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#4「1年目の社会福祉士:倫理綱領の「原理」を学ぶ」~人間の尊厳~

◆この記事では、倫理綱領で大切にしたい部分を紹介し、学びの記録としてまとめています。今回は、原理「人間の尊厳」について深く掘り下げていきます。

おすすめの書籍

私は、この学びを深めるために、以下の二冊を参考にしています。

●公益社団法人日本社会福祉士会 の倫理綱領
こちらの公式サイトでも詳細を確認することができます。


●原理

Ⅰ人間の尊厳

社会福祉士は、すべての人々を、出自、人種、民族、国籍、性別、性自認、性的指向、年齢、身体的精神的状況、宗教的文化的背景、社会的地位、経済状況などの違いにかかわらず、かけがえのない存在として尊重する。

出典 公益社団法人日本社会福祉士会 社会福祉士の倫理綱領 2020年6月採択

2020年の新しい倫理綱領では、従来の「価値と原則」という言葉が「原理」に改められました。
これには、6つの要素が互いに関連しながら、社会福祉士の活動の基礎を形作っています。


●社会福祉士は、すべての人を尊重することから援助を始める

人間の尊厳については、世界的人権宣言や国際人権規約、児童の権利に関する条約などが規定しており、すべての人間には平等に価値と尊厳があるとされています。

世界人権宣言の第1条では、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心を授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」と規定されています。1)

人間の尊厳は、ソーシャルワークの一番根幹をなす「価値」です。
「価値」とは、行動や選択の基準となる、私たちが最も大切にする理念や信念のことです。

人を尊重するためには、一人ひとりが持つ「個別性」「全体性」「多様性」「継続性」という視点を理解することが大切です。
これは、一人ひとりが違う背景や考え方を持っていることを認め、受け入れるということです。

例えば、出身や人種、国籍、性別、性自認(自分がどの性別かをどう感じるか)、性的指向(好きになる相手がどんな性別か)、年齢、体や心の状態、宗教や文化の違い、仕事や経済状況などがそれにあたります。

また、体や心の状態はその人らしさを尊重することや、宗教や文化を理解することで、外国から来た人々が孤立せず、安心して暮らせる「ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)」の視点が必要です。

さらに、児童虐待や家庭内暴力、高齢者虐待、差別問題等さまざまな困難な状況にある人々の現状を知り、どのように制約を受けているのか理解し社会福祉士としてできることを考えていかなければなりません。


●感想

社会福祉士が「すべての人を尊重する」という基本的な価値を持ち、そこから支援を始めるということを理解しました。

つまり、クライエントに限らず、例えば、児童虐待の問題のある家庭で被虐待児だけでなく、虐待を行っている人やその周囲の環境も、さらに、それを支援するチームの仲間や多機関についても同様に尊厳を持ち価値ある存在です。

しかし、時には主観、先入観がそれを認めることができず、偏見のある目で見てしまうことがあります。

その色眼鏡は、人の尊厳を理解する出発点に立つことを妨げてしまいます。

色眼鏡を外すためには、バイスティックの個別化で自己理解と自己との向き合うことが不可欠だと学びました。
そして、役立つ情報が得るためにはクライエントが話さないことこそ耳を傾けることが大切です。

自分に向き合うことと、人が話さないことに耳を傾けることが色眼鏡を外す一歩となるのではないかと思います。

人は時には弱く間違いを犯すものです。
しかし、この人間の尊厳はいかなる場合にも損なうことはありません。

社会福祉士に限らず、「自分に向き合い」「耳を傾ける」ことを多くの人々が実践することにより、人間の尊厳という最も大切な価値を感じ取ることができるのではないかと思います。

その一歩として、身近にいる人に対してその色眼鏡を外して自分の目で見えるものを大切にしたいものです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
私が目指しているのは孤立のない共生社会の実現です。

参考文献
社団法人日本社会福祉士会 『三訂社会福祉士の倫理 倫理綱領実践ガイドブック』中央法規出版 2014年 36頁

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