Vol.021
ワインを買うとき最初に手がかりになるのは、エチケットのデザインです。
飲む前のワインをエチケットだけで判断する、ということです。
ボトルに貼られたエチケットは、どんな色や形状なのか。絵柄はなにを意味しているのだろうか。ワイナリーやワインの名称を記した書体に、どんな思いをたくそうとしているのか。
エチケットには、実に多くの「意味」がふくまれています。
ワイン造りは、ブドウの栽培からはじまって、収穫、醸造、熟成、瓶詰めへと進行します。ワインのボトルがコンベアに乗って、流れ着いた最後のところでエチケットが貼られる。1本のワインが完成します。
ブドウが育った天候、醸造における奇跡、熟成でもたらされる恵みもふくんだものが、ワインの味わいです。化学に則った製造のプロセス以外にも、そんな偶然の賜物が驚くべき味に変わることがあります。
だからこそ、ワインは面白い。
ボトルに張ったエチケットは、いわばワイナリーのオーナーが、ワイン造りにかける哲学を可視化させた図像です。年号(ヴィンテージ)には、ワイン造りのすべての機微が詰めこまれている、と主は考えています。
だからこそ、ヴィーノサローネは、「イタリアワインの“本質”にであう」ために、エチケットの意味や物語も大事にします。現在、ヴィーノサローネで販売中のワイン3本のエチケットには、造り手の志が見事に宿っています。
過日、インスタグラムで紹介していますが、各ワインのエチケットにこめられたエピソードを、インポーターをとおして取材しました。
①白ワインの革命を起こした、スキオペットのエチケット。
②土着品種が育つテロワールの風景も見えてくる、カンテのエチケット。
③芸術的な絵柄にワインの複雑な味わいを表す、パラスコスのエチケット。
気に入ったエチケットでワインを手に入れるのは、“ジャケ買い”の感覚かもしれません。第一印象にかけ、後日、情報の宝庫のエチケットをじっくりと読み解く。ワイン選びがいっそう楽しくなります。
次回の“ディアリオ ヴィーノサローネ”に続きます。