・ライフバランスを実現していくことに関心があって、仲間と共にワーク・ライフバランスを広げていきたい方々で構成されています。
「フラットに話し合える場」というのを大切にしており、名前は愛称で呼び合っています。職種や肩書きにはとらわれずに、それぞれの経験や知識を共有し、意見を交わしています。現在は10名ほどのちょうど良い人数で活動しているところです。
専門家の方のアドバイスも貴重で大切なのですが、組織の中で実際に働きながらワーク・ライフバランスを実現したいと考えている私たちにとって、 同じ立場で考えて行動できる仲間の存在は大きな力になります。
組織で働く一員として、ワーク・ライフバランスを実現したい方の視点に立って傾聴を重ね、対等に接し、組織内での実践に伴走してくださる方の参加を歓迎しています。
前川 ありがとうございます。せっきーさんも愛称で呼び合っているということで、今回は、「せっきーさん」とご紹介させていただいております。皆さん、職種もキャリアも様々な方がいらっしゃるということですよね。
せっきーさん はい、そうです。
前川 職種とかキャリアのお話をされると、ついついその意識で見てしまい、なんとなく、相談しにくくなるということも今まであったのでしょうか。
せっきーさん そうですね。スキルアップの話が中心になった事があって、その時は置いていかれたような感覚になった方もいたようです。みんなの会社や組織での話が聞きたいのだけど、まるで勉強会のような内容になってしまい、それは、自分の求めているものではないと思うような時期がありました。
前川 そうですよね。今、社内で悩んでいることを話したり、聞いたりしてほしいと思いますよね。私も、すごくそう思う方なので、よくわかります。フラットに話し合い相談できる場所があると、前向きにワーク・ライフバランスを推進できると思いますので、本当に良いコミュニティだなと思って伺っておりました。
せっきーさん ありがとうございます。
フリーアドレスなどの自主イベントや勉強会
──では、実際の活動内容としては具体的にどのようなことをされているのか、お伺いできたらなと思います。
せっきーさん 主な活動は2つです。1つ目が、サロンメンバーによる情報共有会を月1回1時間程度Zoomで実施しています。2つ目は、個々のサロンメンバーが呼び掛けたイベントや勉強会を自主イベントとして不定期で開催しております。
それ以外に、Facebookのグループページで情報交換をしたり、情報発信をしたりというようなことも行っています。
──例えば、どのようなイベントや勉強会というところで、どういったことをされてきたかというのもお伺いしてもよろしいでしょうか。
せっきーさん 月1回の情報共有会では、例えばコロナ禍における働き方の変化をテーマにした座談会や、フリーアドレスの導入後の感想の共有などを行いました。
自主イベントとしましては、最近注目されている睡眠の質の向上のための取り組みとして、睡眠に関するチャレンジをしている方をお招きして、経験談をお聞きする機会も設けたりしました。
前川 ありがとうございます。「フリーアドレス」も、「睡眠の質向上」というところもすごく興味深いです。
──例えば、最初に伺ったフリーアドレスの導入後の感想の共有というのは、どういう内容がありましたでしょうか。
せっきーさん そうですね。フリーアドレス導入の経験が異なり、導入したばかりの人であったり、 もう何年間もやっている人であったり、いろんな経験値の人が集まり、フリーアドレス導入による変化や課題について活発な意見交換が行われました。
特に、導入初期の混乱やリモートワークとの関係性など、実体験に基づいた具体的なエピソードが共有されて、参加者同士で共感し合いました。導入初期の段階にある方は、経験値が高い方のお話がとても参考になったようです。既に経験されている方は、ご自身の導入初期の頃に遡った話になりました。
前川 それは興味深いですね。
せっきーさん 踏み込んでフリーアドレス導入の目的や効果について改めて議論をしたりして、真意を深く掘り下げるような議論も展開しました。
前川 ありがとうございます。
──せっきーさんの会社では、フリーアドレスを導入されておりますでしょうか。
せっきーさん はい。導入して2年ちょっと経ったくらいかと思います。コロナの頃から始まって、だんだんバージョンアップしていった感じです。
前川 そうなのですね。
──フリーアドレスをやってみて、ご感想はいかがですか。せっきーさんとしてはどのように、感じておりますか。
せっきーさん そうですね。ペーパーレスが進んだことで、自分の荷物が減りました。予想外の効果だったので、驚きましたが、かなりペーパーレスになりました。
前川 素晴らしいことだと思います。私はデザイン会社に勤めていますが、デザインを確認する上で、何枚もプリントアウトをします。なんだか、時代に、合っていないなと思いながらやっているところがあるので、資料の出力は最低限にするなど、見習いたいと思います。
7時間睡眠の大切さ、睡眠の質向上への取り組み
──その他に睡眠の勉強会では、「睡眠の質を上げるための取り組み」にチャレンジをされた方をお招きしたということで、こちらもお伺いしたいです。
せっきーさん そうですね。睡眠に関する勉強会では、実際に、勤務間インターバル制度を実践している方をお招きしました。制度導入後の変化や、7時間睡眠を確保するために工夫していることなどを具体的にお話いただきました。
前川 ありがとうございます。勤務間インターバル制度の実践者の方お招きされたということですが、制度自体は、これからもっと広まっていくところかと思われます。
──ちなみに、せっきーさんの会社でも取り入れていますか。
せっきーさん 制度としては、徐々に認知されるようにはなっておりますが、まだ具体的に制度を取り入れる実践はしてないです。
前川 ありがとうございます。
──先ほどのお招きした方の「勤務間インターバル制度」を実践された体験談を、お伺いできればと思います。
せっきーさん そうですね。勤務間インターバル制度実践の体験談では、7時間の睡眠をとるため、退勤してから、次に出勤するまでの休息時間を9時間以上が義務、11時間以上の確保が努力義務(厚生労働省推奨)としてインターバルを取り、働く人の生活時間や睡眠時間を確保する活動です。
睡眠時間を確保するために、何時までに退勤しなければいけないかを逆算し、その退勤時間に合わせて働き方を変えるという内容のお話でした。それについて、働き方をどう変えたかというお話がすごく参考になりました。
前川 それはすごく興味深いですね。睡眠の質というところが、生活の質に大きく影響すると思います。私も、娘のために睡眠の大切さを学んで、生活習慣を見直しましたが、7時間睡眠を毎日取り続けるというところは、すごく難しいなと感じています。
──せっきーさんは、7時間睡眠を確保するために、何か特別な習慣や工夫など、されておりますでしょうか。
せっきーさん はい。私は、なかなか7時間の睡眠を取ることはできませんが、就寝2時間前には部屋の明かりを暗めにして、せめて日付が変わる前には布団に入るように心がけています。
前川 ありがとうございます。2時間前から部屋の明かりを暗くするというのは、本当に良いことだと言われていますよね。私も娘の寝かしつけの時に同じく、明かりを暗くした部屋に連れていくということをやっております。娘の場合は、暗い部屋に入ると、割とすぐに寝るという感じで、それをずっと続けて、習慣付けるということがすごく大事だと、娘を見ていて思います。
睡眠については、株式会社ワーク・ライフバランスの小室淑恵さんのお話でも、「人間の脳は起きてから13時間しか集中力を持たない。そこからは酒酔い運転と同じ集中力しかない。だから残業せずにお酒を飲みに行った方が良い」というお話を、すごくされていますよね。
それを実感した私のエピソードがあります。結婚する前は、長時間労働者でしたが、家が職場から遠く、なおかつ駅からも遠いというような、山の上のようなところで住んでおりました。終電で1時間半ぐらいかけて最寄り駅に到着し、駅に着いて歩くと1時間ぐらいかかるような場所に家があるので、原付バイクで移動していました。
自分でも「頑張っているな」と感じていました。しかし、そういう生活をしていると成果に繋がらないのです。更に朝も早く出勤して頑張ろうと思い、重い瞼を必死でこじ開けて、原付バイクに乗っていたのですが、今思うとよく事故が起きなかったなと思います。
私の仕事の成果は、良いデザインに繋げるというものになりますが、先程の小室さんのお話で言うと、「脳が死んでいる時間に必死でやっている。」ので、アイデアが枯渇してしまいます。「よりいいアイデア出さない」と、もう必死になり睡眠を削る、そんな日々を続けていました。結婚後、主人に「終電生活だけはやめてくれ」と言われ、早く帰るようにしました。
そうすると、仕事で提案する内容が変わり、お客様からの依頼がすごく増えていったという経験があります。もちろん、私だけで全ての仕事をやっているわけではありませんが、「睡眠の質の向上」を意識していくことによって、成果に繋がっていくというのは、実感しました。
成果が上がっていく理由が睡眠ということには、その時は繋がってはいなかったのですが、小室さんのお話を伺ってから、「なるほど、あの時はそういうことだったのか」と気づき、目から鱗でした。
今も、睡眠を取れた日と取れなかった日のパフォーマンスがあまりにも顕著で、早く寝る娘と、できるだけ一緒に寝るようにしようと心がけています。
せっきーさん そんな風な生活を送られていたのですね。小室さんの「13時間を過ぎると酒酔い状態だ」という睡眠のお話は、私もすごく頭に残っていて、大切なことだと思っています。
▼ 睡眠が生産性とハピネスを実現する小室淑恵さんの動画
前川 そうですよね。ありがとうございます。では、次週ですが、せっきーさんはワーク・ライフバランスを推進されてもう10年以上になられると思いますが、「一人から始めるワーク・ライフバランス」の取り組みも一番長く活動されていらっしゃると思います。
社内でワーク・ライフバランスに取り組もうと思われたきっかけや、現在の取り組み内容を、ぜひお伺いできればと思っております。来週もよろしくお願いします。
せっきーさん ありがとうございます。では、次週もよろしくお願いいたします。
前川 ありがとうございます。
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株式会社ワーク・ライフバランス
経営戦略としてのワーク・ライフバランス福利厚生の一環ではなく、企業業績向上のために。 現代の社会構造に適応し人材が結果を出し続ける環境を構築する「サスティナブルな働き方改革」のプロフェッショナル集団です。
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大家 三佳
東京在住、京都造形芸術大学卒。子育てをしながら、水彩画、ドローイングを中心に人、食べ物、動物を描くイラストレーター。パッケージやポスター、グッズなど幅広い分野で活躍中。透明感のある優しいタッチで、日常の風景や人物を描く。ペーターズギャラリーコンペ2014 宮古美智代さん賞受賞など。
編集、プロデュース、インタビュー:前川美紀(ワーク・ライフチャレンジ プロジェクト代表/ブランディングディレクター)
note編集:松本美奈子(次世代こども教育コンサルタント/認定ワーク・ライフバランスコンサルタント)