マーケティングの基礎から実践までを完全解説!
はじめに
こんにちは、佐々木です。
今回は「マーケティング完全版」というテーマでお話をしたいと思います。
今まで色々な記事で細切れでマーケティングについて話してきましたが、
今回はそれらを完全に網羅した、記事です。
これ1本を読めば、初心者の方でもある程度マーケティングをできるようになりますし、
上級者の方は、基礎から応用までを全て学ぶことができます。
また、よくある観念論だけの動画にならないように、
後半ではお伝えしたマーケティングノウハウを使って、実際にマーケティング戦略を組み、実践していく流れも解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
⓪自己紹介
本題に入る前に、少し自己紹介させてください。
私は前職のベンチャー企業でブランドマネージャーをしておりました。
その際に1年で
売上70億
シリーズ別シェアドラッグ市場No.1
日系トレンディのHIT商品2022にランクイン
などの結果を残すことできました。
また、現在はベンチャー企業専門のマーケティングコンサルとして独立しています。
なぜここまでの実績を出すことができたのか。
それはマーケティングの力のおかげです。
中小企業・ベンチャー企業ほどマーケティングを学んで、活かしていくべきです。
そうすれば大企業にも勝てますし、実際私もベンチャーで大企業に勝つことができました。
今回はそんなマーケティングについて、理念から実践までを解説していきたいと思います。
①マーケティングとは
ではまずマーケティングの定義をさらっとですが、確認していきましょう。
マーケティングとは
売れる仕組みを考え、継続的に利益を生み出すこと
だと私は考えます。
売れる仕組みを考える、というのはもっとわかりやすく言うと、
頑張らなくても商品やサービスが売れるということです。
例えば、テレアポや訪問をして営業を掛けていたものが、
お客様から問い合わせがバンバン来る形にする
これがマーケティングです。
継続的に利益を生み出すのもマーケティングの仕事です。
マーケティングの施策はお金のかかるものが多いです。
事業開始当初は赤字も許されるとは思いますが、いずれは黒字化して利益を創出しなければいけません。
なので、自分たちの売上を伸ばすためのマーケティング施策費用は自分たちで稼ぐ必要があります。
そのためには継続的に利益を生む必要があります。
そのために原価を下げる努力をするのも、
原価はそのままに価格を上げるためにはどうすればいいのかを考えるのも、
マーケティングの仕事です。
継続的に利益を出すという点は、
意外と現役のマーケターでも意識が薄くなりがちな部分であるので、
マーケティング初心者のうちから意識されることをぜひオススメします。
②マーケティングの基本的なフレームワーク
マーケティングには基本となるフレームワークがあります。
上級者になると、こういったフレームワークを使わない人も出てきますが、基本なので、これらのフレームワークは押さえておきましょう。
基本のフレームワークはこの3つです。
・3C分析
・STP分析
・4P分析
それぞれに具体例を交えながら解説をしていきたいと思います。
今回は新規でビールの事業に参入するとして、
このマーケティングミックスを使って、どうやっていくかを解説していきたいと思います。
■3C分析
まずスタートは3C分析からです。
3C分析とは
Customer(市場・顧客)
Competitor(競合)
Company(自社)
の3つのCを分析して、
市場はあるのか、競合の強さはどうなのか、自社の強みやリソース状況はどうなのか
を検討し、市場に参入するかどうかを考えるフレームワークです。
では実際にビール事業に参入する場合を考えてみましょう。
※あくまでも考え方の参考&ざっくりリサーチしかしていないので、情報は仮だとお考えください。
ビール業界の3C分析はこのような形で考えられるかなと思います。
■Customer(市場・顧客)に関しては、
顧客の属性や、市場規模や市場の伸び、などを調べます。
顧客の属性でいくと、顧客になり得る全ての顧客を含む範囲にすること、
市場に関しては具体的な数値で調べること
が大事です。
■Competitor(競合)に関しては、
主要な競合と、市場シェア、その企業の強みを記載します。
市場全体が成長している産業であれば、参入するだけで売上が伸びますが、成熟市場であれば、どこかからシェアを奪わないといけません。
なので競合のシェアと強みを明確にして、何を武器にどこまでを取りにいくか、を把握するために競合分析を行います。
■Company(自社)に関しては、
自社の強み・弱みを明確にします。
この際に注意しなければいけないのは、
強み・弱みは参入する市場ベースで考えること
です。
例えば今回の例ではデザイン力を強みとしていますが、
アパレル業界などではデザイン力がもっと強い企業がいるかもしれません。
また、営業リソースを弱みにしていますが、営業が10人いたとすると、
ビール業界で比較すると営業は確かに弱みですが、
創業ベンチャーで営業が1人しかいない企業と比較すると強みになります。
強み・弱みは相対的なものだと覚えておいてください。
3C分析を行ったことで、
・ビール業界は非常に大きな産業であること
・4社寡占のため、参入障壁は高い
・とはいえ自社の強みを生かせば勝てる可能性はある
ということが分かりました。
■STP分析
STP分析とは、
市場の全体像を把握し(セグメンテーション)
狙うべき市場を決定し(ターゲティング)
競合他社との位置関係を決定する(ポジショニング)
フレームワークです。
簡単に言うと、
どの競合と戦うかを決定するためのフレームワーク
という説明がぴったりくるかと思います。
ではこれも具体例を考えてみましょう。
■セグメンテーション
まずは市場を任意の区分で分類をします。
今回は縦軸に高級感&お手頃
横軸においしさ(団欒・楽しさ)、渇きを潤す(孤独を楽しむ・自分への自信)
という軸で区切りました。
すると上記のように大手4社のブランドが区分されました。
ここで区分する際に注意なのが、
年齢や性別(デモグラフィック)ばかりにならないことです。
こういう市場区分でよくやりがちなのが、
横軸が男女、縦軸が年齢で、若い女性を狙おう!
などの結論になることです。
デモグラフィックの情報はもちろん大事ですが、
価値観・性格・ライフスタイル・購入動機などの顧客の心理(サイコグラフィック)も必ず区分に入れましょう。
■ターゲティング
ターゲティングではどの領域を狙うかを決めます。
今回だとプレモルが位置している右上の象限がオススメです。
理由は自社の強みがデザイン力だからです。
デザインが強みであれば、味よりもデザインとそこから想起される情緒価値で勝負していくことになります。
そうなった場合に味で勝負している、キリンビールやサッポロビールとは戦っても勝てません。
また、アサヒビールの強みは営業力、プレミアムモルツ(サントリー)の強みは広告です。
一方自社は営業は弱みで、デザイン性が強みです。
となると、営業が強みのアサヒとは戦っても勝てないでしょう。
逆にプレミアムモルツとであれば、デザイン性を活かした広告で戦えるかもしれません。
また、シェアの観点でも、サントリーが一番低く、倒しやすい競合です。
これらを踏まえ、攻めるべき競合は右上のプレミアムモルツの象限としました。
このように、各セグメントと競合の自社の強み・弱みを比較して、勝てそうな領域を見つけるのがターゲティングです。
ちなみにアサヒとキリンに関しては下記の記事でも解説しているので、こちらもぜひご覧ください!
■ポジショニング
ポジショニングはターゲティングで決めた領域の中でさらに細かくどこに自社を置くかを決めるものです。
今回は右上の象限の中で、プレモルよりもさらに右上の象限を狙うことにしました。
理由は下記です。
①デザインを重視しているので、おいしさ領域は捨てる。
プレモルはややおいしさも訴求しているので、そもそもおいしさを訴求しないくらいに振り切る
②プレモルの顧客は男性メイン。なので、デザインを女性向けにして、
女性のご褒美ビールにする
ポジショニングで注意すべきは、
①自社の強みに即しているか
②競合とぶつりすぎていないか
③市場はあるのか
です。
これらを意識しながら、ポジショニングを完成させましょう。
■4P分析
4P分析とは、顧客に購入してもらうためのマーケティング戦略を4つの視点から考えるフレームワークのことです。
具体的には
Product(製品)
Price(価格)
Promotion(プロモーション)
Place(流通)
の4つからなります。
これも先ほどのビールで具体例を考えてみましょう。
女性へのご褒美ビールという商品をベースに考えた場合、上記が4Pの例です(かなり粒度は荒いです)。
4Pのポイントは一貫性です。
例えば女性へのご褒美ビールを売るとなった場合に、
Price::価格が50円(とても安い)
Place:高齢化が進む農村で販売
Promotion:新聞広告を活用
など、だと明らかに女性へのご褒美ビールに沿わないですよね?
このように、
4Pは自分たちが行おうとしている施策の一貫性の確認に役立ちます。
施策の実施前に4Pで再確認するのはオススメです。
まとめ
以上が基本的なフレームワークの解説になります。
まとめると、
■3C分析で市場に参入するかどうかを考え
■STP分析で市場を切り分け、どこを狙うか考え
■4Pで施策の一貫性を確認する
という役割分担です。
③マーケティングフレームワーク応用編
これまで基本的なマーケティングフレームワークについて解説してきましたが、これらのフレームワークでは真にHITするプロダクトは生み出せません。
初心者の方はまずはこれらのフレームワークを使って基礎を学んでいただきたいですが、中級者以上は下記のフレームワークを重点的に考えるのをオススメしたいです。
それはWHO・WHAT・HOW分析です。
WHO・HOW・WHAT分析
WHO・HOW・WHAT分析はその名の通り、誰に、何を、どう売るかを考えるフレームワークです。
なんだ、当たり前じゃないか、と思われると思うのですが、皆さんこれが意外とできていません。
このフレームワークの大事な点は順番で、「WHO」から考えるというのが非常に大事な点です。
よくあるマーケティングの失敗で、「WHAT」から考えてしまうパターンがあります。
誰をターゲットとするのかを決めないまま、プロダクト作りに取り掛かって、後から誰に売ろうかを考えるというパターンです。
このパターンは成功確度が低めなので、ビジネスとして確度高くマーケティングを行いたい場合には、必ず「WHO」から考えましょう。
あとは「WHAT」の考察が浅いパターンも多いです。
例えば今回のビールの例だと、「ビールを」とか、「高級なビールを」のようになりがちです。
ただ、それであれば他の競合商品にとって代わられます。
ここでのWHATのポイントは、他にとってかわられない、独自性のある、顧客のインサイトを突く内容です。
このあたりも観念論だけでは分かりづらいので、先ほどのビール事業の具体例を用いて解説していきたいと思います。
まずWHOに関しては上記のように設定しました。
ここではデモグラフィックではなく、サイコグラフィックベースでの設定を行うことが大切です。
また、WHATは自分へのご褒美、もっと言うと自己肯定感を高めることに設定をしました。
そしてHOWが上記のWHOとWHATを満たすビールで設定をしました。
このように、WHO・HOW・WHAT分析で、「誰に」から考えることで、施策全体のまとまりが出ますし、「WHAT」をかなり深く考えられます。
このフレームワークの肝は「WHAT」なので、ここをかなり深く考えるのをオススメしたいです。
④マーケティングの具体的なステップ
ここまでは世の中でよく言われているマーケティングのフレームワークについて解説してきました。
ここからは実際に私がマーケティングを行う際に実施しているステップについて解説していきます。
私がマーケティングをする際ののステップは主に下記の11個です。
①ゴールの設定と自社の強みの整理
②市場全体分析
③競合分析
④プロモーション・口コミ分析
⑤ターゲット設定
⑥ポジショニング設計
⑦ペルソナ設計
⑧コンセプト・訴求作り
⑨収支設計
⑩テストマーケティング
⑪本格ローンチ
それぞれを具体的に解説していきます。
④-①:ゴールの設定と自社の強みの整理
マーケティングを始める前に、ゴールは決めておくべきです。
売上100億を目指すのか、1億を目指すのか、で取るべきリスクは変わってきますし、それによってプランも変わってきます。
なので、ゴールの設定は定量的に行いましょう。
そして自社の強みを整理しておきましょう。
どれだけ良いコンセプトやマーケティングプランでも、実行できる組織体制でなければ意味がないです。
ですので、自社の強みはしっかりと整理して、自社の強みを生かしたマーケティングプランを作れるようにしておきましょう。
④-②:市場全体分析
次に参入しようとしている市場全体の分析から入ります。
カフェを開きたいのであれば全国のカフェの店舗数、売上金額を
ポテトチップスを作りたいのであれば、ポテトチップスの販売個数と販売金額を
調べていきます。
切り口は狙っている市場の年単位の数字で3年くらいあれば大丈夫です。
ポイントは数量・金額の両方の観点で見てみることです。
金額での市場規模は良く見ますが、特に市場金額が伸びている場合に、
それは単価要因なのか、数量要因なのかを見抜くことが大事です。
市場の金額が伸びていても、単価上昇で実際には数量が大きく減っていれば、その市場の攻略は難しい場合が多いです。
なので市場分析の際には、数量に着目して数字を見るようにしましょう。
市場分析の際には注意点が2つあります。
時間をかけすぎない
市場全体の分析は市場に参入するかどうかを決定するのには大切ですが、
その市場での勝ち方については分からないことが多いです。
なので、あまり時間をかけすぎず、
・市場全体の規模
・市場全体が伸びているのか縮小しているのか
を把握できればOKです。
市場分析で「伸びている市場だから参入する」は辞めた方が良い
これはよくやりがちなミスです。
この市場は伸びているから参入しよう!というのは良くある判断ですが、大体失敗します。
理由は
①自社の強みが生きる市場とは限らない
②やり切る意思が弱く、自分たちの事業が伸び切る前に辞めてしまう
からです。
④-③:競合分析
次は競合の分析です。
ここは非常に手間がかかりますが、この分析をやるだけで、
自分たちの事業の解像度がかなり上がるので、
ぜひやっていただきたいです。
調べる要素は下記です。
①ブランド名由来
②ブランドロゴ・エース商品画像
③サイトHPのURL
④売上
⑤販路
⑥キャッチコピー
⑦訴求詳細(RTB)
⑧価格・使用できる期間
⑨エース商品
⑩想定ターゲット層
それぞれ軽く解説します。
■ブランド名
各ブランドのブランド名を調べます。
また、そのブランド名になった由来があれば、そのブランドの考え方などが分かるので、調べておきましょう。
また、業界によってブランド名の付け方にも差があることがあります(機能便益メインか情緒便益メインか)
そのあたりの傾向も掴んでおきましょう。
■ブランドロゴ・エース商品画像
ブランドを表すのに、テキストも大事ですが、ビジュアルも大事です。
なので、ロゴやエース商品の画像で、ロゴや商品のデザインのテイストの傾向について掴みましょう。
特に業界によってよく使われる色やあまり使われない色があるので、そのあたりも把握しておきましょう。
■サイトHPのURL
サイトのURLを記載しておきましょう。
後で情報を振り返れるようにしておくためです。
■売上
競合の売上金額を調べましょう。
可能なら調査会社のレポートを、不可能ならネット上に出ている情報から推測します。(累計販売数などが出ていることがあるので、そういったものから推測します)
ここでは、「ないよりマシ」の精神で、とにかく何かしらの手がかりから売上を推計しましょう。
ここであまりに売上が小さな競合はベンチマークから外せますし、売上が大きな競合は徹底的にマークしましょう。
■販路
各ブランドがどんな販路をメインとしているのかを調べます。
オフラインならコンビニなのか、スーパーなのか、ドラッグストアなのか、直営店なのか等
オンラインなら自社ECなのか、アマゾンなのか、楽天なのか
を調べます。
強い競合が意外と網羅できていない販売チャネルにはチャンスがありますし、
逆に競合がこぞってだしていないチャネルは勝てない可能性が高いです。
今後販売戦略を考える上でも、競合の販売チャネルはしっかりリサーチしておきましょう。
■キャッチコピー
ブランドや商品のキャッチコピーを記載します。
売上が大きなブランド程、キャッチコピーが秀逸なので、ベンチマークとしましょう。
あとは後々考えるポジショニングを考える際にもキャッチコピーは重要になるので、ここは必ず押さえておきましょう。
■訴求詳細(RTB)
次に訴求の詳細=RTB(Reason to belive =訴求根拠)を調べます。
キャッチコピーの根拠は何なのか、を調べていきます。
独自の成分などが訴求されている場合はいいのですが、
世の中にはそうでないブランドも多いので、ここはマーケターがしっかり考えるべきところで腕の見せ所です。
■価格・使用できる期間
次にそのブランドのメイン価格帯や、消費財であれば使用期間や内容量などを調べましょう。
商品単価は安くても、容量当たり単価では高かったりすることもあります。
なので、商品単価はもちろん、容量あたり単価も調べるようにしましょう。
■エース商品
次にそのブランドのエース商品を調べましょう。
ブランドの売上の多くはエース商品に偏っているので、そのエース商品をしっかり分析すれば、そのブランドと戦っていけることになります。
■想定ターゲット層
これは各ブランドの想定ターゲット層を書きます。
性年代のデモグラフィックや趣味嗜好のサイコグラフィック上の各ブランドのターゲット特性を書きます。
④-④:プロモーション・口コミ調査
次は競合のプロモーションや口コミを調査しましょう。
プロモーションでチェックすべき点は下記です。
①SEO(WEB検索)での公式サイトの順位(主要なキーワードごと)
②各SNSの使用状況、フォロワーやインプレッション、キャンペーン
③検索系の広告の出稿状況(リスティング広告の出稿有無や記事広告の使用有無)
④インフルエンサー広告の出稿状況(InstagramやTwitter、YouTube、TIKTOKでのいわゆる案件系の使用有無)
⑤マス広告(CMや交通広告、YouTube広告など)の出稿状況
そしてこれらを調べたら、プロモーション媒体に関しては徹底的に真似してください。
訴求は真似する必要はありませんが、媒体は必ず真似すべきです。
というのも競合は先駆者で、色んな媒体を基本的には試しているはずです。
その中で最も効果があったものが生き残っているはずなので、媒体に関しては真似をしてください。
ただし、訴求に関しては競合から少しずらしたもので行ってください。
④-⑤:ポジショニング設計
次にポジショニングを作ります。
ポジショニングは市場の競合との比較でどの位置を取るかを決めるものです。
これは主に、ビジネスサイズや今後の販路を決めるのに役立ちます。
④-⑥:ターゲット設定
市場リサーチが終われば、次はターゲット設定です。
ターゲット設定は先ほどご説明したWHO・WHAT・HOWの部分で決めたものをそのまま使います。
ココでのポイントは
万人をターゲットとした訴求は誰にも刺さらない
ということです。
これはマーケティングの鉄則なので、皆様ぜひ覚えておいて下さい。
④-⑦:ペルソナ設計
ペルソナはターゲット設定で決めたターゲットをより具体像にして描いていき、最終的に、自分たちのビジネスにおける理想の顧客を描くステップです。
大きなポイントとしては、年齢や既婚・未婚、子供の有無などのデモグラ情報をベースに、その人の価値観や悩みといったものを考えます。
また、たくさんの人と共通認識を持つために、社内の人で例えたり、芸能人で例えると良いでしょう。
④-⑧:コンセプト・訴求作り
ここまで来たら、ようやくコンセプトや訴求を作ります。
先程で決めたターゲットに対して響く訴求は何なのか、を考えます。
例えば先ほどの女性へのご褒美ビールなら
週末限定のあなたへのご褒美ビール
などのコンセプトが考えられますね。
ココでのポイントは競合に埋もれない差別化ポイントを考えることです。
ここで強力な差別化のできた訴求が作れれば、あとは勝ったも同然です。
ここがマーケティングの仕事のキモであり、センスも必要な領域です。
④-⑨:PL設計
ターゲットが決まれば次は収支設計です。
市場調査で出した競合の売上とターゲットと、自分たちがターゲットとしている層のボリュームから、推計の売上を作ります。
そこから必要な費用を引いて行って、利益がどれだけ残るかを計算します。
この説明だけだと割とあっさりしていますが、実はここが一番大変です。
一方で事業によって出し方が異なるので、ここは一概にこうやればよい、とご案内できません。
一方でここのシュミレーションが甘いと、事業撤退や小さな会社だと倒産もあり得るので、ここはぜひ慎重に行ってください。
また、ここの収支シュミレーションに不安がある場合は弊社にお問い合わせ頂ければ診断致しますので、お声かけください。
④-⑩:テストマーケティング
上記がすべて決まれば、テストマーケティングです。
いきなり大きく売りだすと失敗した際に後に引けなくなるので、
まずはテストマーケティングをすることをオススメします。
テストマーケティングで一点注意なのは、
公平性を保つことです。
例えば先ほどの女性へのご褒美ビールであれば、
普段からそういった自分へのご褒美を頻繁に行っている方にこのコンセプトを見せると、必ず「欲しい!」と言われるはずです。
これを鵜呑みにして、とてもいい訴求ができた!となっていざ売ってみると全然売れない、ということもあります。
つまり、公平性を保って、このご褒美ビールを普段からご褒美の習慣がない人にも聞いてみる必要性があるのです。
④-⑪:本格ローンチ
テストマーケティングでうまくいけば、いよいよ本格ローンチです。
本格ローンチでは大きく売上・利益が動きます。
ここで注意しないといけないのは、
一つ一つの判断を慎重に、かつ大胆に、即決で行う
ことです。
本格ローンチのタイミングでは動くお金が大きいので、一つ大きな失敗をしてしまうと、事業全体が失敗してしまいます。
一方でチマチマしかお金を掛けないとリターンも小さいので、勇気を持って大胆に攻める必要もあります。
また、売上の上昇局面ではタイミングを逸すると一気に売上の伸長が鈍化してしまうので、基本的には即決してベストなタイミングで施策を入れるようにしましょう。
ここが最もマーケターのセンスが問われますし、結果に如実に出るので、プレッシャーもすごいです。
ただ、一方で成功すれば、社内でスターになれるので、プレッシャーに耐えながら意思決定していってください。
⑤実例での解説
ではここまで観念論で具体が少なく、少し分かりづらかったかもしれません。ここからは具体例を交えて、マーケティングのステップを解説していきたいと思います。
今回は弊社、株式会社Venture Oceanを例にして考えていきたいと思います。
※今回は内容の構成上、競合他社のコンサルティング会社さんにも触れますが、決して他社さんを貶める意図はなく、客観的に顧客視点で見た場合にこう捉えられる、という説明になります。
⑤-①:ゴールの設定と自社の強みの整理
今回は下記で設定しています。
■ゴール
月売上○○円を半年で建てられるようになること
■自社の強み
マーケティング経験が豊富
ベンチャー企業勤務経験あり
スピード感を持った意思決定、仕事ができる
⑤-②:市場全体分析
今回はコンサル業界なので、オープンデータでコンサル業界の推移を調べました。
これを見ると、
コンサル市場は2017年に9,644億円から2021年度には15,761億円と約1.6倍に成長しています。
なので、市場規模は十分です。
また、急激に市場規模が縮んでいるようなこともないので、
参入NGな市場ではないということが分かります。
また市場規模に関しても、小さすぎることはなく、従業員2人程度の会社なら全く問題ありません。
ここはさらっと時間を掛けずに終わらせます。
⑤-③:競合分析
次に競合分析に入るのですが、コンサル業界は少し市場が大きすぎるので、今回は市場をもう少し切り分けたいと思います。
上記はカオスマップと言って、コンサル業界での各社の得意領域を明示してくれています。
ここから今回のクライアントが攻めるべき市場を探していきましょう。
まず総合やシンクタンクの領域ですが、
ここは範囲や分析量・専門性が2人でやるには広すぎる領域です。
なので今回のスコープからは外します。
次にITやデザイン、人事や事業投資領域ですが、
ここは今回のクライアントの強みが生きません。
今回のクライアントの強みはマーケティングとベンチャーなので、
上記の領域では強みが生きず、負けてしまうので、ここも進出の対象外としましょう。
次に戦略系の領域ですが、
ここはいわゆる大手企業さんの案件が多いはずです。
創業したての2人の会社への依頼は現段階ではなかなか考え辛いので、この領域への参入もなしです。
なのでこのカオスマップ上で残った領域は
・ベンチャー企業向けコンサル
・中小企業向けコンサル
と、そもそものクライアントの得意領域である
・マーケティング領域
の3領域です。
この3領域を基軸に、具体的な競合の選定に入ります。
本来は競合を全て調べるのですが、
今回はTO B領域であるということと、自社なので少し手を抜いて(w)、
まずはエース商品で競合性のスクリーニングをし、残った会社のみを載せています。
そして下記の要素を調べました。
①売上
②販路
③キャッチコピー
④エース商品
⑤強み
⑥想定ターゲット層
①売上
今回のコンサル業界の場合は、コンサルの原価=コンサルタントの給料なので、一旦社員数をベースとしました。
ここからコンサルの平均給与からの計算、
コンサル会社の利益率からの逆算からの計算
などでだいたいの売上は想定で切ると思います。
②販路
販路に関しては各社がどのチャネルをメインに集客をしているかを調べました。ここで見るべきは同様のコンセプトの競合の販路の穴です。
今回の競合で行くとTwitterは穴場であることが分かります。
③キャッチコピー
キャッチコピー各社のHPのTOPの訴求などを拾ってきました。
キャッチコピーは各社の思想が出やすいところなので、ここはどんな事業への参入検討でも、絶対に抑えておきたいポイントですね。
④RTB
次に訴求の根拠を考えます。
今回は各社の代表の過去の経歴や、各社の一般的なイメージなどから設定しました。
TO C 向けの商品であれば、成分や内容物が該当します。
⑤エース商品
エース商品は実際に顧客に提供している便益の話です。
先程のキャッチコピーは独自性に重きを置いたものが多いですが、
エース商品は各社が提供する便益のイメージです。
ココが自分たちの提供しようとしているものと被っている企業さんは競合性が高いです。
今回で行くとF、G、H社が主競合ですね。
⑥強み
そして各社さんの強みを考えます。
ここはHPなどでもテキスト化されていないですし、競争相手が変われば変わるので、あくまでも今回出した競合達の中での強みです。
ここの各社の強みをどう考えるかが、マーケターのセンスが問われるところですし、自社の強みをどこに設定するかが事業の成否を分けます。
⑦競合想定ターゲット層
最後は想定ターゲット層です。
自社の想定ターゲットはみなさんそれなりに考えられると思うのですが、競合のターゲット層は考えたことがあるでしょうか?
競合が目指しているターゲット層を知れば、競合と直接ぶつからなくていいので、ここは考えておくべきです。
そして30歳男性、のようなデモグラだけでなく、サイコグラフィックベースでも考えましょう。
※今回、各社の想定ターゲットをかなり詳細に考えましたが、ここは今資料に書いてある程度までの開示とさせてください。
⑤-④:プロモーション・口コミ調査
次にプロモーションと口コミを分析します。
コンサルティングは口コミがなかなか出てこないので、今回はプロモーション戦略のみの分析です。
今回はBtoBなので、上記のようなプロモーション媒体から、各社の力の入れようを考えました。
各社のプロモーション状況を踏まえると、中長期ではSEO、YouTubeで勝つ設計にしながら、短期ではTwitter、noteで集客が戦略です。
プロモーション戦略のポイントは短期と中長期を意識することです。
特に新規事業だと、まずは赤字の回収を必ず行わないといけないので、
費用を抑えた確実に売上に繋がるプロモーション設計が必要です。
一方で中長期で勝つためには大きな投資や大局的に見てどう勝つか、の設計が必要です。
なので、プロモーション戦略は短期と中長期の両軸で考えましょう。
⑤-⑤:ポジショニング設計
続いてポジショニングを決めます。
今回は縦軸に全分野対応か、マーケティング専門か、
横軸に大企業かベンチャーかを置きました。
すると、第一象限が空欄、
第二象限がF社、G社、H社、J社となり、
第三象限がI社、E社
第四象限が大手戦略系コンサル会社
となりました。
結論、ベンチャー向けのマーケティング専門のコンサルは未だホワイトスペースなのです。
なので、ここに参入するのがいいというのがVenture Oceanの戦略の骨子になります。
ポイントは2~3個の強みを組み合わせれば、市場のホワイトスペースは大概見えてくるものなので、強みの正しい認識と、そこに市場があるかの理解だと思います。
⑤-⑥:ターゲット設定
ターゲットの設定は上記のようにしました。
まず我々のターゲットはこれまでの分析から、ベンチャー経営者に設定しました。
そしてWHATに関しては、ベンチャーが目指すものかつ我々が提供できるものということで成長、その成長の中でも異常な規模の成長というのを置きました。
そしてHOWではマーケティング×ベンチャーの経験豊富なメンバーのコンサルを置き、実現性も追求した形です。
⑤-⑦:ペルソナ設計
次にこのポジショニングで見込み客になりそうな人の像=ペルソナを上記のように設定しました。
価値観や悩みなどを具体的に書くのがポイントです。
今回の場合は創業5年のベンチャー社長を想像して、作成しました。
※本来はイメージ画像なども貼りますが、今回は差し控えています。
⑤-⑧:コンセプト・訴求作り
その後はコンセプトを書きます。
本来は複数書きますが、今回は自社ということ&もうすでに決まっているので、1個にしています。
まずメインコピーは競合分析やポジショニングであったように、
ベンチャー×マーケティングとしています。
そして特徴≒RTBはメインコピーのRTBとなるようにしっかり設計しています。
①はマーケティング分野のRTB、
②はベンチャー企業向けのサービスであることのRTB
③は無限の可能性のコンサルのRTB
としています。
ポイントは各RTBや、RTBの組み合わせが競合に真似されないものかどうかという点です。
ベンチャー×マーケティングで結果を出して、コンサルに進むパターンというのはあまりないかなと思うので、独自のポジションを確保できたと考えています。
⑤-⑨:PL設計
そしてここまでできれば、PL設計をします。
売上に関しては同等規模の競合の売上をベンチにして設定したり、事前の定量調査などから設計したりします。
また、費用の配分比率も競合の決算データなどから読み解き、計算してゆきます。
※ここはかなり大変なので、今回割愛させてもらってます
⑤-⑩、⑪:テストマーケティング&本格ローンチ
ここは絶賛弊社が今取り組んでいるところです。
詳細な数字はさすがにお話しできませんが、
今のことろコンセプトの良さもあり、たくさんお引き合いを頂いております。
ある程度データが貯まり切ったら、自社のマーケティングの実行フェーズでどんなことをどんな風に意識してやっていたのかをお話したいと思います。
まとめ
今回はマーケティングとは何か、そしてマーケティングの具体的なステップについて解説をしました。
マーケティングは上手くいけば会社全体を大成功に導けますし、
逆に失敗して下手すれば会社を倒産に追い込む可能性もあります。
それくらい重要な職種です。
でもだからこそやりがいがありますし、何より仲間と成功できた時の喜びは何にも代えられません。
なので皆さんぜひ、マーケティングを学んで、仲間と成功を共有する、最高の体験を積まれてください。
私のnoteでは私がベンチャー企業のマーケターとして大企業達を抜き、1位になった経験や、様々なベンチャー企業様をご支援させて頂いた経験を元に、マーケティングのノウハウについて、たくさん話しています。
ぜひフォロー頂き、マーケティングノウハウを吸収してください。
では本日は以上です。
最後に少し宣伝させて下さい。
私はベンチャー専門のマーケティングコンサル会社、株式会社Venture Oceanを経営しています。
株式会社Venture Oceanはベンチャーのマーケティング支援をミッションとした会社です。
ベンチャー企業には海のように無限の可能性がある
という想いからVenture Oceanと名づけました。
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