年をとる。それはおのれの青春を歳月の中で組織することだ。【エリュアール】
どこで見つけたのか記憶に無いが
思わず付箋に書き記し手帳に貼っていた言葉だ。エリュアールさんという方はフランスの詩人らしい。
自分が50代半ばのころだろうか。ある日年をとることに対して、急激and漠然とした黒い不安に襲われた。
「老い」とは?
考えてもすぐ分かるものじゃないが、様々な要素が重なってしまうある時期から敏感になる。なにに?だれに?なんか試されているのかと。
自分軸の老いでは身近な女の白髪問題。壮大な哲学的格言を提供してやったのに、そこかよ?と、エリュアールさんには怒られそうだが。
男は(夫もそうなのだが)ロマンスグレーのひと言で片がつく。しかも【ロマンス】だなんて、それだけで好意的じゃないか。てかなんでやねん。なんで男だけそんな良さげな名付けがされてるの。笑。
笑。と書いたけど、ぜんぜん笑えない。
最近は、グレイヘアなどと聞くこともある。【グレイ】か、うーん、それって、そのままじゃないか。【ロマンス】に匹敵する、オシャレな感じのものを付けて欲しい。女性誌とか広告系の方たち?ネーミングを仕事にしてる方たち、ぜひ良さげな命名をお願いしたい。
じつは根深い女の白髪問題。向き合って10年以上が経つ。いっそのこと、ひと晩でオール白髪になってくれたらと何度願ったことか。そうなれば覚悟を決めてベリーショートあるいはロングでアップにし、小物の色使いなどでシニアファッションにも気合いが入るってものだ。
それが、気付いたら数本散らばったり、一箇所で急にかたまったり。ともすれば、白髪のくせに元気いっぱいのアホ毛が(抜かれた腹いせか?)ピコんと飛び出たり。鏡付きエレベーターで知らないカップルと一緒にびっくりした事がある。
つぎに憂うのは老いと声のデカさだ。外食先で遭遇する50代後半から60代?と思わしき自分世代女たち。そこボイスボリュームときたら。世代特有の話し方もあるのかな、語尾伸ばし系というか。
だが、これは男女関係なく起きること。老いると耳が遠くなるから、ついつい音量が上がるのだ。老眼選手のように目立たないけど、陰から知らぬ間に襲ってくるタイプだ。老耳選手にも要注意である。
カフェやレストランで、やたら会話内容を撒き散らしてるなと思うと、たいてい、老いた自分世代のテーブルか、もしくは、大阪弁の混じるテーブルだからな。
そういや、東京に住み始めてから帰省するたび、御堂筋線で「嘘でしょ?」と何度も思った。自分が生まれ育った場所の電車だけど、こんなにヤカマシかったっけ?と。
だな。大阪弁は東京の街中どこにいても存在感ありだ。ボリューム大賞あげたい。老いとの関連を書いてたけど、結論。声のデカさに関しては老いより大阪弁だった。
老いを書き始めるとキリが無い。あれこれ思い浮かぶ。よいこともある。いろんなサジ加減が分かる(分かるだけに寂しいとも思う)こととか、若い頃とは違う方向からモノの魅力を味わえること。
それにしても昨今は老いの定義や寿命も大変おかしなことになっている。もう少ししたら100や120くらいの平均寿命になるのでは?と予測している研究者も多いし、実際そうなんだろう。
だけど、還暦からのあと60年?そんなん、どないせぇっちゅうの。
病気が治るのは良いことだけど、その進化のスピードだけ急速にあげてもらっても困惑する。中途半端な老い(弱い期間、フレイルというらしい)のまんま、人生の心づもりやその他諸々がたいそう変わってくる。とくに経済的に追いつかないだろう。
まずは、100歳以上?生きるための社会整備がもっと整わないと……今の状況で、寿命だけ伸ばされてもな。どないなっとんのや。責任者出てこーい!
老いのボヤきnoteになってしまった。
年を取る。それはおのれの青春時代にみた人生幸朗さんを組織することだった。
おわり