2024年上半期 お気に入りアルバム 25
2024年も半分が終わろうとしています。今年の大きな話題と言えば、「チーム友達」や「Espresso」、「MILLION DOLLAR BABY」のヴァイラルヒット、資本主義の女王 Taylor Swift の過剰な販売戦略、Beyoncé のカントリーへの進出、Kanye West のビジネス、Kendrick Lamar と Drake のビーフ、NewJeans の躍進など。
音楽のサウンド的には、やはりリスナーの関心がビートから歌/メロディへ。去年からのカントリーの躍進もそれとの相乗効果だと思います。ポピュラー音楽の中心地がだんだんと北米でなくなるのにつれて、ハウスなどの四つ打ちやトラップビートも少ない印象。というか、「まだそれやるの?」という印象を受けることが多かった気がします。
個人的に期待していた Dua Lipa と Ariana Grande の新作が、個人的な理由で全く受け入れられず、自分でも少し意外でした。
さて、今年はここ数年でもっとも音楽を聴いていない年になっていますが、上半期の個人的フェイバリットアルバムを紹介します。10位以降は簡単なコメント/レビュー付きです。また、ここではEP、LP、ミックステープを全て含めてアルバムと扱っていますので、ご了承ください。先行対象期間は、2023年12月25日から2024年6月20日までです。
Spotifyのみになりますが、各アルバムからのベストトラックを選んだプレイリストを先にどうぞ。
25. Moth - Fana Hues
BEST TRACK
・Sweet Like
24. Born in the Wild - Tems
BEST TRACK
・Me & U
23. Britpop - A. G. Cook
BEST TRACK
・Britpop
22. 2093 - Yeat
BEST TRACK
・Psycho CEO
21. Cape Town to Cairo - PJ Morton
BEST TRACK
・Who You Are (feat. Mádé Kuti)
20. Slow Burn - Baby Rose & BADBADNOTGOOD
BEST TRACK
・On My Mind
19. Silence Is Loud - Nia Archives
BEST TRACK
・Forbidden Feelingz
18. Hyperdrama - Justice
BEST TRACK
・Generator
17. TYLA - Tyla
BEST TRACK
・Water
16. Fearless Movement - Kamasi Washington
BEST TRACK
・Computer Love
15. #RICHAXXHATIAN - Mach-Hommy
BEST TRACK
・SONJE
14. Bells Collection - M.I.A.
FREE PALESTINE
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※ M.I.A. のオフィシャルサイト上でのみ公開されたミックステープでしたが、現在は再生不可になっています。代わりにYouTubeに転載されている非公式の音源のリンクを貼っておきます。
13. What Now - Brittany Howard
BEST TRACK
・Prove It To You
12. Live at Glasshaus - Bilal
BEST TRACK
・Reminisce - Live
11. Fabiana Palladino - Fabiana Palladino
BEST TRACK
・Can You Look In The Mirror?
10. Lives Outgrown - Beth Gibbons
陳腐だが、とある一人の人生を映画に例えてみよう。今年で59歳を迎えた 中年/初老女性は、まだ夜も明けきらない朝方に、コートを着て外へ出る。ポーティスヘッド・ビーチへでも向かうみたいだ。目的などない。世の喧騒から離れて、個人の「生」に向き合う時間。魂だけそのまま航海に出て行ってしまいそうだ。もしこんな映画があったら、主演はおそらく Cate Blanchett だろう。『Lives Outgrown』は、そういうアルバム。
BEST TRACK
・Beyond The Sun
9. Still - Erika de Casier
NewJeans の"イージーリスニング" サウンドの立役者。数多のジャンルブレンディングを得意とする生粋の「プロデューサー」アルバムに仕上がっている。R&B(オルタナティブR&B)を基調としてながら(90年代R&Bのエッセンスを感じる瞬間にたしかに多くある)、耳当たりの良い2ステップやドラムンベースなどのクラブミュージックと接合する音楽性は Janet Jackson『The Velvet Rope』(1997) に近く、広く解釈すれば(Timabaland抜きの)Aaliyah の文脈でも捉えられる。タイトル「Still」は「Still D.R.E.」にインスパイアされているとのことだが、その点を意識すると、面白いことにウエスト・コースト的な大胆さがあることにも気づく。
BEST TRACK
・Lucky
8. Where The Butterflies Go in the Rain - Raveena
インド音楽をネオ・ソウル的に解釈した前作『Asha's Awakening』(2022) に比べて、もっと自由に、バンドアンサンブルにフォーカスした印象。シタールやタブラをメインのインストゥルメントとして使うインディ・ロック、インディ・ポップ的な聴き方もできるだろう。しかし Raveena の音楽性を支えているのは今作でも変わらず「ボーカル」の聴き心地良さ。
BEST TRACK
・Rise
7. Night Reign - Arooj Aftab
パキスタンのSSWによる、ジャズフォーク。歌詞はわからなくても、空間を意識したアレンジと演奏はミステリアスで美しく、それを追って聴いているだけで、物語が紡がれていくような気がする。
BEST TRACK
・Aey Nehin
6.Why Lawd? - NxWorries (Anderson .Paak & Knxwledge)
前作を超えた待望のセカンドアルバム。アブストラクトなビートの西海岸ソウルの作品としては類を見ない心地良さだ。
BEST TRACK
・WalkOnBy (feat. Earl Sweatshirt & Rae Khalil)
5. Mahal - Glass Beams
いいから先に聴いてほしい。たったの18分。名門 Ninja Tune に所属する、オーストラリアの謎多き仮面3人組バンド。インドの伝統音楽と西洋音楽との未知なる融合。Glass Beams がやっているのは、60年代のサイケ文化とは似ているようで完全に非なる。言語化がすごく難しいが。完璧にコントロールされたアラビアンなビジュアルコンセプト(ん?アラビアン?)。ドラムとベースのループによる肉々しいグルーヴと、その上で鳴らされるシタールやギターの神秘性。よくわからないが、とにかくすごい。
BEST TRACK
・Mahal
4. ORQUÍDEAS - Kali Uchis
Sade を彷彿とさせる甘美さ。それは単にセクシーだからというわけではなく、極めてアメリカ的な70年代ソウル/R&Bを独自のルーツをもって再解釈する音楽性という点でも共通しているからだ。コロンビアの女王として、そしてラテンポップの女王として、全編スペイン語詞で挑んだ現代芸術。
BEST TRACK
・Igual Que Un Ángel (with Peso Pluma)
3. BRAT - Charli xcx
どこまでもセルフィッシュで、どこまでも愛に溢れている。31歳を迎え、ボーイフレンドと婚約した Charli xcx の赤裸々なクラブ人生日記。ただ生きているだけで他人と比較してしまい、誰もが世間に嫌気が差す中で、彼女はユートピアとしてのクラブに真摯に向き合っている。SOPHIE の旅立ち、PC Music の終了、友達が母親になっていく様子を見てキャリアの存続を悩む Charli xcx ___ エモーショナルでスリリングなリリックも多く続くが、最後に彼女は改めて自身を定義する。「365日パーティガール」。
本人曰く、スキップソング(「Rewind」)を収録することで「アルバム」として作品に緩急がつく。フロアの客が一旦バーカウンターで話し込む深夜2時のように。そう、まさに『BRAT』は、「クラブ」という大衆の空間メディアを、「アルバム」という個人のオーディオメディアに変換する試みでもあるのだ。このアルバムを再生すれば、Charli xcx はいつでもあなたをフロアで歓迎してくれる。
BEST TRACK
・Club Classics
2. HIT ME HARD AND SOFT - Billie Eilish
優れたポップレコードとは、アーティストのアイデンティティに根ざした内省的な作品であると同時に、オーディエンスに対しても開かれた作品のことである。音楽史上稀に見る期待をかけられてしまったセカンドアルバム・シンドロームを乗り越え、愚直に、且つ至る所まで緻密にレコーディング、ミキシングされた今回の3枚目。Billie と FINNEAS 兄妹のソングライティングスキルにどっぷりと浸かる44分間。
BEST TRACK
・BIRDS OF A FEATHER
1. COWBOY CARTER - Beyoncé
さまざまな歴史や文脈が複雑に絡まりすぎて、世界中で混乱を極め続ける2024年。その結果としての消えゆく「アメリカ」という国の歴史に、Beyoncé は正面から挑んでいる。彼女は白馬に乗り、アメリカン・ポピュラーミュージックの時空を縦横無尽に駆け巡る。「アメリカ」を復興させるべく、先人たちに祈りを捧げながら。
BEST TRACK
・YA YA
とにかく上半期は Beyoncé、Billie Eilish、NewJeans を聴いてました。Vampire Weekend の新作が入っていないのは、単に私がロックが苦手すぎるからです。精進します。
「上半期ベストR&Bソング」もやろっかなー。
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