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医療と心理学と神経生理学の今(講演会ふり返り)
2024年9月15日(日)
待ちに待った、横田医師による講演会が、生涯学習センターくすのきにて開催された。みんカレスタッフや、ボランティアメンバーも、参加させていただいた。
テーマは『子どもの心と体の痛み』
横田医師は、リウマチの専門医であり、小児科医だ。横田医師が言うには、不登校の子どもに多い「若年性線維筋痛症」なる症状を、多くの医師も、現場の先生方も知らない、とのこと。
全国30万人にのぼる、不登校児童生徒の現状把握のためのアンケートがある。そこでは、不登校の理由として、「無気力・不安」が半数近くを占めており、報道でよく目にするような「いじめ」「人間関係」のような、分かりやすい原因は、実は、さほど多くない。
しかし、これは教師側から見た回答であり、保護者・当事者への調査では、「体調不良」「生活リズムの乱れ」「自分でも分からない」が多くを占めている。
つまり、きっかけや原因を突き止める前に、子どもの体に異変が現れ、正常な学校生活が送れなくなり、結果、不登校になってしまう(ならざるを得ない)という状況が、事実としてあるということだ。
講演の中で横田氏は、「慢性的なストレス反応により、自律神経のバランスが崩れ、身体の恒常性機能が保たれず、結果として、ホルモン分泌異常や脳に炎症を起こす。それにより、感覚過敏や過敏性腸症候群、起立性調節障害、線維筋痛症など、別々に診断されていた多種多様な病相を、引き起こしていると考えられる。」と話す。
これはまさに、心と身体が、密接につながっていることを示し、子どもの発する「痛み」のSOSは、脳への深刻なダメージの警鐘である、と言える。
生命維持の主要な部分に、炎症を起こすほど、そして体のコントロールが効かないほどのストレスがかかっており、決して、怠けや努力不足、単なる不安などではないのだ。
参加者の、「どのように声をかけたらいいのか」という質問に、
『子どもの様子をよく観察してほしい。そして、楽しくて没頭できる趣味を見つけること。喜びや意欲を取り戻せば、脳内に自然とダメージを癒す物質が出る。大人の見方や印象で決めつけるのではなく、子どもの側の視点に立ち、辛いという気持ちに寄り添うこと。心から子どもを信じること。」と、答える、横田氏の笑顔が印象的であった。