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サーキュラーエコノミーを推進する「Used in JAPAN」〜戦力外Jリーガー社長の道のり47
前回は、スワイプ一つで数百万、数千万単位の入札ができるオンライン時代のオークションの可能性について触れました。今回は、その中でも、日本市場が秘める可能性についてお話ししようと思います。
前回はこちら
「Used in JAPAN」が世界で評価されている
以前アメリカ視察で感じたことをお伝えしたことがありましたが、
高級ブランド品のセカンドハンド市場では、「Used in JAPAN」が一つの“ブランド”になっています。
その理由はいくつかありますが、まず挙げられるのは、モノを大切にする日本人の国民性からか、傷みの少ない美品が多いこと。
環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんが着目したことで世界的にも話題になった「MOTTAINAI(もったいない)」の精神の賜物でしょうか、バッグにしろ時計にしろ古着にしろ、「日本産」はとにかくコンディションがいいのです。
日本特有のブランド品の売買サイクル
そこに加えて、日本特有の購入後3カ月から半年で手放し新しいアイテムを購入する「サイクルの早い購買層」が一定数いることも無視できません。
欧米に目を移すと、ラグジュアリーブランドなどの「いいモノ」を購入したら、それをなるべく長く使う、「いいモノ」は、親子や孫の代まで長く使えることも価値に含まれるという考え方が一般的です。
使わなくても家においておく、またはフリーマーケットのような狭いコミュニティの中で売買する習慣があります。フリーマーケットもセカンドハンド市場ではありますし、歴史的に見れば私たちの先輩に当たるリユースの源流ではありますが、その成り立ちから、地産地消で小規模という側面が強いのです。
世界が注目する「宝の山」
価値のある物を求める業者が各所のフリーマーケットに押しかけたり、インターネットオークションの普及もあり、現在ではその価値観は大きく変わっていますが、日本のセカンドハンド市場はバブルを経て独自の方向に発展していったことは間違いありません。
顧客がモノをポジティブに手放している日本には、大量の質の高いストックが眠っている。
しかも、リユース市場にすでに出ているモノは、全体の20%にも満たないといわれています。世界からすれば日本のセカンドハンド市場、リユース市場はまさに宝の山です。
中国の富裕層が希少価値のあるリユース品を爆買いしていることはよく報道されていますが、すでにアメリカの企業が日本に仕入れに来ている現実もあります。
補足すると、買取業者の真贋鑑定の技術が高いことも「Used in JAPAN」の強みになっています。
広がる換金ニーズ
近年、特に顕著なのが換金ニーズの高まりです。
例えば、おばあちゃんの原宿として知られる巣鴨の地蔵通り商店街では、数十メートルおきに販売を行わない買取専門店が並ぶようになりました。金の価格上昇も相まって、持ち物の換金性に対する関心は確実に高まっています。
不況の影響もあり、買取専門店は全国的に増加傾向にあります。しかし、これは単なる経済環境の反映だけではありません。むしろ、日本人の価値観が「所有」から「循環」へと変化している表れともいえるでしょう。
セカンドハンド市場が拓く循環型社会の可能性
国内市場は人口減少などで需要の縮小が懸念される一方で、国内でのリユース品の売買が進めばそれがそのまま世界市場にダイレクトにつながる。
これは単にリユース業界が成長する、一企業が潤うという類いの話ではなく、循環型経済を推進する動きになることもこれからの社会にポジティブでしかありません。
モノを大切にしながらも、適切なタイミングで手放す。
もともとあった日本の文化が、「モノを資産として捉え、流通させる」という行動に結びついたとき、世界規模でセカンドハンド市場の新たな可能性が生まれるのです。
つづく