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ネガティブな期待は「伝える」とクレームは減ると思う。
「混みますよ」とか「遅くなりますよ」とか、ネガティブな期待というものは伝えた方がいい。
「あとは若い人たちにお任せして」
お見合いで「2人きりでお話ししてください」という定番の合図。
濃い整えられて緑の中や、紅葉が綺麗な庭の紅い太鼓橋を初々しくお互いに言葉が出ずに少しうつむいたまま歩くあのシーン。
お見合いはしたことがないし、興味もないんだけれど、あの言葉には気分を高揚させる成分が入っているような気がします。
あの「あとは〜」というフレーズには「2人で話してね」と同時に「期待しているよ」という気持ちも内包させていると思います。
こんにちは、飲食店やホテルの表示やメニューに、いつも興味津々な鵜沼です。
期待をあらかじめ伝えるということはお店やレストランでも何かを表示する際に使いますよね。
お店の看板や黒板で、開店や閉店をお知らせしたり、どんなメニューがあるのかの情報はもちろん、店主の顔や、催し物のお知らせ、通路の表示と、それぞれがアイディアを詰め込んで様々な表現がされています。
最近立ち寄ったホテルで見かけた表示には、朝食会場の混雑予想が書かれていました。
6:30〜7:30までは混雑度50%
7:30〜8:30までは混雑度が90%
混雑度50%は「比較的ゆっくりと召し上がれますが、少々混み合う可能性もございます。」
混雑度90%は「大変混雑が予想され、しばらくお待ちいただくこともございます。」と書いてある。
ホテルの朝食レストランはツアーのお客さんが重なったり、個人のお客さんが多いと「朝はゆっくりしたいから朝食は出来るだけ遅めが良い」と遅い時間が混み合って行列が出来たりもします。
もちろん朝食はどんな時でも「ゆっくり食べたい」という風にみなさん思うと思うんです。
その気持ちのまま朝食会場に行った時に、混雑していたらどう思うでしょうか?
「混んでるなぁ。並ぶのかぁ」と美味しい朝食を目の前にしながら気分は少し寂しくなりませんか?
中には予定が変わってしまうとイライラしたり、並ぶことに疲れてしまって気分が下がってしまう。
シェイクスピアの作品名が元になった慣用句
「終わり良ければすべて良し」という言葉から考えてみると
滞在の最後に食べる朝食というものはとても大事なことで、そのホテルや旅館での滞在の感想にも影響するというデータもあるぐらいです。
混雑度はその日のお客さまの行動次第なのであくまで予想の範囲内ですが、
90%と伝えておいて、実際に行った時に席が空いていればラッキー、混んでいたとしても「やっぱりか」と気持ちを落ち着けることができます。
あらかじめ伝えておくことでお客さまがスケジュールを組みやすかったり、混み合う時間を覚悟することができるからクレームにもなりづらい。
クレームは情報量の不足が起こすものです。だから
ネガティブな期待は”わかっている”なら伝えた方がいい。
こういう細かい気遣いは「お客さまのためにちゃんとしてくれるホテルなんだな」とわかりますしね。
上手いなぁと思った看板でした。
織田作之助の短編小説に「天衣無縫」というものがあり、収録作品に同名の小説があります。
主人公のお見合いからその後に関する気持ちの動きを「天衣無縫」にすなわち、自然に、継ぎ目がなく表現されています。
心の動きって目に見えないからわかりづらい。
だけど、それを形に変えたものが商品で、情報に変えて表現したものがサービスになってきたんだとも思う。
お客さまが入店してから退店するまでを継ぎ目なくイメージして、その最後に見事で自然な表現が出来ないかと考えると、新しいアイディアが出てきそうですね。
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