新刊「オペラで楽しむヨーロッパ史」(平凡社新書)のお知らせです。
こんにちは。音楽物書きの加藤浩子です。連日の投稿、失礼いたします。
今月、新刊が出ました。
『オペラで楽しむヨーロッパ史』(平凡社新書)。オペラと歴史の関係を、いくつかの切り口から深掘りした本です。
2015年に『オペラでわかるヨーロッパ史』(平凡社新書)という本を出させていただきました。幸いなことに面白いと言ってくださる方が多く、増刷になりました。「オペラ」と「歴史」の関係を追った本で、歴史的な事件や人物を題材にしたオペラが中心だったのですが(そのため主な対象作品は、19世紀のグランドオペラです)、取り上げる際に、オペラが扱っている「歴史」と、オペラが成立した当時の「歴史」という二重の歴史を意識しました。
例えばヴェルディの「ドン・カルロ」は、16世紀のスペイン宮廷の物語ですが、オペラには史実とは違うところが散見されます。それは原作者であるシラーによるところが大きいのです。シラーの考えが反映された「歴史」になっているわけです。加えて、作曲者であるヴェルディの考えも反映されている。それを掘り下げることは興味を惹かれる作業でした。
今回の本は、前回の続編というより、もっと枠組みを大きく取り、モーツァルトの「三大オペラ」とフランス革命の関係、ヴェルディのオペラとイタリア統一(よよく言われる、「ナブッコ」が愛国オペラ、というのは、少なくとも一部はフィクションです)ワーグナーのオペラとドイツ統一、「蝶々夫人」とジャポニスム、シェイクスピアと歴史とオペラ、そして「ジャンヌ・ダルク」とオペラ、という章立てになっています。
それぞれの章に、これまでの類書にはない視点を盛り込んだつもりですが、個人的に一番のめり込んだのは「ジャンヌ・ダルク」でした。彼女は、時間とともに受容がどんどん変わってきた人物ですが、彼女を題材にしたオペラ(と音楽劇)には、そのことが如実に反映されています。
そして、この本を書けるかも、と思った直接のきっかけは、「あとがき」の冒頭で紹介した、クルレンツィスとムジカエテルナの「フィガロの結婚」のCDでした。
詳細はこちらでご覧ください。
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