イタリアの店員さんが選んでくれたセーター(旅行の備忘録#6)
「ヴェネチアでゴンドラに乗るなら夜のほうが幻想的でいいわよ」
当時、職場のお姉さまたちは口々に私に言った。
リッチなお姉さまたちは、何度もイタリアへ行っている。
レストランで注文に困らないようにイタリア語のレッスンに通っているお姉さまもいた。
夜のゴンドラ乗船までの時間、観光やら食事やらであっという間だった。
日が傾き始めると、肌に冷たい風を感じて持って行った服では対応できなくなった。堪らず、一軒の店に入った。
「この服じゃ寒いので何か上に着るものが欲しいんですけど・・・」
あれこれ、見て悩むよりもお店の人に選んでもらおうと思い、店に入るなり私は店員さんに話した。
入店してから時間にして2分もたったかどうか。
そんな短い時間だというのに、店員さんは私の体型を確認するかのように上から下まで視線を向けることもなく、すぐに2枚のセーターを私の目の前に広げて見せてくれた。
「スポーティーに着たいならこっち、エレガントに着たいならこっちね」
どちらもすごく私好みでびっくりした。
「素敵!」
「試着してみたらどう?」
悩ましい選択だった。
どちらも欲しい!
悩みに悩んだ末にスポーティーなほうに決めた。
淡いモカブラウンで、ラグラン袖、少しケーブルの網目が入っていて
裾は長め、タブつかないハイネック。
その日着ていたモノトーンのワンピースに合わせると甘辛ミックスになって、気分がとても上がったのを覚えている。
その後、ぬくぬくのセーターを着てゴンドラに乗った。ゴンドリエーレの歌声を聴きながら、ライトアップされた幻想的なヴェネチアの街並みを堪能した。
夢の世界にいるようだった。
日常のあれこれを忘れてぼーっとその世界に入り込んでしまい、ゴンドラを降りるときに、カメラを置き忘れてしまうくらいだった。
幸い、カメラはすぐに引き返して取り戻すことができた。
(しかしながら、最終日前日にスリに取られてしまうのだが・・・#備忘録4)
それにしても、あの店員さんのセンスの良さ。そして体型にピッタリの服を入店してすぐの客に提案できるスキル。今思い返しても感嘆してしまう。
できることなら、もう一度行きたい。
ゴンドラにも乗りたいし、あの店で買い物もしたい。
また2着の服を提案されたなら、今度は迷わず、
「どちらも買います!」と言ってしまいそうだ。
思い出の多いイタリア旅行の忘備録はこれで終わりです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
また、次のnoteでお会いしましょう。
見出し絵は、コラージュ作品が素敵な藤家 秋さんの作品をお借りしました。
ありがとうございます。
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