名将グァルディオラと「ストーリーとしての競争戦略」
本日のテーマですが、サッカーイングランドのプレミアリーグから
マンチェスター・シティのグアルディオラ監督について取り上げます。
マンチェスター・シティですが、5月12日、2年ぶりにプレミアリーグの優勝が決まりました。また、欧州最強チームを決めるチャンピオンズリーグの決勝戦に進出しています。
そして、マンチェスター・シティを率いるグアルディオラ監督ですが、サッカーファンのリスナーの方であれば、稀代の戦略化として知っている方も多いのではないでしょうか?
また、色々な戦術の発明や試みをしております。
例えば偽9番、偽サイドバック、ゴールキーパーのリベロ化などです。
今日は、グアルディオラ監督の発明や試みから、ビジネスシーンでのポジショニングなど考えていきたいと思います。
このnoteはVoicyの過去の放送の一部を文字に起こしたものです。
グァルディオラ監督の経歴、偽9番や偽サイドバックなど相手の意表を突く戦略
まず、稀代の戦略化である、グアルディオラ監督の経歴について簡単に触れさせていただきます。
1971年1月生まれの50歳。
現役時代はスペインのFCバルセロナに在籍、攻撃と守備のパイプ役である、ボランチや司令塔として活躍、スペイン代表としても活躍します。
現役時代の晩年は、セリエAのブレシアやローマ、カタールやメキシコのチームにも在籍、2006年に引退をします。
指導者としてのキャリアについてですが、
・2007、2008年シーズン バルセロナBチームの監督として就任。
・2008〜2012年シーズンはバルセロナのトップチームを率いて、リーグ戦優勝や欧州ナンバー1を決めるチャンピオンズリーグ制覇に導きます。
この頃から、名称、稀代の戦略家としての地位を確立します。
2013年〜2015年はドイツの名門、バイエルンミュンヘンの監督に就任。ここでもリーグ戦優勝に導きます。
そして2016年のシーズンから、マンチェスターシティの監督します。チームにポゼッションの考えを埋め込み、さまざまな有能な若手をはじめとした選手の才能を開花させます。
就任して5シーズンで、実に3度リーグ優勝に導きました。
今シーズンの序盤は、レスターシティに5対2で大敗するなど、スタートダッシュに失敗したシーズンでもありました。
グアルディオラ監督は、これまでのチームでは在任期間が3〜5年ぐらいだったので、そろそろサイクルが終了してしまった、退任してしまうのではとも危惧されました。
しかし、そこから的確な守備陣の補強をするなどで見事立て直し、中盤から、終盤にかけてほぼ負けなしで、突っ走り今週水曜日にリーグ優勝に輝きました。
さらに、バイエルン時代からチャンピオンズリーグ決勝に縁がなかったのですが、今シーズンはいよいよ決勝まで上り詰めました。
以上がざっくりとした経歴です。
ここからは、采配の特徴についてです。
就任したチーム及び選手に、ポゼッションサッカー、すなわち、ボール支配率で相手を圧倒する、攻撃時に数的優位に立つための戦略を植え付けます。
これは、サッカーは最終的に相手チームより多く得点を取る、支配するためには数的優位に立つためにはというアプローチからだと思います。
そしてそのアプローチから様々な、戦術の発明をしました。
例えばですが、
・センターフォワードタイプの選手を置かない偽9版
・偽サイドバック
・ゴールキーパーのリベロ化
などなどです。
この発明ですが、抽象度を上げてビジネスシーンや日常生活に応用できないかと考えてみると、一橋大学教授の楠さんの著書 「ストーリーとしての競争戦略 」の優れた戦略に共通する「一見して非合理」に通じるなとも思いました。
次のチャプターでは、グアルディオラ監督の戦術の発明 及び ストーリーとしての競争戦略の共通点についてさらに掘り下げていきたいと思います。
優れた戦略の条件である"一見して非合理"や"バカなる"とは?
このチャプターでは、特徴的な3つの戦術について触れていきます。
1)まず1つめの偽9番について
こちらは、スポルティーバの記事の引用です。
2008年から12年までペップはバルセロナを率いたが、09年に獲得したズラタン・イブラヒモビッチ(現ミラン)が1シーズンでチームを去ったことで、メッシを1トップに据える布陣を採用した。
凡庸な監督ならイブラヒモビッチがいないなら、代わりになる近いタイプの選手を探そうとするだろう。
だが、イブラヒモビッチの代わりになるセンターフォワードを獲得せずに、既存戦力を最大限に生かすため、またメッシという才能をより輝かせるための戦術を考案した。
これこそがペップの凄さでもある。
メッシは当然ながら生粋のセンターフォワードではないので、ポジションを離れて自由に動きまわる。メッシが動いて空いた1トップのスペースをほかの選手が使ったり、サイドに張っている選手が中央に入ってきて2トップのようになったり、DFの裏に抜け出す選手もいる。
2)続いて2つ目の偽サイドバックについて
こちらもスポルティーバの記事の引用です。
一般的にサイドバックの攻撃参加というと、サイドライン沿いをオーバーラップして中央にクロスを送るイメージが強いが、偽SBは攻撃時に中盤に加わり、まるでボランチのような中央寄りのエリアでプレーをする。
これまでのSB像とは違う役割をこなしている。
グアルディオラ監督がバイエルンを率いた当初、ボールポゼッション率を高めて相手陣に押し込んでも、厳しいプレッシャーを受けてボールを奪われ、カウンターから失点するケースがたびたびあった。その対応策として生み出されたのが、攻撃時にSBを中盤中央寄りでプレーさせることだった。
この試みを行ったことで、バイエルンはカウンターからの失点を減らすことに成功しました。
3)最後に3つ目のゴールキーパーのリベロ化についてです。
従来のゴールキーパーはシュートを防いで、ゴールを守るという役割が主ですが、マンチェスターシティのゴールキーパーのエデルソンには、11人目のフィールドプレイヤーとしての役割も与えています。
ビルドアップにも参加して、実際にアシストも記録するなど、攻撃でもかなり貢献しています。
以上が、3つの戦術です。
このように、これまでの常識、当たり前と呼ばれる前提条件を覆すような戦略を取っていますが、筋は通っています。
それは、ボール支配率、試合をコントロールすること、数的優位にたち、相手に圧力をかけることに帰結しています。
ですので、戦術は斬新でありながらも、「その手があったか」と思わせられるし、相手を圧倒できている、選手自身も新たな才能や能力に気付いて、成長できている、なので結果に繋がっているんだろうなと思います。
さて、この発明について抽象度を上げて、ビジネスシーンに応用できるのが、「ストーリーとしての競争戦略」にある「一見して非合理」という考え方です。
この本は、一橋大学の楠教授が約10年前に書かれましたが、今のビジネスにも応用できる書籍です。
ざっくり概要についてです。
優れた戦略には、ついつい人に話したくなるようなストーリーが存在していますが、このストーリーは、例えばオペレーション面や、合理的かどうかという観点で見ると「なんでこんな無駄なことをするんだろう」という風に移ります。
そして書籍では「一見して非合理」と言っています。
ただ、これは、部分的な事であり、全体を通してみると、筋の通った話、書籍では、「バカな」と「なるほど」を組み合わせて「バカなる」と言っています。
なぜ、これが優れているかというと、全体最適 と 部分最適、というのは誰でも思いつくことができるし、模倣も可能であるから、差別化ができない。
そして、「一見して非合理」という考えこそ、その企業らしさがあり、競合他社が真似したくても簡単に真似できないもの。それが真新しい、だからファンがつく、これがストーリーとして筋が通っているということです。
この書籍では例えばの例として、スターバックスコーヒーが日本に進出した時の事例について取り上げていました。
スターバックスは「サードプレイス、利用者に第3のくつろげる、リラックスできる場を提供する」ということを大事にしています。
そして、これを浸透させるためには、フランチャイズではなく本部が運営する直営店であることを大事にしています。
当時の一般常識では、効率的に規模を拡大するためにフランチャイが王道であり、それの逆を行くので、市場からは成功するのか懐疑的に受け止められていました。
つまり、回転率を大事にしたり、ロイヤリティ収入ということを考えるとフランチャイズという選択肢になるのですが、サードプレイスの実現のために一見して非合理な選択を選んだということです。
であるから、スターバックスでは、多くのファンがいます。
話をグアルディオラ監督に戻します。
普通って言葉はあまり好きじゃないのですが、普通であれば、これまでのサッカーの歴史、トレンドから、決められたフォーメーションに選手を当てはめる、層が薄ければ、補強をするなどして当てはめる作業をすると思います。
しかし、グアルディオラ監督の場合は、偽9番にあるように、より相手を揺さぶる、制圧できる、ボールを支配して美しく勝つためにはってとこ路からスタートして、そこから偽9番や偽サイドバックを編み出したんだろうなと思います。
このような、常識に囚われない姿勢、仕事に活かせるTipsはあるのではないでしょうか。
次のチャプターではTipsについて考えていきたいと思います。
当たり前を疑う、本質を見極めよう
さて、今回のTipsについてです。
ちょっとおさらいをしますと、グアルディオラ監督ですが、バルセロナ、バイエルン、マンチェスターシティそれぞれのクラブチームで、リーグ制覇、今シーズンに至っては、ヨーロッパナンバー1を決めるチャンピオンズリーグの決勝に進出しています。
それを実現する源になっているのが、偽サイドバックとか偽9番といった、相手の優位にたつ、既存の戦略の裏を付き、リソースを最大限にはっき、さらに選手の引き出しや、新しい能力を引き出すことに成功、これが好循環になっているということです。
この考え方に共通するのが、ストーリーとしての競争戦略にある、差別化するための「一見して不合理」や「バカなる」という考え方でした。
この試みをすることが大事であるということです。
では、我々、ビジネスパーソンに活かせる点を考えてみると、鍵は、当たり前となっている常識や偏見なのかなと思います。
この常識ですが、色々な方とチームを組んで、仕事をするという点で、共通の理解をする、同じ目線に立つということでは重要だと思います。
ただ、この当たり前というのは表裏一体で、硬直化して停滞の要因にもなります。
なので、時には、本質やどうありたいかということに立ち返って、当たり前となっている前提条件を疑う、パフォーマンスを最大限にはっきする為には、どうあるべきかを考えることも重要だと思いました。
ですので、今回のTisは、「当たり前と思えることも定期的に見直そう。そして本質を見極めよう」にしたいと思います。
これは、もちろん組織レベルでも言えますが、個人レベルにでも応用できるかと思います。
例えば、当たり前と思えるルーチンワークとかも一度見直してみるとかも良いかもしれません。
あとは、メンバーをマネジメントする立場や商品企画やサービス開発されているリスナーさんは、「無意識のうちに変なバイアスがかかっていないか」とかも考えるとか、立ち止まることも重要かもしれませんね。
このnoteはVoicyの過去の放送の一部を文字に起こしたものです。
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