津軽三味線 奏者事典 #2 木乃下真市
キング オブ 津軽三味線 木乃下真市
どんな人? 津軽三味線の大会にて審査員長を務める、現津軽三味線界における重鎮。 昨今では「津軽三味線 三羽鴉」という表現を使わなくなったが、現在に用いるならば、確実にその筆頭となる存在である。 その演奏は、厳しく、鋭く、最も「津軽らしさ」を継承・体現している奏者であり、誰しもが認めるキング オブ 津軽三味線。
活動領域 古典 :☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ /10 現代曲 :☆☆☆☆☆☆☆⭐︎★★ /7.5 前衛度合 :☆☆☆☆★★★★★★ /4 コラボ :☆☆☆☆☆☆☆☆★★ /8 認知度 :☆☆☆☆☆☆☆★★★ /7
生い立ち 1965年、和歌山県にて細棹・民謡・歌謡曲のプロのである父、三味線弾きである母の間に生を受ける。 10歳の夏、盆踊り大会にて櫓に上がる父に憧れ本格的に三味線を始める。 高校卒業後には、上京し民謡酒場で働くようになるが、津軽三味線の真のプロの音を聞き、自信を打ち砕かれるこことなる。以後、文字通り津軽三味線漬けの生活が始まり、浅草の店で2年、神田の店で2年の修行を経て、1986年の弘前大会にて、自身初の優勝のタイトルを勝ち取る。 以降、和歌山県出身ながら「津軽らしさ」にこだわり続けながら、一方でプロとして活動する中で他ジャンルとコラボするなど、津軽三味線の可能性を開拓してきた。本人が津軽三味線の会派・流派には属していなかった事が、そうさせたのかも知れない。 現在も第一線で活動しているが、大会理事等も務め津軽三味線の継続と発展に尽力している。インタビューにおいて、尊敬する奏者として白川軍八郎と木田林松栄の名を上げている。
活動および受賞歴 1986年 津軽三味線全国大会(弘前) 優勝1987年 津軽三味線全国大会(弘前) 2連覇 2000年 山田千里杯争奪戦(歴代優勝者大会 =グランドチャンピオンシップ) 優勝 2000年 和歌山市文化奨励賞 受賞 上妻宏光とは大会で競い合った関係であるが、その後に意気投合し、2人でイベント行う等、親交がある。
作品紹介
1、津軽じょんがら節(曲弾き) 力強い叩き、ツボ、グルーヴ感、三味線の鳴り、三の糸の高音の音色、これら津軽三味線の技術が全て極限まで高められ集約されている。1の糸の叩きでは背筋が正されるような迫力を、3の糸の高音部では細かいながらも粒だった鈴のような音を聞くことが出来る。
2、津軽じょんがら節(乱れ弾き…上妻宏光)
上妻宏光との乱れ弾き。 先手の上妻がシンプルながらも基礎力の高いお手本のような演奏をみせる。対して後手の木下は、強弱に幅を持たせたり、間を取る事で緩急をつける。次の上妻の手は細かく音数の多い手で盛り返しを図る、一方の木下は手数に対して叩きで応戦する。以降は、2人が異なるフレーズを奏でるのだが、決して反発し合うことなく、複雑かつ細密に絡まりあい、同調し曲のラストに向かっていく。
活動領域について 古典:民謡や和楽器が主軸かどうか。 現代曲:オリジナル現代曲が主軸かどうか。 前衛度合:ストリートカルチャー、サブカルチャーとの親和性。 コラボ:他ジャンルや他アーティストとのコラボ頻度。 上記について、筆者の視点でまとめました。
参考文献
津軽三味線 まんだら(松木宏泰 著)
Tsugaru Shamisen Style Book(木下伸市 著) 木乃下真市 オフィシャルサイト
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