ZOOM MultiStompを並べる際に意識したいこと(MS-50G+等)
第2世代マルチストンプ揃い踏み
TOKYO PEDAL SUMMIT 2024にてZOOM MultiStompの新機種がお披露目になりました。
前々から名前が上がっていたキャビネットIRローダー「MS-80IR+」、さらにルーパーである「MS-90LP+」
ベース用の「MS-60B+」と合わせて全6機種が揃い踏み!チープな質感の反面ポップさが際立つかわいらしいラインナップです。
このルックス・機能だと足元を全てマルチストンプで揃えたいと考える人もいるかと思います。
フロアマルチより細かい操作が効き、単機能ペダルよりも汎用性が高くなる組み合わせですが、ひとつ注意してほしいことがあります。
多段マルチはレイテンシーが大きくなる
マルチストンプはその名の通りストンプボックスサイズのデジタルマルチエフェクター。
当然ながら内部では
入力されたアナログ信号をデジタルデータに変換
処理したデジタルデータをアナログ信号に変換して出力
というA/D・D/A変換が行われます。
A/D変換・D/A変換どちらも処理には数ミリ秒の時間を要します。つまり信号が入ってから出てくるまでに遅延が発生する。これを「レイテンシー」といいます。
第2世代マルチストンプの場合はひとつあたり約2ms程度のレイテンシーがあります。海外プレイヤーの実測も僕の実測も同じ結果だったので少なくとも既発モデルはその程度のレイテンシーと考えてよいでしょう。
全機種同値だと仮定し、ギター用マルチストンプを直結した場合…
MS-50G+ (2ms)
MS-200D+ (2ms)
MS-70CDR+ (2ms)
MS-90LP+ (2ms)
MS-80IR+ (2ms)
2ms x 5 = 10ms
信号が入ってから出るまでに10ms程度のレイテンシーが発生する計算になります。音速換算で約3mぶんですね。
これをスタジオ練習の環境に当てはめてみましょう。
ギターから出た信号がペダルボードを通ってアンプに入るまで(10ms)
アンプから出た音が3m先のギタリストに届くまで(10ms)
弦を弾いた音がギタリストの耳に入るまで20msの遅延が発生することになります。さらに離れたところにいるバンドメンバーはそれ以上の遅延でギターの音を聴くことになります。
人間の体というのは面白いものでこの程度の遅延であれば自然とそれに合わせた演奏ができてしまうのですが場合によっては不都合が生じたり違和感を覚えることもあります。
実際に問題となるかはバンドと環境によりけりとは言え機材由来の遅延が生じている事実は意識しておかなければなりません。原因を把握してこその問題解決。
僕はデジタル機材大好きっ子なので好き放題やっていい時はロマン優先でデジタルをずらりと並べたりしていますが、自分以外の人が関わるシーンではその気持をぐっと押さえて必要最低限のデジタル機材のみ導入するスタンスをとっています。
レイテンシーはオーディオインターフェースだけの問題ではなくあらゆるデジタル機材が抱える要素。覚えておいて損はないかと思います。
Shades Guy