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【散文】へだたりの

稲光の閃きが四方の闇を白く晒したとたんに、轟音が鳴り響いて怖気づいた。かがやきが引っ掻く視界を、つんざくようにしてわたしの胸の音叉もたまさかに蘇った。

わめき散らす、がなり立てる、咆哮、どの形容もこの場合ふさわしくない。ただ単に光と音のへだたりが、思わせ振りにその場を牛耳っていた。

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voyant(まみえる人)
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