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【散文】屋根の

丘陵地に建ち並ぶ家々の屋根がさまざまな色に縁取られていた。茶、緑、灰などがひっきりなしに折り重なってひとつの翼を象(かたど)るようだ。

色味自体が、くずおれたまま所在なさを持て余し、草臥れた人々の生活を物語っている。いくたびも色褪せる瓦屋根の下では、誕生や死の営みを経て後、歓喜や悲哀が法外なまでに閉じ込められていただろう。

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voyant(まみえる人)
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