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「ウキウキ、ワクワク、ジーンとする全員参加の歯科保健活動会議ーあなたの声を聴かせてください」
1.はじめに
会議と聞くと、多くの場合、四角い会議室で影響力のある人が中心となって、その人の意見をもとに進行や結果が決まるイメージが浮かびます。
これは、形式に沿って進め賛成や反対の意見で決定する効率的な方法といえるかもしれません。
しかし、全員が参加し、全員の意見が事業計画に反映されるような会議ができたらどうでしょうか。
その場では、誰か一人の意見だけが中心となるのではなく、全員が順番に思いを共有し合います。
自分たちの思いを全員がバトンを渡しながら話すものです。
今回の記事では、ファシリテーター、プレゼンター、コーディネーター、ネゴシエーターとして、地域歯科衛生士の視点から、児童や生徒を対象にした歯科保健活動の会議を紹介します。
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2.全員参加型の会議をしたい
私なら、こんな風に考えるけど、発言する機会もないし、もし、何かありますか?と聞かれても、既に方向性は決まっているから、それに従う方が時間も早く終わり、他の人の迷惑にもならない。
会議にすら参加したことのない人は、自分の考えを発言をする機会すらありません。
皆、平等に、上下関係なしに発言できる会議が必要でした。
この会議では、隣の人から受け取ったバトン(カラーボール)は、自分からまた隣の人へ繋ぎ、全員が考えや思いを話すことができました。
言葉は常に肯定的で、笑顔や明るい雰囲気で皆が前向きに、誰一人として、その発言を否定することなく、安心して発言することができました。
皆自分で名札を作り、呼ばれると嬉しくなるニックネームを書いて首にかけました。
会議中は、例えば歯科医師でも「たけちゃん」という名前で発言しました。
あっという間に2時間半を過ごすと、次回の開催日を楽しみにされる方も増えました。
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3.会議の目的と参加者
会議の目的は、児童や生徒が生涯自分の健康な歯や口腔で生活できるよう、子どもの未来を支える歯科保健活動計画を策定することです。
参加者は、一般住民の方、幼稚園教諭、保育士、幼稚園の園長先生、歯科医師、中小学校の養護教諭、行政栄養士、保健師、教育委員会職員、地域歯科医師会会長等です。
キーワードは共創です。
歯科保健活動の紹介(自己紹介)による活動の年表づくりや、歯科医師のパワーポイントでむし歯の原因と予防について学び、グループでマインドマップを作りその課題の重点化をワークしました。
その後、グループワークで作成した課題リストをさらに明確・合意化し、具体的な事業化への実現へ向け準備を進めました。
また、参加者への情報提供とコミュニケーションを心がけ、話し合いの進捗状況や今後の予定も含めて児童生徒歯科保健だよりを作って随時報告しました。
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4.実際に会議で使ったツールの紹介(一部)
1.自己紹介カード
自己紹介は事前に自己紹介カードに記入してきてもらいました。
自己紹介カードは
❶自分のことを食べ物に例えると
例)干し芋
そのココロは
見かけはかたそうで何者かわからないが、そのままでも、焼いても食べられる。食べてみると味わい深い。癖になるかも。
❷最近人からしてもらってうれしかったこと
❸人にしてあげて喜ばれたこと
❹歯科保健活動年表づくり
学校・歯科医院・幼稚園・保育所・地域でやっていること・記憶に残る出来事を書き出して皆さんの記憶で歯科保健活動づくり年表をつくります。
2.パワーポイント
❶歯科保健目標の達成状況やむし歯重症児さかのぼり調査結果報告
❷歯科医師のむし歯の原因と予防についてミニ講話
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5.参加者の声
参加者の感想一部紹介します。(私のメモから)
○このようなメンバーでの話し合いは初めてで有意義な時間が過ごせた。
○ワークショップ型形式は新鮮に感じた。
○これまでの取り組みについて知ることができた。
○歯科保健事業にもっと力を入れなければと思った。
○子どもの歯科保健と関わりをもつ人たちが一同に会したことに意義を感じた。
○他分野での取り組みを知る機会になった。
○歯科医師に専門的な話を聞くことができた。
○歯科保健の活動について理解が深まった。
○立場の違う方と話し合いができたことが良かった。
○小学校でどのような取り組みが必要か考えたいと思った。
○健診の大切さを改めて考えた。
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6.会議の進め方のポイント
この会議の進め方のポイントは全員参加です。
私は、ウキウキやワクワクしたり、目頭が熱くなるような地域住民や関係機関の方々との出会い、そこから生まれる思いや知恵を得る機会が大好きです。
全員が参加することで「生き物としての会議」が作られ、皆が一体感を持ち、自分も未来を創る一人だと期待と責任を抱ける場となります。
プレゼンテーション、ミニイベント等全員参加型の会議は、様々な方法で回を進めていきました。
全員が大きな輪になる形で座り発言しました。
グループワークでマインドマップを作り、KJ法でまとめてそれぞれ発表したりもしました。
スクリーンに写し出される子どもたちの笑顔、お母さん、そして、先生方の姿に涙を流される方もいました。
次々に共有するウキウキ、ワクワク感。私はこのダイナミクスがたまらなく好きです。
一人ひとりの違いも、違った考え方もそれぞれを認めて、互いの話しに耳を傾けて全員が平等に発言し聞いてもらえる。
そこから、子どもたちの未来を支える建設的な会議でした。
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7.まとめ
そして、会議で作成した子どもを支える計画の続きは、子どもも参加して「子どもたちのことは子どもたちが決めて欲しい」
そんな思いでいます。
その会議が開催できることを願っています。
現在、私は異動で歯科衛生士の仕事から離れていますが、このような貴重な経験を活かして執筆活動を続け、地域でより多くの方の生活を「見て聞いて教えて」いただき、必要を創り出したいと思いボランティア活動をしています。
今後とも私がお伺いした際には、どうぞよろしくお願いいたします。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
私が目指しているのは孤立のない共生社会の実現です。