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心を整える声の響き「マインドフル・ボイス」

こんにちは。日本声ヨガ協会代表の八田幸子です。

「声」という音のバイブレーションを活用して、心を整える/脳を開かせる体験創造を生業としています。ヨガという枠に限らず、人の可能性を引き出す場や体験を創ることが生きがいです。

マインドフルネス瞑想Relookのチームメンバーと

今回は「日常にあるマインドフルネス」をテーマに、私が普段から実践している「声」に意識を向ける習慣についてご紹介していきます。

発声は「呼吸」と同じくらい当たり前で、日々無意識に行っていることがほとんどかと思います。だからこそ、マインドフルネスを習慣化するために意識のきっかけとして最適なのではないでしょうか。

『声=存在』そのもの。毎日の声の状態に意識を向けて、丁寧に見つめて付き合っていくと、心や身体だけでなく、人間関係にも大きな変化が起こります。


原体験はインド山奥でのヨガ修行

まず「声」に着目するきっかけになった、インドでのディープな体験について、少し長くなりますがお話しさせてください。

私は20歳の頃、リシケシ(ヨガ発祥地)に留学していました。ネット環境が不安定なガラケー時代に、現地集合のプログラム。当時の自分にとっては、生きて到着できるかという冒険のような旅でした。

世界各国から集結した同期の中で私が最年少、最年長は83歳。約2ヶ月の修行期間中はデジタルデトックス生活で、日の出とともにヨガをして、ビーガン食を頂き、日没とともに就寝モード...絵に描いたようなヘルシーな生活を送っていました。(同期の欧米人たちは週末にこっそりハンバーガーを頬張っていたのは、ここだけの秘密。)

声の響きが持つ力に鳥肌が立った

留学中の1番衝撃的だったのはマントラです。マントラは、日本語では真言と訳されます。神様を讃えたり、祈ったりする言葉であることが多いです。私は無宗教ですが「マントラの音が放つ振動の力強さ」に感動して鳥肌が立ちました。

特に、アールティという火を焚きながら行われる儀式でのマントラは大人数で唱えていて、未だかつて体験したことのないグルーヴ感。

「今ここに存在している」ことの奇跡と幸せを、頭ではなく細胞の芯から、震えるほど、奇跡と感謝で胸が一杯になる感覚でした。

10年前にカメラで撮影していた貴重な映像がいくつか残っていたので、つぎはぎではありますが動画を作りました。都会に生きている中でこれを見ると異世界すぎて抵抗感のある方もいるかもしれません...閲覧注意です。笑

https://youtu.be/iXPqagXFqY4

素直な瞳で受け入れる大切さ

私自身、当初はマントラに対して怪しいスピリチュアルのような印象を抱いていており、現地で初めてこれを見たときは唖然...としていました。

けれど、せっかくの本場での貴重な機会。偏見を手放して、今この瞬間にしかできない体験を味わおうと決めました。そうして音に身を預けたり、声を出したりしてみると、脳が開かれる感覚になってナチュラルハイに...!

「人間の声が1番美しい楽器なのかもしれない」

皆が何回も繰り返して声を出したり歌ったりして波長を合わせていき、それが段々と自然に1つの音にまとまってくる。混じり合った深みのある音に一体感がビリビリして、心地がいい…。

自分はこの体験をするためにインドに来たのかもしれないとさえ思えたほどです。そしてこれは、偏見を取り払ってまずは受け入れてみる、やってみることの大切さを実感した体験でもありました。

これが、私が「声」に着目して内的変容や感動体験を創造できる講師になりたいと思ったきっかけです。いつか「大人数で」発声して音に意識を向けていくような、グルーヴ感あるマインドフルネス会をやるのが夢です。お寺の御堂とかでやったら響きが凄そう...!(誰か一緒にやりませんか?)

英国ロイヤルファミリーも訪れていた

余談ですが、毎晩このGanga Aartiを主催しているParmarth Niketanには英国王室のチャールズ皇太子夫妻も訪問しています。夫妻の訪問日だけは町中が別世界のように綺麗に掃除され、道端から牛や物乞いの人々が消えたと聞きました。(そして、翌日すぐ元に戻ったそうな。)

師匠からの意外な言葉

Yogirish Vishvkesh

私は当時、インド人のVishvkesh氏に師事していました。師匠にヨガや瞑想クラスで使うBGMのオススメを聞いたことがあるのですが、返ってきたのは意外な答えでした。

サチコ、いいかい? ヨガクラスの最高のBGMはね、静寂の中に聴こえる呼吸や心臓の音、そして何より、君の声だよ。

帰国してからも、師匠のこの言葉がずっと胸に残っていて、声ヨガを創る原動力になりました。

楽器と同じように、声も空気を振動させることで人の耳と心に雰囲気(バイブス)を伝えることができます。それは歌声に限らず、ハミングや喋り声も同じではないでしょうか。

また、師匠がクラス前に話していた言葉も印象に残っていました。

ヨガはポーズじゃない。インナージャーニー(内面の旅)だよ。楽しんで。

これは、マインドフルネス瞑想アプリRelookの企画監修・ナレーションをしていた時に何度も思い出されました。この言葉のおかげで、単なるナレーターではなく「視聴者さんを内面の旅へ誘う案内人」というセルフイメージで制作に取り組むことができました。

宅録の様子

さて、ここまで、私が声に着目するきっかけになった原体験をお話しさせて頂きました。癖が強くインドカラー満載でしたが、これより下には宗教色一切ありませんのでご安心ください。

声を出すと、呼吸が観察しやすくなる

ここからは、普段わたしが実践している声ヨガのマインドフルネスな側面をご紹介していきたいと思います。

通常ヨガは鼻から吸って鼻から吐くことが多いのですが、声ヨガでは「鼻から吸って、口から吐く」を基本にしています。

▲身体を楽器のように吹く「法螺貝の呼吸」

そして、吐くときに声を出します。声を出したりハミングをしたりして、客観的にその音が耳に入ってくることで、自分が吐く息の強さ・深さ・長さが観察しやすくなります。

声と呼吸の繋がりを活用する

発声する時は「呼吸と声の連動」にマインドフルになりながら行います。呼吸の始まりが声の始まり、呼吸の終わりが声の終わりになるように。

ストレスが溜まっていたり、疲れていたり、心が乱れているときは、結構バラバラになりやすかったりします。連動が心地よく体感できるようになってきた頃には、余分な思考を手放して、気持ちが穏やかで安定しやすくなります。

声の響きに、癒される

マインドフルネスには色々な取り組み方がありますが、私は個人的に、呼吸の音や発声した音に意識を向けている時が1番、インドで体験した超瞑想状態を蘇らせることができます。

また、気分が落ちている時は高い声や明るい声を出すことで、声が気分を持ち上げてくれます。笑いのヨガと似ていて、先にありたい状態を表現してみると、脳が騙されて心がついてきます。

声によるセロトニン分泌を活性化

一定の低いトーンで声を出し続けると、心地よさが深まります。単調なリズムや呼吸は、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌を促すと言われますが、一定の呼吸リズムと発声で身体に振動を伝えることでも同じような心地よさが得られます。

声の健康のバロメーター

▲声ヨガ「あ・う・んの呼吸」

喜怒哀楽の感情は、大脳から副交感神経系の反回神経を経て、心臓や声帯につながっています。これらは、自分の意思でコントロールできません。

緊張すると心臓がドキドキして声が上ずったり、体が強ばったりしやすくなりますよね。声には「本音=本当の音色」がダイレクトに表れやすいとも言えます。

最近では音声解析アプリなど、スマホに声をかけることでストレス測定をする取り組みなども広まってきています。1日1分でも同じ時間帯に「声」に意識を向けるマインドフルネスをしていると、自分の微細な変化に気づきやすくなりますよ。

何か読者の皆さんにご参考になるものがあれば嬉しいです。最後までお読み頂き、どうもありがとうございました!


■プロフィール

八田幸子 (はったさちこ)

日本声ヨガ協会代表。マインドフルネス瞑想アプリ『Relook』企画監修・メインナレーター。青山学院大学在学中に本場インドでヨガ講師資格取得(RYT200)。会社員からスポーツキャスターへ転身して生放送2000時間以上を経験。声の出づらさに悩んでいたとき、ストレスが声に大きく影響していることに気がつき「声で心を整える」をコンセプトに、声ヨガを独自に開発。20代前半で激務から不眠症やうつ症状で悩んだ経験から、メンタルヘルス改善のための研修プログラム開発や講師育成に力を入れる。

お知らせ

▶︎ (一社)日本声ヨガ協会
〜法人向け健康経営プログラム〜
https://www.voiceyoga.jp/programs/


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