Voices Vol.4 フリースクールを自ら選べる「学び場」と「居場所」に
プロフィール:
諸橋 奈実
大阪府立大学教育福祉学類4回生。現在は社会福祉士資格の取得を目指して勉強中。地域の「居場所づくり」に関心を持っていたことや、不登校の子どもたちと関わりたいという思いからフリースクールでのボランティアを経験。
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フリースクールを自ら選べる「学び場」と「居場所」に
「フリースクール」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?「学校に行けない子どもたちが通うところ」と少しネガティブなイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか?私もその一人でした。そんな私が一年間フリースクールに通って、今考えることを書いています。読んで頂けると嬉しいです。
きっかけ
私が不登校やフリースクールに興味を持つようになったきっかけを少し話します。
就職先に悩んでいたとき、大学の講座がきっかけで福祉職の進路に少年事件や少年更生に携わる仕事があることを知りました。
非行をはたらく子どもたちの背景に何があるのか、子どもたちが再び非行をはたらかないためにどんなことが必要なのか。そうしたことを考えながら子どもたちと関わる仕事です。実際私はまったく別の進路に進みましたが、不登校やフリースクールに興味を持ったのは少年非行について知ったことがきっかけでした。
子どもが非行をはたらく背景のひとつに、家庭や学校を拠りどころにできないことがあります。家庭や学校を出て、地域に拠りどころを求めてもどこに行けばいいのかわからない。そうした背景から非行に繋がっていくことがあると知り、子どもたちにこそ居場所が必要なんだと思うようになりました。
学校が拠りどころにならない不登校の子どもたちにとって、地域にあるフリースクールはひとつの居場所になるんじゃないか。子どもたちにとってそこがどんな場所になっているのか見てみたい。そんな思いから不登校やフリースクールに興味を持ちました。
大学3年の秋頃から、ろ~たすというフリースクールにボランティアとして通い始めました。できて間もない頃からお世話になっていましたが、「どんな場所にしたいのか」関わる人みんなで考えながらつくられてきたのがろ~たすでした。
印象的だったのは、子どもたちが自らフリースクールをつくっていく姿です。「もっとこういうものがほしい」、「こんなことがやりたい」ととにかく口に出してみる!やれることをやってみる!そんな子どもたちを見ていると、子どもたちが持っている力の大きさを実感します。ろ~たすでは、そうした子どもたちの力が存分に発揮されていました。
選択肢としてのフリースクール
フリースクールに通う子どもたちが「自分はここが好きだからここで学んでる」とは言えない雰囲気がまだまだあると思います。それは子どもたちの問題というより、子どもたちを取り巻く環境の問題です。不登校にネガティブなイメージを持たせてしまうのは、今の学校至上の教育のあり方だと思います。
学校に通うことが当たり前で、学校に行けないのは良くないこと。知らず知らずのうちに私の中にもそんなイメージができあがっていました。これは多分、多くの人に共通することで、子どもたちにとっても同じではないでしょうか。実際にフリースクールに通う中で、子どもたちから自分を否定するような言葉を聞くことがありました。とてもやるせないです。子どもたちにそう感じさせてしまうのが教育の現状なんだと思います。
私は「学校に行けないからフリースクールに行く」のではなく、「子どもたちが自由に選べる学び場のひとつ」としてフリースクールが広まっていってほしいと思っています。フリースクールにも色んな形があっていいのではないでしょうか。
「みんなと一緒に」だけでなく「ときには一人で」
そんな選択もできるところがフリースクールの良いところだと思います。フリースクールがポジティブな選択肢のひとつに数えられるようになることが、子どもたちの学びの充実にも繋がると思います。
もちろん学校という学び場も必要だと思います。私自身、学校で学んで楽しかった思い出がたくさんあります。でもそれは、学校という場所が私に合っていたからです。みんながみんな学校で学ぶのが大切だとは思いません。学校だけではなく家庭や地域、子どもたちが生活する場すべてが子どもたちの学び場になります。学校で学んだ子どもたちも、フリースクールで学んだ子どもたちも、人が自分とはちがう学びを持つことを尊重し合えるといいなと思います。
ろ~たすは、こどもたちの「やりたい!」に全力で応えてくれるアットホームな雰囲気のフリースクールです。少人数のフリースクールだからこそ、学校ではできないような経験もできると思います。
私はフリースクールに通って「居場所に人が来る」のではなく「人が居場所をつくる」ことを教えてもらいました。子どもたちにとってそこがどんな場所になっているのかは、子どもたちが決めることで「居場所」を押しつけることがあってはならないんだと思います。大切なのは、子どもたちが自ら「通いたい」と思える場所があることではないでしょうか。ろ~たすのようなフリースクールをはじめ、子どもたちが安心して学べる場所を地域の中にどんどん増やしていくことが必要なんだと思います。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
本マガジンはNPO法人(フリースクール)の活動の一部です。いただいたサポートは子どもたちの支援や、活動資金に使わせていただきます。 本当にありがとうございます。