【読書note_011】成長マインドセット 吉田行宏

「成長」の本質
本書は、元株式会社ガリバーインターナショナルの専務取締役で、人事や評価制度構築、社員教育に携わってきた著者が、成長の本質や原理原則について物語形式でまとめた本です。

本書の中では、成長を5つの要素に分解して解説しています。
1 バランスのよいアイスバーグ(成果・能力・行動・意識の4階層モデル)の成長
2 悩みブレーキを外す
3 大きな子供ブレーキを外す
4 自分理念・自分軸アクセルを踏む
5 正しく強い動機アクセルを踏む

この中で、ユニークだと思ったのは、「ブレーキ」の概念です。
人は、成長欲求を持って日々生活していたとしても、知らず知らずのうちにブレーキを踏んでいるというのです。

著者は、このブレーキを
・悩みブレーキ(自身の方向性に迷うことによって踏んでしまうブレーキ)
・大きな子供ブレーキ(感情の一部分が子供であることによって踏んでしまうブレーキ)
の2つに大別しており、このブレーキの存在を認識することが重要だと説きます。

本書の中で著者は、ブレーキを踏みながらアクセルを踏む車と、アクセルだけ踏んでいる車は、どちらの方が早く目的地に着けるか問いかけます。
アクセルを踏むだけの車の方が、目的地に早く着けることは自明ですが、多くの人がこのブレーキを踏みながらアクセルを踏むという状態に陥っているというのです。

この考え方は、目から鱗でした。

人はなぜブレーキを踏むのか?
それでは、人はなぜこういったブレーキを無意識に踏んでしまうのでしょうか。

まず「悩みブレーキ」です。

本書の中では、悩みを減らす方法として、
・悩みブレーキの存在を知る
・悩みブレーキを踏まない覚悟をする
・他責にせず、当事者意識を100%持つ
・結果は選択できないが、行動は選択できることを認識する
・関心の輪と影響の輪を意識し、影響の輪のみに関心を寄せる
の5つが挙げられています。

この悩みを減らす方法から逆説的に考えると、人が「悩みブレーキ」を踏む理由が見えてきます。
つまり、人は「行動しない」「変わらない」ための言い訳として、「悩みブレーキ」を踏むのではないでしょうか。

学生時代に、テスト前に限って片付けや掃除をしたくなってしまうことがあったと思いますが、こういった結果に対して事前に言い訳を作っておくことを心理学用語で「セルフ・ハンディキャッピング」というそうです。

この「セルフ・ハンディキャッピング」に近い心理作用が、「悩みブレーキ」を踏んでしまうときに発生しているのではないかと思います。

例えば、現在の職場の待遇に不満で転職するか悩んでいるとします。
この時にとれる選択肢は、
①現在の職場で待遇改善を訴える
②転職する
③起業する
ぐらいしかないと思います。
しかし、どの選択肢をとることも選べない場合、選びたくない場合に、行動しない言い訳として、「悩みブレーキ」を踏んでしまうのです。

続いて、「大きな子供ブレーキ」です。

本書の中で、著者は大人の中にいる「大きな子供の特徴」として
・自己中心的
・他者を理解しない
・好ましくないプライド、執着
・トラウマに影響され過ぎている
・正しい軸がない
という点を挙げています。

そして、「大きな子供ブレーキ」を踏むことで、
●怒り ●恐れ ●妬み ●自己顕示
といった負の感情に振り回されてしまうといいます。

こうした特徴に共通するのは、人間では誰しも持っている「承認欲求」だと感じました。
自身の承認欲求が思う以上に満たされず、不満が溜まっているいるときに「大きな子供ブレーキ」を踏んでしまうのではないでしょうか。
承認欲求が満たされない原因を、自分ではなく他人に強く求めることが、「大きな子供ブレーキ」を踏むということであり、そういった意味では、このブレーキを踏む原因も、自身が行動しない理由づくりと言えるのかもしれません。

成長速度を上げるためには
人は誰しも、大なり小なり成長したいという欲求を持っています。
そして、前に進むためにアクセルを踏んでいると思い込んでいます。
ところが、知らず知らずのうちにブレーキを踏んでしまっているとすれば、そしてそのブレーキを踏ませているのが自分自身の潜在意識だったとすれば、大半の人達が実際には成長できてないという厳しい現実も、分かるような気がします。

ブレーキを踏んでしまう自分の心を認識すること。
具体的なアクションを起こすこと。

最速で成長するために重要な考え方を学ばせてもらいました。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。
Happy Reading!

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