待ちぼうけ:SNS規制前夜に思うこと
今晩はツイッターで知り合った人と会う約束をしていたが、先方の都合でどたきゃんとなった。待合場所まで辿り着いたのだが、先方は表れなかった。その理由も、あとで頂いたダイレクトメールも、いずれも筋が通っていたので、また日を改めて会うことにした。
ツイッターで知り合った人と会う=オフ会は、ツイッターをしないひとからすれば、気色悪いだろう。特に私は匿名アカウントだ。相手も匿名で、ただ気が合うだけで、会う約束をする。もちろんリスクはある。「首吊り士」の事件は決して忘れてはいけないと思う(ここから先は、SNSにトラウマがある人は読まないでほしい)。
「首吊り士」の事件とは、白石隆浩容疑者がツイッターで「死にたい」とつぶやく女性と思しきアカウントに、言葉巧みに自殺の方法を指南し、果てはダイレクトメールで自宅で首吊りで死なせてあげると誘い、9名を殺した事件である。ツイッターのオフ会の危険性を端的に伝える事件として、細部は伏せたうえで、中学生には教育してよいように思う(小学生にはトラウマとなる危険性が高いと思う)。事件の詳細は次の朝日新聞記事を読んでもらいたい→https://digital.asahi.com/articles/ASKC231H3KC2UTIL004.html。
今日私はまさにダイレクトメールを信じて、待ちぼうけを食らった訳だが、自分だけは大丈夫という過信があったかも知れない。また、これまでのオフ会が実り多かったことも、ほいほい出掛けていった理由の一つである。
本当にツイッターがなければ出会えなかった、素晴らしい友人がたくさんいる。彼ら・彼女らには感謝しても、し切れない。前回書いた大学の講義のスペシャル・コメンテータのなかにも、ツイッターで知り合ったひとが含まれている。大変ありがたいことと思っている。だが、他方でやはり用心も必要だと思う。
木村花さんの自殺をきっかけに、自民党のプロジェクト・チームがSNS規制に乗り出そうとしている。高市早苗総務相が先頭に立ち、強引な手も辞さずに、SNS発信者特定容易化を進める構えだ。木村さんの自殺、それに先の白石容疑者の事件などから、SNS、特に匿名性が高いツイッターを規制すべきという意見が出るのは当然と思う。が、しかし、と思う。ツイッターは匿名でしか声を挙げられない、被差別者が「告白」できる場でもあるのだ。
本件について、烏賀陽さんはネット番組で、「ツイッターの匿名アカウントなど相手にしない」と豪語していたが、それは強者の論理と私は思う。烏賀陽さんは「びんがさん」名義でnoteを書いている私もスルーするのだろう。私は別にそれで構わない。
しかし、匿名でしか告白できない人もツイッターを利用していることを、どうか忘れないでほしい。そうでないと、高市総務相らが掲げる「SNS発信者特定容易化」に抵抗できないだろう。声なき声に耳を傾けることから、政府によるSNS統制に抵抗したい。因みに烏賀陽さんが出演していたネット番組はYouTubeで配信されていたものである→https://www.youtube.com/watch?v=w6oK8y1qsLM&t=811s。私はこの配信をネット強者の論理と受け止め、嫌悪感から、全て聞くことはできなかった。