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強制参加のPTA活動をボランティア制に!|宮崎市の小学校の取り組み

PTA活動に関する宮崎放送の記事を見つけましたので、今回はタイトルにも書いたように宮崎市のPTA活動の事例を紹介しながら、ボランティアの実態やその課題を考えていきたいと思います。

よく「PTA活動は、ボランティア」と言われます。
しかし実態は、強制参加の役員制がほとんど。ボランティアのキー概念である「自発性」なんてほとんどない奉仕活動であり、いつか回ってくる強制的な役割として認識され、忌避されているのが現状です。

今回、PTA活動の変革を起こした宮崎市にある小松台小学校においても同様で、これまでは以下のような体制でPTA活動を行っていました。

  • 1人1役が原則

  • 約10の部会で活動

学校に所属する児童数によって部会の数などに違いがあるかもしれませんが、同じような体制のPTAが多いのではないでしょうか。

役員制を廃止

小松台小学校では、PTAの役員制を廃止し、新年度から「行事ごとにボランティア募集をする」という仕組みに変更しました。
それに伴って、部会ごとに2ヶ月に1回ほど行っていた定例会もなくなったとそうです。
重い腰を上げて参加していた保護者にとっては大きな負担減ですね。

そして何より、当日参加のボランティアも受け入れやすくなったことで、PTA活動に参加する保護者自体が増えたようです。
多様な保護者が参加できる・参加したいと思えるようになったこの状態にこそ、この変革の成果があるように思います。

排他的な小集団によるボランティア活動のデメリット

部会など、小集団で特定の役割を担い、定例会などを重ね、時間をかけて準備していくタイプのボランティア活動では、その役割に対しての思い入れが強くなりやすく、「自分たちがやらなければならない」という意識や責任感も大きくなりやすいです。そして同時に、「他の人に任せたくない・任せられない」という思いも大きくなってしまう傾向にあります。
そのような排他的な小集団では、それぞれ個々の結びつきは強くなるかもしれませんが、その活動によって得られる成果や達成感、悩み、苦労、課題などが他の人とシェアされにくく、組織全体での取組を前に進めるという点で問題になることも。。
そのような状態で行われたPTAの部会活動は、自己満足的に終わり、きっとその次の年にその役割を担当する人たちが困るはずです。

オープンな体制による効果

当日参加しやすくなった、これまでPTA活動に参加しなかった層のボランティア参加が増えた要因の一つに、上記のような閉塞的で排他的なつながりがなくなり、オープンな体制になったことで、純粋にその活動だけに関わることができるようになったこと、つまり、面倒くさい関わり合いをしなくても良くなったことがあると考えます。

「誰かに任せる」ことにより、「誰もが自由に関わることができない」ようにするのではなく、むしろその逆で、「誰もが自由に関わることができるようにする」ことで、「誰かに任せることをなくす」ことを実現したのが今回の事例なのではないでしょうか。

課題

記事中では、良い反応だけでなく、今後の課題についても言及されています。

(ボランティアに)出る人が固定化される、そういった不安もあって・・・

上記はPTA会長の言葉ですが、自発性を尊重したボランティア制にすることによって、役員制のときに行われていたような参加者のコントロール=動員をすることができなくなります。そのため、参加者が偏ることがあるかもしれません。
行事によって人気のあるものと、そうでないものが生まれ、参加者数が安定しないということも考えられます。
それでもボランティアを集めるためにはどうすれば良いのでしょうか?

ここで求められるのは、ボランティアに求める役割を最大化しないことです。
ボランティアが関わることによって、本来あるものがより良くなる、より豊かになることが期待されるわけで、そもそも+αの存在であることが前提にあります。

しかし、ボランティアが担うものが大きくなればなるほど、そしてそれを当たり前のように求められれれば求められるほど、負担は大きくなり、参加のハードルを高めてしまい、誰も参加したくなくなってしまいます。
これでは役員制のときの状況に逆戻りですよね。

だからこそ、元々ある役割は最小化しなければなりません。
そのうえで、その時集まったボランティアがアイデアを出し合い、自分たちにできる範囲でより良くしていくことができれば、ボランティアにかかる負担が減り、より気軽に、誰でも参加しやすい活動になるでしょう。

まとめ

強制的な奉仕活動によって行われる活動は、伝統的に必要とされてきた役割を担っているわけですが、それは本当に必要なことなのでしょうか?
本当に必要なことだとするならば、それは誰もが参加できるようにすべきなのではないでしょうか?

誰もが参加するためには、「①参加したいと思える活動であること(活動の価値・魅力の最大化)」と、「②参加したいと思った人が参加できる仕組みであること(参加の仕組みの整備)」がともにあることが重要です。
学校・地域ごとに歴史や文化が違うため、一概には言えませんが、今回の事例のように課題を抱えながらも変革を恐れず、①・②の実現にチャレンジするPTAが増えれば嬉しいなと思います。

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