分散投資の銘柄数はどれくらいが良いか?
株式投資を始めていくと、個別株の銘柄数はどれくらいが良いか悩みませんか?
投資の世界では「卵はひとつのカゴに盛るな」という言葉が有名です。
しかし、どれくらいの銘柄数を保有するのが適正なのか悩むと思いますので、この記事では適正な銘柄数について考えていきたいと思います。
1 分散投資とは
投資ポートフォリオ内でリスクを低減するために、資産を異なる種類の投資商品や市場に分散させる投資戦略です。
この戦略は、個別の投資が持つリスクを相互に打ち消し合うことを目指し、全体としてのリスクを管理する方法です。
2 分散の目的
3 分散投資の方法
(1) 資産クラスの分散
株式:異なる業種や地域の株式に投資します。
債券:国債や社債、地方債などに分散投資します。
不動産:不動産投資信託(REITs)などに投資します。
その他:コモディティ(商品)、ゴールド、暗号通貨などに分散投資します。
(2)地理的分散
国内外の分散:国内だけでなく、海外市場にも投資します。
新興国と先進国の分散:経済成長の異なる地域に投資することで、成長機会を広げます。
(3)投資スタイルの分散
成長株とバリュー株:成長が期待される企業と、割安とされる企業の株式に投資します。
大型株と小型株:企業の規模による分散投資です。
(4)時間の分散
ドルコスト平均法:一定額を定期的に投資することで、投資時期によるリスクを分散します。
4 適正な銘柄数
(1)10〜20銘柄
多くの専門家は、10〜20銘柄の分散が適切だと考えています。
この範囲であれば、特定の銘柄のリスクを効果的に分散しつつ、管理もしやすいからです。
10銘柄以下だと、分散の効果が不十分であり、特定の銘柄のパフォーマンスに依存するリスクが高まります。
20銘柄以上になると、管理が難しくなり、リターンの向上に対する分散効果が薄れる可能性があります 。
上記のグラフは、ポートフォリオ内の株式数が増えるにつれてリスク(標準偏差)がどのように減少するかを示しています。
X軸:ポートフォリオ内の株式の数(1から50まで)
Y軸:ポートフォリオのリスク(標準偏差)
グラフのポイント
赤い点線:推奨される最大分散(20銘柄)。この範囲で分散効果が大きく、リスクが大幅に低減されます。
緑の点線:最小限の効果的な分散(10銘柄)。これより少ない場合、リスク低減の効果が不十分となります。
(2)ポートフォリオ理論
ハリー・マーコウィッツの現代ポートフォリオ理論では、15〜30銘柄が理想的な分散効果を得るために必要だとされています。
これにより、個別リスクの大部分を相殺することができます 。
(3)投資スタイルによる違い
アクティブ投資家は、自分で銘柄選定を行うため、集中投資を行うことが多く、10〜15銘柄に絞ることがあります。
パッシブ投資家は、インデックスファンドを通じて数百から数千銘柄に分散投資することが一般的です。
5 分散投資のメリット・デメリット
(1)メリット
リスク低減:異なる資産クラスや地域に投資することで、特定のリスクに対する脆弱性が低減します。
安定したリターン:異なる市場や投資商品の組み合わせにより、ポートフォリオ全体のリターンが安定しやすくなります。
(2)デメリット
過度な分散のリスク:あまりにも多くの投資商品に分散しすぎると、管理が難しくなり、リターンが希薄化する可能性があります。
費用と時間のコスト:分散投資には、多くの情報収集と管理が必要であり、費用や時間がかかることがあります。
6 まとめ
分散投資の適正な銘柄数については「10〜30」が適正だと思われます。
専門投資家であれば、銘柄数の管理に時間をかけられると思いますが、多くの方はメインの仕事をしながら、株式投資をしていると思いますので投資ばかりに時間をかけられないのではないでしょうか。
上場企業の株式会社は年に4回業績発表を行います。
100銘柄を保有していたとすると、1銘柄5分で企業の業績を確認したとしても500分(8時間20分)かかります。
3ヶ月に1回これだけの時間を掛けられる人は少ないのではないでしょうか。
分散投資の銘柄数については20銘柄を境に分散の効果が薄れてしまいます。
そのため過度に銘柄数を増やす必要はないと思います。
だんだんと慣れてきて、銘柄を増やしても大丈夫だと思ったら少しずつ増やすのが良いのでないでしょうか。
私自身も保有銘柄をどれくらいの数にするか悩みましたが、20〜30銘柄で落ち着きました。
個人によって心地の良いところは違うと思いますので、是非自分に適した銘柄数を探していただければと思います。