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北鎌倉 葉祥明美術館

北鎌倉駅から歩いて、明月院のほうへ左に曲がって少し歩いたところに、絵本作家で画家、詩人でもある葉祥明さんの個人美術館である「北鎌倉葉祥明美術館」があります。

美術館のサイトを見ると1991年に開館したとのこと。
もうそんなに経ったのかと思うけれど、できた時は、北鎌倉の和の雰囲気のなかに洋館が建って、なんとなく違和感をもったものです。

たしか中学生の頃はじめて葉祥明さんの絵を見て、大好きになりました。
緑の地平線の上に小さな家が建っていたり、トスカーナの糸杉のような並木を自転車が走っていたり、広々としたところに小さく描かれる家や人のいる風景に魅了されました。

大人になるにつれ、あまり気に留めることもなくなっていきましたが、久しぶりに葉さんを意識したのは、1998年の晩秋、NHKの「わが心の旅」という番組で彼が聖フランチェスコゆかりの地、イタリアのアッシジとラ・ヴェルナ山を訪ねるのを見たときです。
その旅のあと、1999年に「St. FRANCIS OF ASSISI 朝の光の中で」という絵本が出版されました。

数年前に、本当に久しぶりに美術館に入ってみたとき、当たり前と言えば当たり前ですが、昔のパステル調とは違う絵が増えていることに気づきました。
深い青の海の中や、宇宙の絵が印象的でした。

それからさらに月日がたった今、自分でも水彩絵の具を頻繁に使うようになったせいか、先日入館した時に特に見入ったのは油絵の部屋でした。
昔と同じように広々とした空間を描いているのに、以前の水彩の絵と違って、目で見るというより、魂に響いてくる感じがします。
美術館のパンフレットにも「深い芸術性と思索を表現した油彩画を展示。画家として真理探究した絵画の世界です」とあるので、私の感覚もはずれてはいないだろうと思います。

「言葉の部屋」という小さな部屋に、素敵な詩が展示されていたので、思わず手帳に書き写してきました。

今日の実り

夕暮れとともに
一日が過ぎて行く
私は
仄暗い部屋の窓辺で
静かに今日を振り返る
良いデッサンは出来たか
モチーフの追求はどうだ
そして、
心に何か感じたか
詩の言葉は生まれたか

こんな風にして
今日の日の実りを
私は刈り入れる
 ー敬虔な農夫のように
      葉 祥明

外に出れば明月院の参道で、紫陽花の季節は人通りが多いのですが、一歩建物の中に入ると別世界で、静かな時間を過ごせる空間です。
入り口を入ったショップのスペースは入場料がいらないので、のぞいてみるのもおすすめです。

美術館のオフィシャル紹介映像です。

書くこと、描くこと、撮ることで表現し続けたいと思います。サポートいただけましたなら、自分を豊かにしてさらに循環させていけるよう、大切に使わせていただきます。