📧マシュマロの誘惑に勝てる人は、成功しやすい？投資・資産形成と驚くべき心理学と習慣の関係性⑦(2021年5月)

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ふわふわむちむちの洋菓子マシュマロ。皆さんはお好きですか?

今回はこのマシュマロを使った心理学の興味深い実験についてのお話です。1960年代にスタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェルが提唱した「マシュマロ実験」(The Marshmallow Test)は、その実験結果とその理論から後世における子育てにも大きな影響を与えました。

「マシュマロ実験」は次のようなテストでした。

4歳の子どもたち186名を被験者として、子供たちは一人ずつマシュマロ1個と机と椅子だけがある部屋に通されます。

実験者は「私が帰ってくるまでの15分の間、マシュマロを食べるのを我慢したらマシュマロをもう一つ上げる」と子供たちに告げて部屋を去り、その後の子どもたちの行動をビデオカメラで観察するというもの。

結果は実験者が戻ってくるまで我慢を続けられた子どもは3分の1ほどでした。その後の追跡調査の結果、マシュマロを我慢できた子供たちは後の人生で、我慢できずに食べてしまった子供と比べて大学進学適性試験（SAT,日本におけるセンター試験に相当する制度）の点数がトータルスコアで210点(約10％)も高いことが判明しました。

この実験結果は「一つの誘惑に勝てる人は、あらゆる誘惑に勝てる」、「一つの誘惑に負ける負ける人は、あらゆる誘惑に負ける」という仮説を心理学、教育業界に提唱しました。

その後、実験のお菓子をクッキーやプレッツェル(プリッツ的なお菓子)などに変えて行ったりもした結果、被験者は最終的に600名以上が参加したものになりました。
　更に2011年にもこの追跡調査が行われ、この傾向が成人後のずっと後まで継続していることが明らかになっています。

マシュマロ・テスト　成功する子、しない子 (早川書房)

被験者の子どもたちの大脳を撮影した結果、我慢できた子どもたちと食べてしまった子供たちとの間には集中力に関係するとされる腹側線条体と前頭前皮質の活発度において重大な差が認められたそうです。
近年ではこの実験結果について「自制心」や「セルフコントロール」などと呼ばれ、「将来のより大きな成果のために、自己の衝動や感情をコントロールし、目先の欲求を辛抱する能力」が社会における成功に重要であることの根拠として用いられています。

マシュマロ・テスト｜育児・しつけ｜ハッピー・ノート.com

この実験の結果を表面的にとらえると「子どもに我慢を覚えさせることが、子供にとっての明るい未来を作るのだ」となり、教育に熱心な親御さんは例えば子どもの野菜などの好き嫌いを無理やりなくそうとしたり、習い事をさせたりなどを強いることがあります。教育パパや教育ママなどはその典型例と言えるでしょう。

しかしこの実験の本質は結果の表面ではなく、子供たちがマシュマロを食べることを我慢できた心の働きにこそ着目するべき価値があるのです。
 我慢できた子どもたちの中にはこんなことを実験者に話してくれた子もいます。

「ママにも一個あげたいからがまんしたの」

天使か！.°ʚ(*´꒳`*)ɞ°.

いや、心の優しい子ですね。

ここに大きなヒントがあります。
人間にとって我慢とは本質的には抗いがたいストレスです。

大人にとってだけでなく、幼い子供にとってもそれが大きなストレスである事は想像に難くありません。

人は我慢を我慢として捉えているとストレスを募らせてしまいます。

例えば職場に出勤したときに机の上を雑巾がけしたり、玄関や床の掃除をしたり…業務に追われている多くの人々にとって掃除で生産性が上がるわけでもなければ、給与が増えるものでもありません。

しかし、掃除をしている時間にお気に入りの音楽を聴いたり、考え事を整理したりなどその人にとっての好ましいこと・楽しいことと結びつけて行う事で、それは単なる我慢による苦ではなく、”感情の変換”が起きるとされています。これを“ルーティーン”と呼びます。

ルーティーンとは決まっている手順、お決まりの所作、日課など繰り返しを意味する言葉ですが、これを行う事でどんなに多忙な中でも精神的に落ち着くことが出来、余計な考えなどを排除して集中力を上げて取り組むことが出来るようになります。

ラクビー選手の五郎丸歩選手が拝むように手を合わせてからキックに入るあの一連の動作ポーズや、イチローがバッターボックスに入る際に行う、バットを片手で大きく2度回して立て、ユニフォームの袖をつまみバッティング体制に入る一連の動作等です。

ルーティーンは習慣形成の心理学でとっても奥が深いので、今回は深く掘り下げませんが、資産形成においてとても結びつきの強い話ですので、ご関心がある方は以下の本などを参考にして頂ければと思います。

我慢ができた子供たちはこの心の働きを、我慢が出来た時の自分と結びつけたりすることで感情を乗り越えることができたと評価されています。この目に見えない心の働き、心の結びつきはルーティーンによって強化・訓練して身に着けることができます。

完訳 7つの習慣 人格主義の回復: Powerful Lessons in Personal Change

まんがでわかる 7つの習慣

この行動と感情と結びつける習慣、実は世界の億万長者(ビリオネア)の中にも巧く活用している人たちがいます。