みんな美味しいもの沢山食べて!
若き頃の私、殿方とデートをすると嫌な顔をされて愛想尽かされることが結構ありました。なんでかって。食事をすることに全く興味がなかったから。興味がなかったってのも違うな。どちらかというと食べることに恐怖があったから。
幼少期の私、偏食が激しくてとても痩せていました。(ちなみにASDの息子も全く同じです。偏食激しくて食べるものが限られているので、好きなモノしか食べないし、痩せててガリガリ)
私が小学校時代を過ごした昭和の頃というのは、給食で完食指導というのが当たり前に行われていました。残しちゃダメ、全部食べなくちゃダメ、6年生で体重30キロいくかいかないかの痩せっぽっちの女の子にとって、この毎日の完食指導は恐怖以外の何物でもなかったのです。
ちなみに、嫌いなものを無理やり食べることで、給食中に戻してしまう友達もたくさんいました。幼い頃から嘔吐恐怖症だった私にとっては、これがまた本当に辛かったのでした。
身体が大きくて食べるのが大好きな男の子は、いつもあっという間に給食を平らげてしまいます。それを横目に見ながら、スプーンでひと匙ひと匙、必死に口に運ぶのです。でもみんなが片付けを始める頃に、私の給食は半分以上残っていました。
やがてみんなが昼休みで外に出て遊び始めても、私は食べ終わることができません。ひどいときには五時間目が始まっても、一人で給食と睨めっこ。パンはもう食べると気持ち悪くなりそうなので机の奧に隠していまいた。そのうちパンを机の奧に隠してあることを忘れてしまい、数週間たってから出てくるのです。緑色のパンが。そうです。放置されてカビが全面に…。
昭和育ちの人たちで、この完食指導の残した心の傷は結構大きいんじゃないかと思います。(下記のような記事がありました。参考までに)
おかげで私は、大人になってから「誰かと一緒に食事をする」ということに全く楽しみを感じなくなってしまいました。夫とお付き合いを始めた頃、私が執拗に食事をすることを避けるので、夫は「今だから言うけど、あのときはなんか悲しかった」と言っています。
けれども、幸いなことに「誰かと食事をすること」の喜び、楽しさを初めて教えてくれたのもまた、夫でした。彼はとてもよく食べる人です。(おかげさまでふくよかです)私が何を作っても残さず食べてくれるし、とにかく結婚してから美味しいものを食べにたくさん連れていってくれました。
例によって例のごとく私は食べるのがとても遅かったり、食が細くてすぐに食べられなくなってしまったりするのですが、「僕はデブだからさ」と言って私の分までパクパク美味しそうに食べてくれて、私が心地よく食べられる分量だけをお皿に残しておいてくれます。
夫と共に生きるうちに、私は「食べるということは楽しいことなのだ」ということを初めて知ったのです。
そしてまた、彼にそのことを教わったおかげで、偏食っ子の息子を育てるコツのようなものが分かった気がします。息子は偏食が多い、食が細い、でも「食べるのは大好き」なのです。いいんです、好きなものだけ、たくさん出してあげれば。そして、その子が全部食べられる分量だけをお皿にのっけてあげればいいのです。そうしたら、食べることって幸せでしょう?好きなモノをお腹いっぱい食べて「ごちそうさま」って言わせてあげるんです。それが親の役目です。
子供の頃の完食指導は本当に辛かった。だからこそ、大人になってからの私は好きなモノを食べられる量だけ食べて、「幸せだなあ~」と思えるようにしています。食べることが苦しくてたまらなかった自分が、毎日好きなものを食べることで少しずつ成仏していっています。
みんな、好きなものをたくさん食べて!!大人になった今だからこそ、食べることを楽しんでください。
そして偏食っ子や食の細いお子さんをお持ちの親御さんへ!子供の好きなものを、食べられる分量だけお皿に入れてあげてください。うちはガリガリ痩せっぽちでも、元気に育ってます。
さて来週は、何を食べようかな!