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ボランティアは"都合のいい労働力”じゃない!私が活動で学んだこと
1. ボランティア活動への参加
私は時々、ボランティア活動について記事にしています。
昨年から始まり現在、子ども食堂や高齢者施設、不登校の子どもたちへの居場所支援、ひとり親世帯への食料提供、NPO活動に参加しています。
これらの活動には、月の休みの半分または年休を使って参加しており、それくらい私にとってはかけがえのないものです。
これらの活動は、家庭や職場以外の大切な居場所にもなっています。
私にこの先何ができるかは分かりませんが、地域の中に入り、必要とされていることや学びを得ることができています。
2. ボランティアとは
ボランティアとは、次のようにまとめました。
ボランティアとは、自分の意志で社会のために行動することです。「人の役に立ちたい」「地域を良くしたい」という気持ちから始めます。
ボランティア活動の特徴は
自分の意志で行う(自発性)
社会や地域のためになる(公共性)
報酬を求めない(無償性)
つまり『ボランティア活動は、ボランタリズムの「自由意志」と「権力からの自由」に基づいた市民による社会的な活動なのです。』
ボランティアは「権力からの自由」という言葉にあるように、誰かに押し付けられることなく、人々やコミュニティに役立つ行動を通じて、個人の利益だけでなく、みんながよりよく暮らせる社会を作ることを目的としています。
3. ボランティア活動で大切にしていること
私がボランティアで参加する上で大切にしていることは、
『報償以上のものが得られること』、ウキウキワクワクする活動であること、心地よい疲れや達成感を感じられること、また、次の活動が楽しみになることです。
一方で、精神修行は行っていません。つまり、ボランティアで苦行は行わないと決めています。苦しみの共有を伴わなければ福祉に携われないのではないかという声もあるかもしれませんが、私が楽しくない活動で得られるものは、「やってあげている感」しか生まないと思うのです。
「やってあげている感」は、無償のボランティア活動で、誰に不利益が生じるかというと、「利用者」「住民」「他のボランティア」です。
ボランティア活動は、その組織の目的に沿った形で理念のもと行うべきですが、何らかの形で本来のボランティアの目的とその組織の間にズレが生じると、「やってあげている感」が生まれてしまうのです。
4. ボランティア活動の悩みと気づき
先日、障害児施設でボランティアを募集していたので、参加可能な頻度を伝えましたが、何週間も連絡がありませんでした。ボランティア活動を増やしすぎるとキャパオーバーになると思い、その時間を他のことに使うことに決めました。
しかし、突然施設から連絡があり、履歴書を持参して来月か今月に来てほしいとのことでした。電話で話したところ、ボランティアが不足していることがわかり、以前のボランティアも辞めてしまったとのことでした。
5. 経験から得た教訓
ボランティア活動で得るものは、お金以上の価値を求めています。
時間と労力を使うことに対して、私には報酬以上のものを感じています。
場合によっては、有給休暇を使って参加することもあり、その分、日給や交通費を自腹で負担しています。
「こんなにやってあげているのに!」と思うのであれば、ボランティアはしない方が良いです。
そう感じると、得られるものはなく、利用者や住民、他のボランティアの方々に不利益が生じるからです。
私が向かっているのは、組織の長ではなく、そこに必要とされている「人々」です。
今回、地域で活動をする中で、人を見極める力が必要だと学びました。
その活動を募集している人がどんな人かを見極め、信頼できると感じて初めて、ボランティア活動は成り立つと思います。
ボランティア活動は、お互いに尊重し合う関係であって初めて成り立つ契約だと思っています。
藤井博志氏は地域生活支援と地域づくりの関係について、ボランティアについて次のように述べています。
ここで大切なことは、専門職と地域住民、ボランティアの関係性です。
専門職にとって、社会資源の活用が重要な実践であることから、ボランティアも社会資源の一つとして「活用」しようとする傾向があります。
しかし、サービスは活用できても、ボランティアは活用できません。
なぜなら、住民やボランティアは、同じ地域の仲間や将来の「私」が孤立せずに安心して暮らせる地域をつくりたいという当事者との共感や地域愛などの自発性や内発性で活動しているからです。
この自発性や内発性は「活用」として消費しようとすると減退します。
自発性や内発性は、当事者・住民・専門職の各主体間の相互の協働(協同)活動によって育まれるものです。
地域福祉のはじめかた
事例による演習で学ぶ地域づくり』ミネルヴァ書房 2021年、10頁
つまり、ボランティアは「活用」するものではありません。ボランティアは、地域の仲間や自分たちの未来のために、自らの思いで活動しています。その気持ちを「利用しよう」とすると、やる気がなくなります。
ボランティアの意欲は、専門職や住民と一緒に協力しながら関係を築くことで育っていくものだからです。
今回の経験から気づいたのは、福祉業界の人手不足が深刻化している中で、その原因のひとつを見たような気がしました。
人はサービスの一つではありません。
人は尊重されて初めて社会的に意味のある活動をするものです。
ボランティアは、「都合のいい労働力」ではない。
この経験から得られる教訓は、
1. 自分の価値と時間を守ることの重要性
2. 信頼できる場所を選ぶべきだということ
3. 自分の意思を大切にする
4. 不誠実な対応に対してしっかり「ノー」と言うこと
自己犠牲の上にボランティアは成り立ちません。
ボランティアは自己実現や貢献であり、そこから社会につながる重要な活動です。
ボランティアは目の前にいる人と未来をつないでいく活動であり、それは支援される側や支援する側にとどまらない、その両方の活動です。
少しずつかもしれませんが、一歩ずつ歩んでいます。
私のボランティアはこれからも続きます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
私が目指しているのは孤立のない共生社会の実現です。