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5歳の年の差は大きいって

明石に住んでいた頃だから、たしか小2か小3の頃の話。

8畳の部屋が兄と僕の2人部屋だった。
そこに互いの勉強机を背中合わせにしていた。
つまり勉強机2台を挟んで2人が向かいあう格好。

あるとき、突然ゲームが始まった。

お互いに紙を5枚ほど持ってスタート。
昔のチラシは片面印刷が多かったから、遊べる紙は豊富にあった。
その1枚に何でもいいから1文を書く。
たとえば「今日の給食おいしかった」とか。
そして書き終わったら、目の前の棚の隙間からその紙を差しこむ。
その紙は、はらりと兄の机に落ちる。

2枚目の紙にたとえば「今年の夏休み…」と書いている最中、兄からの紙が僕の机に落ちる。
たとえば「明日晴れるかな」と書いてある。
それを尻目に、書きかけの文を「今年の夏休みどっか行くんかな」と仕上げ、また棚の隙間に差しこんで落とし、3枚目に進むか、あるいは「明日晴れるかな」の下に「いや、雨やろ」と書いて棚に差しこむ。
そうこうするうち兄の2枚目が届き、さらに僕の1枚目に「竹輪の磯辺揚げが脂っこかった」と書かれて返ってくる…

そんな紙が全部で10枚飛び交うのだ。
すべての紙が手元にたまるか、意味の繋がらない返しを書いたほうが負け。
次の紙が続々落ちてくるからゆっくり考えることはできないし、同時にいろんな話が進むからプチパニック。
慣れてくると、書いてもすぐには出さず、数枚ためこんで一気に棚に差しこんで、兄の戦意を喪失させる作戦をとったりもした。

このスリリングなゲームに兄弟ではまり、その後たびたびやった。
神戸に引っ越して部屋が別々になる小4の夏まで。

これで結構何かが鍛えられた気がする。
何かって何だろう…作文力? 読解力? いや違うな…
瞬発力、そう文の瞬発力が研ぎすまされた。

にしても小学生 VS 中学生、5歳の年の差は大きいって。

(2021/5/28記)

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へんいち
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