1人でも多くの同志が、1匹でも多くの…
最近、カメムシの記事をよく見かける。
あまりに暑い日が続いたから感覚が麻痺しているが、そうかそんな季節か。
大量発生したカメムシの撃退に頭を悩ませる記事がほとんどだ。
袋に落とし入れて密封する、掃除機で吸い取る…
僕はカメムシの里・愛媛の山中で20年間暮らした。
シーズンになれば巨大なカメムシが大量飛来した。
カメムシを見つけて、ギャーッ!などといちいち声を上げていては喉がやられてしまうほどの豊作だ。
だから、いたって平静を装い、カメムシ発見、除去隊出動!などと静かに心で唱えながらカメムシに挑んだ。
そこで実践していたのはガムテープだ。
5cmくらいの長さに切ったガムテープを両手で持ってピンと張る。
おもむろにカメムシの背後から近づいて、ガムテープの粘着面を軽くカメムシの背に当てる。
ここで大切なのは「軽く」だ。
間違えてもギュッと押しつけてはならない。
ふつうの壁紙ならカメムシの脚の爪の引っかかりも弱く、ガムテープを軽く当てるだけで簡単にカメムシはガムテープにくっついてくる。
僕が教わったのは、そのままガムテープをペタンと折り畳んでカメムシを閉じ込めてしまう方法。
うまくカメムシを包んでしまえば、たとえプシューッと臭気を発されてもガムテープの外にまではニオイは漏れ出てこない。
だからこの方法でいいといえばいいのだが、問題は「カメムシのガムテープ包み」が匹数分できあがり、それをゴミ箱に棄てなければならないことだ。
たとえガムテープに包まれて見えない臭わないといえど、ゴミ箱に大量にカメムシがいるという精神的苦痛、あるいは生き埋めのような非道な処分を下した精神的苦痛からは逃れようもない。
そこで僕が取るようになった方法は、カメムシの自然界への放出。
釣りの世界でいう、キャッチ・アンド・リリースというやつだ。
ガムテープにくっつけたカメムシを屋外に逃がす。
でも急がなくてはならない。
カメムシも必死で脚をばたつかせ、身をくねらせて逃れようとする。
のんびりしていてはガムテープの呪縛から逃れて、またあのブーーーンという不穏な音を発して飛び立ってしまう。
ガムテープにカメムシがくっついたのを確認したら、慌てず騒がず、でも急いで戸外に出る。
ここまでずっとガムテープは両手でピンと張った状態。
そこから片手を離し、自由になったガムテープの端を手すりなど前方の見通しのよいところにピッと貼りつける。
もう片方の手はしっかりガムテープを持ったまま、とにかくピンと張る。
そして空いた手でガムテープを強く弾けば、カメムシは無事自然界へ帰っていくという寸法だ。
家の中に数匹のカメムシを認めたら、それを何度も繰り返せばOK。
ガムテープも使い回しできるのでムダはないし、なにより「カメムシのガムテープ包み」を大量に生み出さなくて済む。
ガムテープをカメムシの背に当てるときに「軽く」、ガムテープにくっついてきたらあとは「急ぐ」、を徹底すればあのニオイとはまったく無縁だ。
1人でも多くの同志が、1匹でも多くのカメムシを戸外放出されんことを切に願いつつ筆を置こう。
いったい何書いてんねん…
(2024/10/19記)