「エレガント」の使い方が完璧な留学生の話
毎年1月期は、中上級レベル以上のクラスでプレゼンの授業がある。
自分の好きなことや物をテーマに、スライドを作り一人10分くらいのプレゼンをする。
昨日は上級クラスで、その準備のための時間があった。
Yさんは、オタマトーンというおたまじゃくしの形をした楽器について発表するようだ。
私は、この楽器の音色も演奏方法も演奏するときに変形するおたまじゃくしの顔の部分も大好きだ。そして、思い通りの音を出すのが難しい楽器であるが故、演奏者も変顔になりがちで、演奏する姿を見るのも楽しい。
そんなことを、Yさんと話していたら、彼はぼそっと言った。
「でも、演奏方法はエレガントじゃないです」
私は「エレガント」という言葉を彼が使いこなしていることにびっくりした。
その日の朝やったテストに確かに「エレガント」という語彙があった。
教科書にはこんな例文が載っていた。
「(演奏方法はエレガントじゃない)」・・・私は、心の中でそっと復唱してみた。
「エレガント」の使い方がいい。
彼は音大へ進学が決まっている。
入学してきたときから、佇まいやふるまいに品があって「王子」と一部の先生から呼ばれている時期もあった。
そんな彼が使う「エレガント」に私は昨日から痺れている。
彼の発表が楽しみで仕方がない。
見出し画像は、Anakawさんの作品をお借りしました。
ありがとうございます。