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ぱりに行きたしと思えども

萩原 朔太郎の詩。
「ぱり」ではなく、ほんとうは「ふらんす」ですけれどもね。

ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し
せめては新しき背廣をきて
きままなる旅にいでてみん。
汽車が山道をゆくとき
みづいろの窓によりかかりて
われひとりうれしきことをおもはむ
五月の朝のしののめ
うら若草のもえいづる心まかせに。

「旅上」 萩原 朔太郎 
         

あらためて読むと、
爽やかで、いい詩だなぁと思います。

ここ数日、Youtubeでヨーロッパ(主にパリ)旅行のVlogを見ています。
それも、けっこういいホテルに泊まって、旅でも普段と同じであろういいお洋服を着てお洒落していて、素敵なレストランに行ったり、おしゃれなお店でお買い物したり・・
といった、かつての自分とは違う、ちょっとリッチな感じで旅している人の動画。

「旅でも・・いいお洋服を着て」というのは、
旅行だとカジュアルに寄った服装になりがちな自分とは違って、という意味です。
今はどうなのか知らないけれど、
昔の海外慣れしていない頃の日本人って、
ふだんはそんな恰好しないであろう、近くの山にハイキングでもいくような服装になっちゃうツアー客、をよく見かけた気がします。

お洒落でお金がかかっていそうな旅は、自分のスタイルとは違うと思って
以前だったらそういう動画はあまり興味がなかったのですが、
いまは逆に楽しく観ているのはなぜでしょう。

できるできない、するしないは別として、
自分もそういう旅の仕方をしてもいいと思えるようになったのかもしれません。
「いい」というのは、自分に「許せる」ということです。


写真は、1988年に行ったときのパリの地図、ヨレヨレです。
そのときの旅に関するものは、ファイルにして取ってあって
今となっては遥か昔ですけれども
広げてみたら、懐かしい。

地図だとちょうど右下のほうの、カルチェラタンあたりの1つ星ホテルに泊まりました。1つ星なんて、今だったら泊まらないけれど。
安宿だからといって、若者ばかりというわけではなく、
ふつうの大人も泊まっていたと記憶しています。
一般の西洋人は、そんな贅沢なホテルになんか泊まらないんだなあと思ったものです。

よくよく見ると、
「ジャコバンクラブ跡地」とか、「ロベスピエールの家」とか
書き込みがしてあって、
初めてのパリで、フランス革命に関する場所を細かくチェックしていたのがわかります。

ギロチンを発明して動物で実験した路地だとか、
その向いにある、革命家マラーが暗殺された印刷所の建物だとか
そんなところまでも調べて行ったものですが、
その場所が詳しく解説された本はもう断捨離してしまって、
果たしてその情報が本当にそうだったのか・・・
いちおうちゃんとしたフランス革命に関する本だったのだけど、
ウィキペディアで見ると、まったく違うことが書いてあって
ウィキの信ぴょう性は別にしても、
今となってはなんとも言えない感じがします。


先日のパリ・オリンピックで、開会式の演出が話題になっていました。
生首もった貴婦人(どう考えてもマリー・アントワネット)が歌っているのにはびっくりしたけど、
そのコンシェルジェリーという建物の窓から一斉に
血しぶきにみたいに赤い煙が噴き出したのにはもっと驚いて、
なんて~悪趣味な演出だ、と思いました。

セーヌ河から見たコンシェルジェリー

コンシェルジェリーはセーヌ河沿いに建つ、
要塞のような城のような建物で、
マリー・アントワネットは刑の執行までそこに収容されていました。
私が行った当時は、彼女がいた部屋には入れず、
中庭から現地ガイドの説明を聞いて、窓の外からその部屋をのぞいただけでした。
今は中に入れるようになっているようです。

コンシェルジェリーで買ったと思われるポストカード。真中の女性がマリーですね。

近年、フランス革命に関する本はたくさん発刊されていて、
自分が学生のころ、資料が少なくて苦労したのがウソのようです。
革命の暗さ、血生臭ささにはうんざりしているので、
次にパリに行く機会があっても(あるかなぁ~・・)
ただ美しいものだけを見たい、
そして、ちょっとリッチに過ごしてみるのもいいなぁ~と妄想します。

朔太郎の詩について検索していたら、noteで素敵な解説をされている方がいらしたのでリンクさせていただきます。

永井荷風の「ふらんす物語」も読んでみたいと思ってしまいました。

noteでパリのことを書いたのも、もう4年も前になっています。
ということは、もう4年以上やっているんだなあ、note・・・。


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フランチェスカ
書くこと、描くこと、撮ることで表現し続けたいと思います。チップは自分を豊かにしてさらに循環させていけるよう、大切に使わせていただきます。