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「口の機能を活かす日常の知恵:錠剤を飲むときは水?ぬるま湯?etc」


【答え】
錠剤は水で、粉末はぬるま湯で飲むのが適しています!

その他、
上と下の歯が噛み合うと覚醒する。
口の渇きには、まずリップクリームetc


今回は、生活にちょっとだけ役立つ話です。

私の歯科衛生士としての専門分野は歯科保健です。
医療は地域の先生方が担っています。

地域の歯科医師からの指導や助言をもとに、また、連携しながら歯科保健活動をしてきました。

地域の歯科医師、研修会等から学んだ、現場の「実践」に基づく知見、経験を書いています。

今回、そのいくつかご紹介します。

よろしければご覧いただき、参考にしていただければ嬉しいです。

1️⃣はじめに
口の働きについて

口の働きは、お腹の中にいる時から学習しながら獲得していきます。

赤ちゃんは、お腹の中で指しゃぶりをしています。
産まれてから、母乳を飲むためです。

大人はそのように、食べて飲む働きを獲得しながら、口に取り込んで、咀嚼して、飲み込む一連の流れを行っています。
目で見て、手で口に運んで、口唇で口の中に取り込んで、歯、舌や頬の粘膜、口蓋等で唾液と混ぜながら咀嚼、食べ物を噛み砕いて塊を作って、飲み込んでいます。

喉には蓋があり、1本から食べ物は胃、空気は肺へ入口は一緒だけど、途中で分かれてそれぞれの器官にいく仕組みです。
(省略して書いています)

ごっくん。
飲み込む時、一瞬息を止めて飲み込むため、飲み込んだ後には、必ず息を吐き出しています。
気管の方へ食べ物が行かないようにしている働きです。

例えば、ビールをごくごくと飲んでいる間は、息を止めていて、ごっくんしたあと、「ハ〜〜〜!」と大きなため息のような息を吐きます。

ビールに限らず、息を止めて飲み込んで息を吐き出しています。

そして、加齢や何らかの原因で口や飲み込む働きが低下すると、また、免疫力が低下すること等で、肺の方に誤嚥し、誤嚥性肺炎が発症することがあります。

寝ている間、健康な人でも僅かに誤嚥していると地域の歯科医師から学びました。

そのため、寝る前に口腔ケアをすることは、とても大切なことです。

2️⃣薬は水で飲む?それともぬるま湯?

普段、薬や、サプリメントを飲む時、何で飲んでいますか?

実は、先程ちょっとお話しした、獲得してきた口の働きから、水、お湯、ぬるま湯でも口の中の通り方、飲み込む力が違います。

⚫️水は口のどこを通る?

水は、舌の上を通り力強くごっくんと飲み込むことができます。

そのため、錠剤を飲む時は水が適しています。


⚫️ぬるま湯は口のどこを通る?

ぬるま湯は、口に広がってから喉の方に優しい力でごっくんと飲み込むことができます。

そのため、粉末の薬を飲む時にはぬるま湯が適しています。


その他、お茶や熱いお湯もそれぞれ口の中のどこを通って飲み込むのか違います。

ぜひ、実験していただき、新しい発見を生活

大脳は運動野と感覚野に分かれ、どちらもおおむね図の下のほうの領域から発達していき、運動野の嚥下、咀嚼と、感覚野の舌、下顎がほぼ同じラインで発達していく。

引用 柴田浩美著『食べる力をとりもどす』雲母書房1998年
大脳の断面図ペンフィールドの運動野

食べる機能は、手、目、口の連携で、手と口は8割を占め、感覚と運動によるメカニズムの組み合わせで、口唇、舌、顎、歯、頬、口蓋、呼吸が連携して嚥下する。

例えば、舌という感覚器は味覚、形質、温度などの情報をとらえ、そこからその食べ物にうさわしい運動を導く。

舌は、味わいだけでなく、食塊の移動、咀嚼促進などの運動を起こす。

タクアン、うずらの煮豆、ポッキーの食べ方は、手の動き、口唇、舌の動き口腔機能は、脳がその人が食べてきた、体験を持ち、運動、感覚として持っている。

引用 柴田浩美著『食べる力をとりもどす』雲母書房1998年

タクアンの食べ方でポッキーは食べられない。
ポッキーの食べ方でタクアンは食べられない。

引用 柴田浩美著『食べる力をとりもどす』雲母書房1998年


水、ぬるま湯、お茶等が口の中のどこを通るのか。というとても興味深いものは、以前研修会で学んだものです。
当時の講師は
柴田 浩美【しばたひろみ】先生です。
 ・摂食アドバイザー
 ・歯科衛生士
 ・グー・ハウス代表等の経歴
興味のある方は、ぜひ本等探してみてください。


3️⃣寝ている高齢者の口腔ケア

いつも、うとうとと寝ている、傾眠されているご高齢の方を起こす時に、耳元で「◯◯さーん!歯みがきしますよー!」声をかけても、起きない。

そんな、ことありませんか?

地域で歯科医師と家庭訪問した時、学んだことですが、下の歯と上の歯がカチカチと噛み合うことで、覚醒し、口腔ケアや治療、食事をすることができるのを見てきました。

自分の歯があればそのまま、義歯を入れていなかったら、義歯を入れて奥歯と奥歯を噛み合わせるように、下顎をつまんで、上下にカチカチと上の歯と下の歯を噛み合わせます。

歯も義歯もどちらもなければ、そのまま同じように噛み合わせるように、下顎を上下に噛み合わせるように動かします。

また、カチカチと噛み合わせることが難しい時は、義歯であっても奥歯の噛む面を歯ブラシで擦るだけでも、覚醒する方を見てきました。

噛むことで脳が覚醒することを学び、私自身、眠気覚しにガムを噛んだり、奥歯の噛み合わせるところだけ、歯ブラシで擦ることも取り入れてきました。


4️⃣口の乾き

高齢者の方に限らず口の乾きが気になることがあります。
口の乾きは薬を飲んでいる等の原因で起きることがあります。

唾液が出るところは、耳下腺、顎下腺、舌下鮮の3箇所です。

舌、下顎を動かすと、唾液の分泌を促すことができます。

また、顎の下の唾液腺のマッサージ等、唾液腺から唾液が出るよう促す方法があります。

口の乾きは唇も乾いていますので、まずリップクリームやワセリンを塗っておく。

口腔ケアを始める前にもリップクリームやワセリンを塗ってから始めるのも、ご存知で既に実践されている方も多いと思います。


これらは、大脳が記憶している感覚野と運動野の発達による学習の記憶で、人間は食べることも、口の機能も学びの連続なのだと思います。


少しでも生活に取り入れて役に立てていただけたら嬉しいです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


私が目指しているのは、孤立のない共生社会です。

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