📧資産形成の前にまずは自己投資～奨学金を巡る優秀な人材の奪い合い㉓

10月も後半、今年もいよいよ残すところあと2か月ちょっとになりましたね。

給与所得者の場合は年末調整の書類が配られ、3種類の生命保険料控除や小規模企業共済等掛金控除(確定拠出年金控除)、住宅ローン控除、配偶者控除・扶養控除…一部ペーパーレス化されてきましたが、それでも何かと書くことが多い時期。

この春に大学・専門学校などを卒業された新卒社会人1年目の方にとっては、仕事にも慣れてきた頃でしょうか。

奨学金を借りていた方にとっては10月の給与からはいよいよ奨学金の返済が始まるタイミングです。

本記事では前半は日本の置かれている状況を財務省の公表している資料『未来人材ビジョン』を基に振り返っていきます。

そして後半では表題の「奨学金」という借金が何故、資産形成手段であるつみたてNISAやiDeCoよりも重視するべきかを前半部分と組み合わせながら解説していきます。

特に若い世代、できればこれから進路を選び受験に挑む中高校生や奨学金を借りて通う大学生、就職活動中や就職してまだ奨学金の未済が残っている人たち、子供の将来の進路について考えている保護者などにも読んで欲しいと思います。

尚、この記事で最もお伝えしたい部分は「☆奨学金貸与の現況」と「★企業の奨学金返還支援(代理返還)」の部分です。
自分で考えられる、結論だけ欲しい方は目次からそちらへ進んでください。

"政治的"民度

岸田政権は2022年9月14日に開かれた経済財政諮問会議で物価上昇に対する対策を表明すると共に、労働世代の賃上げ・成長分野への投資・リスキリングについての支援について触れました。

そして5年間で1兆円規模(日本の国家予算1年分の約1％)の予算をリスキリング分野に充てる事を発表。

転職・副業の受け入れ先支援、学び直し拡充　岸田文雄首相が表明

個人的に日本は政策決定がいつも「30年遅かった」と思いますが、これは日本的民主主義が非常にスピード感のない大衆迎合的で官僚・大企業中心、目先のことにばかり振り回される構造に起因しています。

一言で言えば現在の日本は"衆愚政治"ということになると思いますが、"寡頭制*"とのミックスの側面も強いように思えます。

*一部の人たちが自分たちの利権を獲得するために行う政治体制のこと。

過去のメルマガでもご紹介しましたが、英国の医師で作家のサミュエル・スマイルズ(1812-1902)が遺した名言の中にこんな言葉があります。

「一国の政治というものは、国民を映し出す鏡にすぎません。政治が国民のレベルより進みすぎている場合には、必ずや国民のレベルまでひきずり下ろされます。反対に、政治のほうが国民より遅れているなら、政治のレベルは徐々に上がっていくでしょう。国がどんな法律や政治をもっているか、そこに国民の質が如実に反映されているさまは、見ていて面白いほどです。これは水が低きにつくような、ごく自然のなりゆきなのです。りっぱな国民にはりっぱな政治、無知で腐敗した国民には腐りはてた政治しかありえないのです。」

https://pixy10.org/archives/585546.html

日本の政治が情けない、政治家が情けないというのは日本の政治的民度が低い、そのレベルの人しか政治家になろうとしないのだという現れであると言い換える事も出来ます。

政権を批判(というか愚痴)したところで、国民全体にとってそれは特大のブーメランでしかありません。

そして多くの人たちに批判をすることが意見をする事であり政治だと誤解をさせ、揚げ足を取り、スキャンダルに騒いでなんとなく留飲を下げることで政治に参加している気持ちにさせるという民主主義の末期症状に至っています。

これを非自由主義的民主主義、イリベラル・デモクラシーilliberal democracyと呼びます。

ここから脱却するためには一度壮大な社会的解体リセットを経験する…具体的には社会学者の宮台真司が提唱する「加速主義」で徹底破壊をするなどですが、果たしてその覚悟が現代の日本人にあるでしょうか。

加速主義は一旦脇に置いておくにしても、働く一人一人が自覚的に社会に仕事だけでなく経済、子育てなど様々な面で参加して動かしていかなければ日本は現状の苦しい状況から脱却できないのではないでしょうか。

「聞く力」と「聴く力」

第二次安倍政権*でも、それを引き継いだ菅すが政権でも、現在の岸田政権でも同じことが繰り返されています。

*正確には民主党から政権を奪還して発足した第2次安倍政権(2012年12月～2014年9月)以降、第3次安倍政権(2014年12月～2015年10月)第4次安倍政権(2017年11月～2018年10月)まで続きますが、本記事ではまとめて「第二次安倍政権」と表記します。

自民党も政治家も汚職やらスキャンダルにまみれていますが、他の政党に内閣と官僚をまとめてこの国を前に進めていくための覚悟も政権運営能力もないことが民主党政権で証明されてしまったわけですから、今後日本では国が亡びるか、明治維新のような政変が起こるか、自民党が保守と革新に分裂*するなどして二大政党制を復活させるなどでもない限りは、野党がいくら支持を集めて政権交代など夢のまた夢でしょう。

私たちが生きているうちに政権交代を実現するのは相当難しいかもしれません。

*なお、日本維新の会の源流をたどると自民党からの離党者らによって大阪維新の会が結成された流れがあるのでこれはその一端と呼べなくもないが…。

選挙に参加できる国民が出来る事は批判や不満だけでなく"建設的な意見"を述べ、それを聞き届けられるように働きかける事でしょう。

菅政権の解散に伴って開かれた2021年9月の自民党総裁選で岸田氏は自身のアピールポイントの一つに「聞く力」を挙げました。

年齢と共に聴力は衰えるものですが、声の大きい人や近くにいる人の声というのは物理的にも聞こえやすいというのは確かでしょう。

小学生の漢字の授業のようですが「聞く」と「聴く」には使い分けがあります。

「聞く」とは黙っていても聞こえるものという意味で受動的なニュアンスを表し、「聴く」とは耳だけでなく心を傾けて理解しようとして聞く能動的な姿勢という違いがあります。

岸田政権は「聞く力」とは言いましたが、「聴く力」とは言っていませんし、メディアの報道も、また政権からもそれを修正するような働きかけはされていません。

だからどうしたという話ですが、多くの国民は「聞く力」という言葉に都合よく音が同じ「聴く力」と期待してしまっていた面は否定できないのかもしれません。

また揚げ足ばかりを普段から取っている野党やメディア、それをニュースではなくワイドショーのようにああでもないこうでもないと言っている国民の声など「聴く耳」を持てないのもやむを得ません。

政治に対して意見を言わなくなることを勧めているわけではありませんが、あまりに建設的な意見が少なすぎる現状と言うのには辟易としてしまいます。

光と影～安倍政権のレガシー

私は決して安倍支持者ではありませんが、安倍政権が遺したものの中には利用するかどうかは兎も角として、NISAやつみたてNISA・iDeCoなどがあり、日本が欧米に30年以上遅れていた近代資本主義における経済循環と将来に向けた資産形成へ関心を持つきっかけが生まれたことは評価されるべきことだと思います。

アベノミクスは大々的に取り上げられる一方で、メディアではこうした各種税制優遇制度を安倍政権の功績として殆ど取り上げられていません。

安倍政権が掲げたというよりは金融庁・厚労省の働きかけの側面が強いが実現したのは第二次安倍政権であり、内閣が認めなければ始まらなかった点でこれを功績とするべきだと思うが、そうするとアベガーと批判する人たちが騒ぎづらくなるので実績に挙げられることがない側面も…。

また菅政権が解散してから、短い期間での成果の数々が取り上げられ、岸田政権と比較されていますがどちらも優秀な人だと私は思います。

歯切れのよい見栄えパフォーマンスが苦手で、地味な菅総理に対してのリーダーシップへの不満から、パフォーマンスは良いけれど新しくもない『新しい資本主義』と政策決定が方々に迷走を続ける岸田総理…どちらも優秀であっても現在の国民の求めるリーダーではないことは確かでしょう。

国民が現在求めているのは田中角栄のような、一歩間違えれば独裁者となるリスクのあるトップダウンで決断が出来るリーダーシップなのでしょう

誤解があってはいけませんが、私はむしろ国政では非自民支持ですが、民主党(現立憲民主)のような烏合の衆の反自民の殆どは建設的ではないので好きではありません。

ついでに言うと非官庁主義ですが、反資本主義ではありません。

本質的な問題は、国民の大多数の意識が未だに政治が良くなれば、経済政策や金融政策が良くなれば、まだこの国がなんとか盛り返せると勘違いをしている所です。

内田樹神戸女学院名誉教授の指摘する通り、この点で第二次安倍政権が行ったアベノミクスは確かに最大の罪を犯したのには同意します。

安倍時代が残した最大の負の遺産は「国力が衰微しているという事実が隠蔽されている」こと｜安倍時代を総括する

しかしどれほど反論や批判があろうとも、国民が選んだ与党の党首であり、総理大臣および内閣が決議した国葬に反対する人たちのマインドは全く異なります。

あれは単に安倍批判を肥やしにしている人たちや、様々な不満をぶつける相手がいなくなってしまったことに対する野党を支持する労働組合などの定期集会です。

医労連や全商連は日本共産党を指示する団体

よく街宣車などで騒いでいる人たちと基本的には同じレベルです。
国葬反対デモで労働組合(〇〇連、〇〇ユニオン)などの旗が幾つも見られますが、それらの団体の支持政党を調べれば日本共産党などいわゆる国葬反対の立場を掲げていた政党が出てきます。

旧社会党の流れをくむ新社会党系の郵政シルバーユニオン(現社民党から1996年に分裂)

有志の国民が国葬に反対しているように見えても、それは実質的には野党支持者による与党批判のネタとして使われているのです。

政治に関心がない人はマンガで知ることから。
『クニミツの政』(2001-2005)
ヤンキーから政治家へ…サイコメトラーEIJIのスピンオフ作品

感想は人それぞれかもしれませんが、Youtubeなどで国葬反対のシュプレッヒコールを観ていると、まるで祭り(政)のような有様です。

彼らは国葬に反対したいのではなく、与党のやる事に反対する事が存在理由になっているのではないでしょうか。(これを反自民と呼ぶ)

国葬の敗北者 pic.twitter.com/xVrgbvNle8

— スルメ・デ・ラ・ロチャ@かつてスルメロックと呼ばれた男 (@surumelock) September 27, 2022

『国葬』、大成功してしまう！「反対派の方が多い」ってなんだったの？ : オレ的ゲーム速報＠刃

政策には常に功罪両面がありますが、もしアベノミクス*が行われなければ、日本はもっとこの10年で沈んでいたのも悲しいですが現実ではないでしょうか。

*黒田日銀総裁の量的質的緩和と合わせてアベクロミクスと呼ぶ人も。

個人的には「日本はまだ盛り返せる」と考えられるのは2000年代前半の小泉政権の辺りまでが実質的には最後の時代だったと思います。

民主党政権・第二次安倍政権以降は現実的な問題を誤魔化し、まやかし、煙に巻くが常態化していました。

そしてモリ・カケ・サクラなどの安倍氏に纏わり噂された数々の諸問題はそれが本当に大きい問題か小さい問題かはさておき、国民に日本の政治と官僚体制が腐っていることと皮肉なことに幅広い世代に政治への関心を高めるきっかけになりました。

一方で安倍元総理の国葬理由の一つとして挙げられた外交は多くの人の記憶に残っていなくても、下図のように観ると確かに驚かされるものがあります。

外務省がまとめた第二次安倍政権での安倍総理外国訪問実績等

首相官邸のWebページにもその足跡が残る通り「地球儀を俯瞰する外交」を掲げ、世界80か国を歴訪。日本の総理大臣としてこれほど多くの国と地域を訪問した総理大臣は他にいたでしょうか。

2019年9月5日、東方経済フォーラム
北方領土の二島返還に最も近づいた時期…

「自由で開かれたインド太平洋構想」(現在のQUADクアッド)などにつながる外交で実績を出したかどうか、日本の憲政史上歴代最長総理だからとか関係なく、功罪併せて国民に「いい加減に自分たちの国のことを自分たちで考えなければ、日本は貧しくなる」と反面教師として教えてくれた*のは安倍元総理の最後の仕事となったのではないでしょうか。

*また罪はやがて自分たちや自分たちの子孫にもたらされる因果の恐ろしさを示した銃撃事件による最期は皮肉的でもあるという教訓も。

日本の現状は苦しい状況です。

一方で将来は更に厳しく、もはやかつてのような坂の上の雲*を追いかける時代ではありません。

*欧米諸国に追いつこうとして近代化を推し進める明治日本。その近代化の原動力となった明治人たちは、未完成の国家と自らの姿とを重ね合わせ、国創りの一部を担う気概をもってそれぞれの専門分野の確立を目指した。
国全体が、そこに生きる人々すべてが、目の前に浮かぶ雲（夢、目標）を見つめながら近代化への坂を上り、その実現に向けて突き進んでいった。

http://www.sakanouenokumo.com/sakanouenokumo.htm

日本は明治・大正・昭和という時代にしても、太平洋戦争からの復興・高度経済成長・バブル期にかけて春から夏の季節を過ごしました。

安倍元総理の国葬に際して菅前総理が述べた追悼の言葉を引用しましょう。

総理、あなたは、今日よりも、明日の方が良くなる日本を創りたい。若い人たちに希望を持たせたいという、強い信念を持ち、毎日、毎日、国民に語りかけておられた。

そして、日本よ、日本人よ、世界の真ん中で咲きほこれ。
これが、あなたの口癖でした。

次の時代を担う人々が、未来を明るく思い描いて、初めて、経済も成長するのだと。

いま、あなたを惜しむ若い人たちがこんなにもたくさんいるということは、歩みをともにした者として、これ以上に嬉しいことはありません。報われた思いであります。

【全文】安倍元首相「国葬」 菅前首相 追悼の辞 | NHK

涙を誘う追悼の辞ですが、安倍元総理が生まれ育ってきた時代と、認識していた時代の違いが浮き彫りになります。

足元を観ず、過去の成功体験に捕われて、行うべき根本からの改革への着手を先延ばししてきたとも言えます。

そして今から日本が向かう季節は秋から冬に向かっていく、寒さと厳しさを覚悟しなくてはならない時代です。

その点で菅前総理、岸田総理の政策は華はありませんが、安倍政権の反省を踏まえて構造改革に踏み込んでいるとも言えます。

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/sentaku/s2_1.html

上図でいえば、今の日本は青いラインをなぞるように人口減少と経済の衰退の途上にあります。

赤いラインのように人口または経済規模を維持するためには30年前、どんなに遅くても20年前までに決断が必要だった政策決定が、政権支持率30%わ下回りつつある岸田政権下でようやく、やっと日本で進められています。

赤いラインに回帰するのはほぼ絶望的ですが、青と赤の間くらいには頑張ればまだたどり着けるかもしれません。

しかしその期限はかなり短く、2030年頃*と目前まで迫っています。

*2030年に生まれた子供(女児)が出産コア年齢(20-39歳)前半に該当するのは2050年頃のため。

自分で言った手前、批判を承知で"建設的な意見"を述べるのであれば、現在は不妊治療でのみ健康保険適用となっている体外受精(人工授精・顕微授精など)で受精卵を夫婦が希望する子供の人数分＋αまでを母胎に戻し多胎妊娠をサポート*したり、人工子宮による試験管ベイビーを倫理的・社会的に容認するところまで健康保険適用にするべきではないでしょうか。

*1度の負担は大きいが何度も産休育休を取る経済的損失と限られた出産可能年齢の間に自身の子を持てる合理的な方法ではある。産休育休も出産した子供の人数のn倍給付してあげればいいのに…(無茶ぶり)

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財務省『未来人材ビジョン』

これからますます増え続ける高齢者(退職世代)に対し、少子化という将来の労働世代(生産年齢人口)は現状維持から低下の傾向にあります。

子どもは生まれてから20歳頃になるまで消費者で、20歳以降で働き始めると生産者であり消費者となります。そしてある一定の年齢になると退職をして消費者になります。

この循環のバランスが崩れると高齢者が増え、生産年齢人口が減少するという現在の日本のような悪循環に陥ります。

現在の少子化対策が効果を発揮するのは少なくとも20～40年後の話で、それはそれとして進めていく必要がありますが、一方で高齢世代への年金・医療・介護の自助への転換によって負担を減らしつつ、現役世代は子どもと高齢者を養いながら減少していく労働人口と生産性を補わなければいけません。

子どもを生む、何人育てるかは個人の家庭(夫婦)の価値観によりますが、生まれてくる子どもの生活に係る養育費や高騰を続ける教育費を補うためには社会的な支援と整備も欠かせません。

また主に資産形成でインデックス型投資信託に投資をしている人に向けて言っておきたいのですが、この少子高齢化や人口減少は何も日本特有の問題ではなく、世界のすべての国が抱え陥っている問題だと言う事です。

欧米のような先進国、中国、東南アジアのこれまで高い成長率で世界を牽引してきた国だけでなく、1年で約2500万人の赤ん坊が生まれ2023年には世界一の人口大国となるインドも例外ではありません。(日本は近年、約80万人前後)
そして長期的にはアフリカの国々でさえ、この波に飲み込まれる宿命を背負っています。

連載「人口と世界」第4部 少子化　止まらぬ砂時計　

労働人口の減衰

インデックス運用の根幹であるマクロ視点ばかりでも疲れますので、身近なミクロ視点で日本ではどれくらい労働人口が減るかを見ていきましょう。
2020年と比べ、2050年までに労働人口は3分の2まで減少します。

つまり単純計算でも一人の労働者が現在の仕事の1.33倍以上を背負うことになります。

国際競争力低下の遠因

長時間労働や残業、休日返上で働けば過労、いえ辛うじて補うことも不可能ではありませんが、流石に限界があります。

また何より世界的には完全週休二日制(週5日労働)から週休三日制(週4日労働)などに休日を拡充しようという流れがあります。

「週休3日制」は世界の新スタンダードになり得るか

かつて学校なども土曜日は毎週午前中の授業があったものですが、1992(平成4)年に入った頃から第二土曜日は休校、1995(平成7)年からは隔週で登校日となる週休二日制が始まり、2002(平成14)年からは土曜日は完全休校となりました。

会社においては1963(昭和38)年に三菱電機が隔週週休2日制を導入、1965(昭和40)年に松下電器産業(現パナソニック)創業者の松下幸之助がアメリカ企業の視察の際に感銘を受けて完全週休2日制を日本の企業で最初に導入し、1980年代に入ると多くの民間企業が完全週休2日制を採用。1992(平成4)年には官公庁にも導入がされ定着しました。

https://www.goodcross.com/diary/21305-2020

こうした流れの中で求められているものの一つがAIを含むIT化、デジタルトランスフォーメーション(DX)と呼ばれる転換です。

既に動き始めているものの一つがマイナンバーカードに健康保険証や診察券、将来は銀行のキャッシュカードや運転免許証なども統合してカード発行コストを下げ、必要な情報にだけセキュア(安全性)の確保をしたスムーズな手続きや取引を実現しようというものです。

引っ越しの時をイメージしてみると日本の現状は無駄と手間のオンパレードだと気づくでしょう。

転出先の役所に行って住民票の異動手続きをして、転入先の役所に行って新しい住民票を手に入れて、運転免許証の住所書き換えに警察署に。
パスポートや銀行やクレジットカードなどの住所変更、光熱費などの変更手続き、生命保険や損害保険、証券口座を持っている人はそれらの変更も各会社ごとに行う必要があります。
あと郵便局に転送届を出すのも忘れては大変です。

マイナンバーのポータルサイトである「マイナポータル」で基礎情報一つ変更するだけでこれら全ての手続きが完了するというのを今から20年以上前の2001年に北欧の小国エストニアが実現し、今や世界中の国がこれを参考に政府のデジタル化、社会のデジタル化に移行しています。

今やデジタル化に反対するのは古いシステム維持のために余計なコストを社会全体が負担するハタ迷惑な価値観に成り下がってしまったのです。

東証一部約2200社が、GAFAM5社に時価総額で追い越されたのは2020年4月
*東証一部は2022年4月に東証プライムに刷新された。

そして日本はデジタル化の根幹を支えるプラットフォームではアメリカのGAFAMなどに代表される巨大IT企業に大きく後れを取っています。

また減衰していく労働人口の中で、長く働いてくれる優秀な若い労働力を確保する事はこれから社会と企業を支える人材として渇望されています。

これに対して岸田政権の柱となっているのが働く世代の「リスキリング」と、財務省が掲げて文科省・経産省を始め各省庁が動く始めている『未来人材ビジョン』です。

『未来人材ビジョン』では企業が求める代表的な項目を要素別にピックアップしたものが紹介されています。

そして2015年における企業が人材に求める能力と、2050年に企業が求める能力は大きく変化していく予測が示されています。

また産業だけでなく、業種・職種別でも雇用の構成が大きく減るものと増えるものに分かれていきます。

これは何も若い世代、現在の子どもたち学生たちだけではなく、既に働いている人たちにも変化が求められていると言えます。

しかしその変化に適応するための人材への投資が、日本では諸外国と比べて大きく遅れています。

それは企業が行わないからというだけでなく、自発的に個人が社外学習・自己啓発を行っていないというデータからも日本人の「勉強は子どもがするもの」という古びた価値観から学んでいない人が多いという残念な結果が示されています。

一橋大学の伊藤邦雄教授が座長を務めた経産省『持続的成長への競争力とインセンティブ～企業と投資家の望ましい関係構築～』プロジェクトの最終レポート(通称:伊藤レポート)の人材版では、①動的な人材ポートフォリオ、②ダイバーシティエクイティ＆インクルージョンDE&Iや③リスキリング、④従業員エンゲージメントなどこれら新時代を生き抜くための人材戦略が掲げられています。

そして国として、企業として、またはビジネスの面で支えるための整備はまだほぼ浸透していませんが、既に取り組み始めていた各国はコロナ禍となった2020年にこれをさらに加速させる段階に移行しているのです。

また教育課程も横断的に学べ、知識だけでなく、探究力を育むものへの大転換を目指しています。

近年言われてきた言葉で言えば「アクティブラーニング」となりますが、
民間企業が学校経営に携わることで長期的に欲しい人材の育成を目指す産学連携などもやっと本格的にその芽が出始めています。

公務員の働き方が民間波及への近道?

『未来人材ビジョン』には日本型雇用システム(終身雇用・年功序列など)についても触れられています。
中でも現在の日本的雇用体系の起源が公務員の人事制度にあることが触れられています。

この事は言い換えると、海外のように民間企業での働き方改革・福利厚生などの拡充にけん引され、それが公務員にまで広まっていった事例と異なり、日本では公務員の働き方が民間の働き方へ大きな影響を与えてきたとも言え、公務員の働き方改革を進めることが民間の働き方への波及への近道として指摘されているとも言えそうです。

☆奨学金貸与の現況

さてここまで長々と日本の政治・経済の現況とそれを支えるリスキリングが何故、これからの時代に強く求められているのかの背景を触れてきました。

ここからは2022年4月から始まった奨学金を活用した新しい仕組みが、企業の「優秀な人材の獲得競争」と、個人の資産形成におけるiDeCo・つみたてNISAよりも積極的に活用するべき点であるかの本題に入っていきます。

高校等の卒業に併せて大学・専門学校等の高等教育機関への進学…いわゆる進路を選びますが、進学に際して奨学金を借りる人が増えています。

これらの学生のうち日本学生支援機構(JASSO)から奨学金を利用した人は平成29(2017)年度は37%と学生の約2.7人に1人となっています。

最も学生の割合が多いであろう大学昼間部(大学院を除く)だけに絞った調査では、奨学金受給状況は全学生の49.6%と実質的に半数の学生が奨学金の借り入れを行っています。

大学昼間部では49.6％が奨学金受給中…大学生の奨学金受給者率推移(最新) : ガベージニュース

奨学金を貸与(借りている)の人数は2013年度をピークにやや減少していますが、子どもの数が減少しているため割合や代わって増加している数字で考えるとやや異なる事情も見えてきます。

※奨学金は「借入」ではなく「貸与」、「返済」ではなく「返還」と言葉を濁す点が誤解を生んでいると指摘されることもある。変えられるなら変えた方が良いかもしれないが問題の本質はそこではなく、学生自身の借金である事に対しての自覚の問題と保護者の経済力に進学機会が影響を与えるという格差(親ガチャ)の問題の方が大きな考えるべき点ではないか。

H16=2004年、和暦表記は消費税別枠表記と合わせていい加減やめてほしい…

無利子奨学金の利用者がH16(2014)年度からR4(2022)年には20万人増となっており、貸与人数のピークだったH25(2013)年度との比較でも無利子奨学金の利用者は8万人増になっています。

これは東日本大震災以降の日本の景気後退に際してのアベノミクスなどの後押しと、低所得・困窮世帯への学力基準を実質的に廃止して無利子奨学金の拡充を行ってきた支援の結果でもあります。

日本の奨学金は返済不要の給付型と返済が必要な貸与型とに分かれ、貸与型は無利子の第一種、有利子(利率1.00%)の第二種、卒業・就職後の給与から貸与者(学生)本人が少しずつ返済*するいわば低利子の教育ローンとなっています。

*日本の大学・専門学校を3月に卒業、4月に就職をした場合には10月給与後の振替日から返済が始まる。

また奨学金だけで足りない部分を銀行等からの教育ローンで補う家庭もありますが、この教育ローンの返済は債務者(親)自身が返済をすることを基本としています。

日本政策金融国庫(国のローン)は固定金利1.80%(上限350万)。
または楽天銀行による教育ローンの場合には非提携校の場合の固定金利3.900%/変動金利3.224%、提携校の場合はそこから▲1.000%で固定金利2.900%～/2.224%～が目安。(500万円超は連帯保証人が必要)

https://www.rakuten-bank.co.jp/loan/education/code/
いずれも2022年10月時点の利率と条件

一方で親として子どもがお金のことを心配して進学が出来ないということを避けたいと、家庭のお金の事情を素直に伝えられない家庭も決して少なくありません。

奨学金にしても教育ローンにしても多くは18歳前後の高校生…親から言われるがまま書類に署名・捺印をしたりするだけで、それが返還(返済)義務のある借金であるという自覚の薄い学生も少なくありません。

JASSOによる令和2(2020)年度「奨学金の返還者に関する属性調査結果」では延滞者では8.8％の学生が延滞督促を受けてから返還義務がある事を知り、8.0％は分からない(その他)など下図の黄色い枠で囲った部分が無延滞者と大きく異なることが分かっています。

金融庁「金融教育副教材」

奨学金の無利子・有利子、また銀行の教育ローン等の金利でどれくらいの違いがあるかは金融庁が2022年4月に始まった高校生向けの金融経済教育の副教材のシミュレーターの一つ「借金シミュレーター」を活用して計算をしてみて下さい。

奨学金や教育ローンを借りずに卒業できればそれに越したことはありません。
これを実現するためには子どもが誕生するとなってから1日でも早くから子どもの教育資金や家計における価値観をすり合わせておく事です。

万が一やもしも、また投資などで教育資金を用意しようとすれば受け取るタイミングが今年のような下落基調かもしれない事にも柔軟に対応できる選択肢を十分に確保しておく事が大切です。

奨学金返済困窮問題

学生本人のアルバイトを含む世帯年収800万円以下では国公立・私立を問わず幅広い世帯で奨学金を借りており、自宅から通学する学生よりも自宅外(一人暮らしを含む下宿生)の利用率が10%ほど高く、平均月額で5千円ほど多い借入を行っています。

下宿生の実家等からの仕送り額はかつては10万円以上が最も多かった一方で、2009年に6~10万円と逆転、グラフの開始である1995年から約30年、日本の所得水準の低下が如何に進んだかが垣間見れます。

卒業後の経済的事情が厳しく、奨学金返済の遅延(滞納)者や困窮者も少なくありません。

借りている人381万人に対して約10%に迫る滞納33万人

また卒業後であれば「大学卒」という肩書が得られますが、もし中退となれば残るのは奨学金の返済という借金の返済がすぐに始まります。

年間で約3,000名規模の奨学金に関連する自己破産者が出ており、国内での自己破産が減少傾向にある中で微増傾向にあります。

また親などの連帯保証人や親族等の保証人がこれによって自己破産をするケースが３分の1、借りた学生本人が3分の2と大きな社会問題になっています。

もし延滞などをすれば信用情報機関にブラックリスト登録され、返済が終わってから5年間はリストに乗り続けます。

この場合、クレジットカードは新たに発行できず、有効期限の更新時期の再審査によってはカードの発行が止まります。

携帯電話等の割賦払を組むこともできなくなりますし、携帯電話会社によってはMNPなどでの乗り換えや新規契約を断られることもあります。

借金の延滞者と同じ扱いを受けますので、住宅ローンを組むことも完済までできなくなりますし、結婚もお互いがしたいと思ったとしても、相手の親は納得しないでしょう。(婚姻は本人たちの同意が前提ではあるが…)

『ドラゴン桜』『インベスターZ』などで知られる三田紀房著
転職エージェントの物語『エンゼルバンク』

国の支援を受けている独立行政法人であるJASSOや国庫からの奨学金を受けたにも関わらず卒業をしても十分な収入を得られる就職先が限られている、学んだ学部とは無関係の職種に就かざるを得ず低賃金で働くことを余儀なくされる新卒者も就職氷河期世代の頃から続く大きな問題です。

『エンゼルバンク』より

バブル崩壊前の時代の団塊ジュニア世代を始めとした子どもたちが多い時代に大学の入学者数を増やしたが、社会の大卒雇用の枠は急激には増えず、その間にバブル崩壊…求人数と卒業者数の需給関係が崩壊し、就職氷河期世代が生まれた。
その後、大学全入時代になっても大学の学部数・入学者数を減らすことができないままバブル崩壊後の時代を突き進んだために新卒一括採用が根強い日本では十分な賃金が得られない大卒者も量産してしまった。

こうして奨学金を借りて進学したものの、就職後の所得が厳しい人も社会的に増え、返済に行き詰まる人たちも増えたことを踏まえ、平成29年(2017)度からは低所職世帯への無利子奨学金の枠を拡大し、新規で借り入れをする人を対象に給付型奨学金も始まりました。

また同年度には第一種奨学金のみを対象とした所得連動返還型奨学金制度を新規貸与者に限り導入し、従来の「定額返還方式」と「所得連動返還方式」が選択できるようになりました。(有利子の第二種にも導入するべきでは…)

所得連動返還方式は前年の所得に応じて返還月額が決定する仕組みで、マイナンバー制度の導入を背景に実現したとされています。
(個人所得の把握・追跡)

まだ始まったばかりとは言え、所得連動返還方式は約15%、定額返還方式85%を選択。
定額返還には減額返還・返還期間猶予(最長通算10年)があるが、
所得連動返還方式には返還期間猶予(最長通算10年)のみとなる。

しかし奨学金が給付型を除けば返還義務のある借金であることは変わりなく、就職先や賃金の伸び悩んでいる日本においての抜本的な構造改革は現在も棚上げされたままです。

奨学金制度の矛盾

やや古いデータですが2015年度末における過去5年間の返還困窮者は4.2%。
全体の74.4%は返還ができている状態と言えますが、この返還困窮者の割合は実はとても危険な数字です。

在学猶予者は4年制の学部で奨学金を借りたが、
大学院等へ自費で進学するために返済を猶予されている人など。

返還義務のある奨学金は既に触れたとおり無利子の第一種または有利子の第二種となっており、有利子＝利率1.00%で奨学金を貸している状態です。

通常の銀行ローンなどで考えると有利子の1.00%とは銀行にとっての収益であるだけでなく、貸し倒れリスクを相殺ヘッジするための保険料としての役割があります。

JASSOの奨学金を実質的な非営利団体(実態は兎も角として)として考えた場合には、この利率1.00%は貸し倒れリスクと置き換えて考える事も出来ます。

2018年度 奨学金事業に係る事業費の内訳(予算)(提供：日本学生支援機構)

給付型奨学金は国庫からの補助金で確保されており、実際には有利子の第二種奨学金が第一種の奨学金の貸し倒れリスクも支えていることになります。

給付型奨学金を除く1兆372億円のうち、4.2%の貸し倒れ率をわずか1.00%の利率ではヘッジはできないのです。
(今後も返還ができない状態であるとすればだが)

銀行の融資(例えば住宅ローン)であれば、貸し倒れリスクが高い状態…失業率や賃金低下などの場合には金利をこれがバランスが取れる4.2%やリスクプレミアムを確保できる5.0%程度にまで引き上げるべき状況ですが、非営利である前提に立てばJASSOは奨学金を低利率のまま貸し続けるしかありません。

JASSOの存在理由はWebページに書かれている通り"次代の社会を担う豊かな人間性を備えた創造的な人材の育成に資するとともに、国際相互理解の増進に寄与することを目的として設立され、我が国の学生支援の中核機関としての役割を担っています。"

これを実現するための事業が奨学金事業や学生生活支援事業、留学生支援事業などです。

事業の概要

しかし奨学金制度には制度としての矛盾が他にもあります。

第一種(無利子)はいわゆる低所得世帯を除けば、高校3年次に在学中の予約採用(または卒業後2年目まで年2回申込)の場合には学力5段階評価(通信簿)で3.5以上の学生に対して行われており、平均(通知表3.0)よりもやや優秀な生徒・学生に対して貸し出されています。

対する第二種(有利子)はそれ以下の成績の生徒・学生に対して行われており、「学力＝所得を稼ぐ能力」とするならば、貸し倒れリスクの高い人に対して利子負担をかけている訳ですからこれは矛盾した考え方になります。

もっとも優秀な生徒・学生に対して負荷を軽減するインセンティブを狙って設定されているのでしょうけれど。

また世の中は必ずしも「学力＝所得を稼ぐ能力」ではない訳ですから、この仕組みが完全に間違っているのかといえばそうではないのかもしれません。

(むしろコミュニケーション能力の方がよほど…)

瀬尾公治『君のいる町』(『涼風』『風夏』『女神のカフェテラス』)
美麗な女性たちを描くことで有名だが、読者の心を抉る展開が…

さて、無利子・有利子問わずもう一つの大きな問題は卒業できたとしても正社員・非正規社員などの就業体系によっても大きく返済の負担が変わってきてしまう点です。

しかし所得連動返還方式、定額返還方式などの選択は返済が始まる、就職をしてからではありません。奨学金を借りる時に決めるのです。

ここにも制度としての矛盾があります。

またもっと言うならば就職をした際に、勤務先・配属先までの通勤時間等が長くかかる場合には引っ越しをして一人暮らしなどをする必要もあるかもしれません。

勤務先が家賃補助をしっかり出してくれる場合ならまだしも、就職先によってはそうとも限りません。

地方出身者で、仕事を求めて就職を機に都市部に出てくる人もいるかもしれません。

たとえば非正規で家賃補助もなく、手取りが少ない状態で就職をした場合にはどうなるでしょうか。

学生時代にアルバイトなどをして家賃や食費・光熱費・通信費などを自分で稼いでいた人ならどれくらいの支出で、どれくらいの収入があればそれが十分賄えるかの判断もできますが、実家暮らしでそうしたやりくりの経験がなければ就職活動時の雇用条件だけでそれを判断するのはなかなか難しいとも言えます。

実家から両親が家賃を支払ってくれ、別途仕送りをしてもらうことで家賃負担という一人暮らしでは当たり前の支出について十分な認識が醸成されていないこともあります。(これは私の学生⇒就職の時の話だが…)

学校を3月卒業ならその年の10月から始まる返済に早速行き詰る可能性があります。

せめて就職をしてから返還方法を選べたり、学生時代の成績や就職先の雇用状況(正社員・家賃補助の有無)等を加味して変更が出来る仕組みのような柔軟性がないと雇用の実態とかけ離れてしまわないでしょうか。

実は金融の伝統的に良くない部分はこうした柔軟性に著しく欠け、融資判断をする時の状況が返済まで続くことを前提に固定化してしまう点です。

(例えば住宅ローン融資後の転職や減給・失業などを貸し倒れリスクとしての上乗せ金利でしか織り込めていないために余計なリスクプレミアムを乗せられていたり、柔軟性に欠けるなどの部分がある)

奨学金とは言え安易に借りず、本当にどれくらいの学費または生活費がかかるのかをきちんと考えることがとても重要です。

『進学資金シミュレーター』はスマホアプリで簡単に試算ができるツールをJASSOは公開しています。

私は何も奨学金を借りるなという話をしたいわけではありません。

無利子であれ、有利子(第二種の1%)であれ、または国庫であれ…銀行の教育ローンは除くとして、これだけの低利率でお金を借りられて自分自身の資格やスキルを高められる機会が与えられるというのは、覚悟と決意のある人にとってはまたとない自己投資だと思います。

『ジョジョの奇妙な冒険』
第5部 ジョルノ・ジョバァーナ

そこに就職先の企業の支援を得られるようになるとしたらどうでしょうか。

さてやっと本記事でご紹介したかった部分にたどり着きました(笑)

★企業の奨学金返還支援(代理返還)

JASSOが2022年4月から「企業の奨学金返還支援(代理返還)」を開始しました。